July 24, 2019

規制やその枠組みも古くなる

自転車にも、いろいろな規制があります。


最近、使う人が増えている電動アシスト自転車についても、細かい基準が決められています。例えば、日本では時速24キロを超えるスピードでは、電動モーターによるアシスト力がゼロにならなければなりません。このことによって、電動アシスト自転車は、自転車の一種として容認されているわけです。

ただ、海外では規制が違います。国によっては、時速45キロまでアシストがある代わりに、免許やヘルメットが必要だったり、ナンバープレートや保険加入が義務など、オートバイのように扱われるところもあります。ペダルをこがなくても走る電動バイクも含め、ルールはいろいろです。

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さて、こちらはドイツのスタートアップ企業の開発した新しいタイプの乗り物、“eROCKIT”です。見た目はオートバイですが、ペダルがついており、ペダルをこぐという点では自転車です。バッテリー駆動の電動モーターがアシストしてくれる電動アシスト自転車です。しかし、なんと最高速度は80キロに達します。

普通のオートバイであれば、スロットルを開けることで加速するわけですが、この“eROCKIT”では、ペダルをこぐことで加速します。動画で見る限り、軽くペダルをこいでいるだけに見えますが、周囲のクルマなどと遜色のないレベルのスピードを出し、追い越したりしています。





日本のように時速24キロで切られることなく、さらにアシストしてくれ、スピードの出る電動アシスト自転車といった感じでしょうか。むしろ、ペダルのついた電動オートバイと言うべきかも知れません。いずれにせよ、大出力のモーターとバッテリーを搭載した、日本の電動アシスト自転車とは違う乗り物です。

ペダルをこぐことによる加速であっても、モーターでアシストしてくれれば、時速80キロでも出るでしょうし、いったんスピードが乗ってしまえば、それを維持するのに比較的パワーは少なくて済むと思います。このため、モーターだけのフル電動自転車とは違って、航続距離は120キロもあります。

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メーカーは、この“eROCKIT”が電動モビリティ産業に革命を起こすものだと自負しています。直感的な駆動システムで、自転車と同じくらい簡単に操作できる一方、息をのむような加速力を備え、時速80キロという実用的なスピードで走行することが出ます。

ペダルをこぐぶん、これまでのモーターだけで駆動する電動バイクより長い120キロという航続距離も、その実用性を高めています。ガソリンのオートバイのように排気ガスや騒音も出さず、環境に優しい点でも優れています。ペダルをこぐため、健康的でもあります。



この製品は、ドイツやヨーロッパといった範囲を超えて注目されており、“Red Dot Award”、“Ausgezeichneter Ort Deutschlands”、“Challenge Bibendum Michelin”、“US Ideas Award”など、数々の賞を受賞しているそうです。なるほど、新たなモビリティとして業界に一石を投じるものかも知れません。

電動でアシストする自転車と言うより、むしろ電動オートバイにペダルをつけた感じです。ヨーロッパで乗るにも、免許やナンバー、ヘルメットなど、オートバイと同じ条件になると思います。自転車市場ではなく、これまでのガソリンのオートバイや、電動だけで駆動する電動バイクの市場に影響を及ぼす可能性がありそうです。

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スピードと航続距離の点で、電動だけのバイクより有利かも知れません。ガソリンの従来型オートバイと比べ、エコで省エネ、温暖化ガスを排出せずに低騒音、そして排気ガスによる大気汚染も起こさないという点は、特にヨーロッパでは評価され、オートバイからの乗り換えを促す可能性があります。

いずれにせよ、日本の電動アシスト自転車という発想の中からは、生まれて来ない乗り物と言えそうです。この“eROCKIT”が、今後どのような評価をされ、実際にどれほど普及していくのかはわかりません。しかし、新しい乗り物、新たなカテゴリを生む挑戦としては面白いと思います。



少なくとも、モーターやバッテリーの技術が向上している中で、それを使って新たな分野、新たな価値を生み出そう、イノベーションを起こそうとする試みは高く評価されるべきです。むしろ、そのようなイノベーションに乏しいところが、日本経済が低迷する理由だと、よく指摘されます。

日本でも、さまざまな規制緩和の必要性が叫ばれています。むしろ世界では、イノベーションが速く、規制のほうが合わなくなったり、間に合わなくなっている分野もあります。社会も変化し、ニーズも変わっています。これまでの規制に囚われない発想も必要でしょう。

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日本の電動アシスト自転車の規制も、もっとフレキシブルに考え直してもいいような気がします。ペダルを使わない、いわゆるフル電動の自転車は、日本では原付バイク扱いとなり、自転車としては認められません。ナンバーやウィンカーなどを取り付け、免許も必要です。

でも、車道を走行するぶんには、ペダルのないフル電動の自転車も、出力を限定した上で、自転車に含めてもいいのではないでしょうか。自転車と同じような速度であれば、自転車と混在していても、さほど危険はないと思います。実際に中国などでは混在して走っています。

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電動アシスト自転車は、高齢ドライバーの運転免許の返納後の移動手段として人気だそうです。脚力の弱い高齢者も、フル電動ならば乗れる可能性があります。クルマよりも殺傷力が低いぶん、相対的には安全になります。出力限定で、フル電動の自転車を、自転車として扱うのは、一定のメリットが見込めるでしょう。

定義としての自転車、スポーツとしての自転車は別として、これからの時代、電動モーターを使った自転車は増えていくと思います。それをどう呼ぶかは別として、自転車とオートバイの境界にこだわる必要もないでしょう。規制や、その元となる枠組みもまた、柔軟に見直していくべきではないでしょうか。




ロンドン市長として自転車改革を進めたボリスジョンソン氏が首相に就任しました。合意なき離脱が心配ですね。

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