November 06, 2019

継続的な支援につながる方法

日本は世界有数の長寿国です。


昨年の時点での日本人の平均寿命は、女性が87.32歳、男性が81.25歳で、ともに過去最高を更新しています。最近は長生きのリスクなどということも言われますが、長生きが出来るのは、ありがたいことです。世界には平均寿命がはるかに短い国もたくさんあります。

Lusaka.Photo by Dr. Ferdinand Groeger,under the GNU Free License.戦争やテロ、内乱などが起きている国は短くなっていますが、それ以外の要因で短い国もあります。例えば、アフリカの南部の内陸国、ザンビアです。CIA World Factbook によれば、男性が51.4歳、女性が54.7歳で全体で53歳(2018年の推定)となっています。

アフリカ中南部というと、コンゴや中央アフリカなど内戦起きている印象があります。ザンビアは1964年に独立しましたが、1945年以降、内乱も革命も戦争もありません。これは他民族国家にもかかわらず珍しいことで、ザンビア人の誇りでもあります。治安も悪くありません。

(右の写真は首都ルサカ)

経済的には、開発途上国ではありますが、近年は年3%から7%と安定した経済成長を続けており、鉱物資源に恵まれ、食料自給率が150%を上回る農業大国でもあります。ウオーキング・サファリ発祥の地、サウス・ルアングワ国立公園や、ザンビアとの国境、三大瀑布のひとつビクトリア滝などには観光客も多く訪れます。

農村部を中心に依然として貧困率は高いですが、アフリカでもっとも平和な国の一つとして評価されています。そんなザンビアで平均寿命の短い大きな理由が、保健衛生面と言われています。ザンビアにおける2017年のHIV感染者は推計で約110万人、感染率は11.5%もあるのです。

ザンビアでは成人の約8人に1人がHIV、AIDSに感染している状態で、この蔓延が最悪の影響を及ぼしています。これにより毎年約5万人のザンビア人が命を落とし、約70万人が孤児となります。免疫力が落ちるため、結核、マラリア、コレラなどで命を落とす人も多くなっています。

一方で、医師や看護師は圧倒的に不足しています。国内全体でも数百人程度しかおらず、国民1万人に対し、1人にも満たない割合です。医学部のある大学が少ないことや、医師や看護師になった人材の職業意識が低く、給料の高い国外へ流出してしまうことも問題です。

Victoria_Falls,Photo by Kounosu,under the GNU Free License. South Luangwa National Park,Photo by Hans Hillewaert,under the GNU Free License.

一朝一夕に解決できる問題ではありませんが、日本を含む世界各国から支援が行われています。政府や国際機関だけでなく、民間やNPOなどによる活動も行われています。以前にも、“World Bicycle Relief”や、“Zambikes”などを取り上げましたが、今回取り上げるのは、“Chooda”という団体です。

この、“Chooda”は、アメリカの内国歳入法典、第501条C高3号の規定に基づく非営利法人です。いわゆる、501(c)(3)法人と呼ばれるNPOで、NPO自身が税金の減免を受けられるだけでなく、ここに寄付する個人や法人も寄付金が税控除の対象となるNPOです。日本でいう公益法人に相当します。

この組織は、HIVやAIDS対策や健康・福祉、女性のエンパワーメントなどに取り組んでいます。ザンビア各地の地元の組織と連携し、適切なプログラムを提供、例えば、子どもにHIVやAIDSについての教育を提供しています。特に女性と少女の教育、経済的な支援に力を入れています。

HIVやAIDSの蔓延する背景には、一夫多妻制の名残があったり、貧困から来る売春など、さまざまな要素があります。しかし、病気に対する知識がないため、感染の広がりが止まらない部分も大きいと言われています。女性と少女に対する教育は、予防の大きな力になります。

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ほかにも、例えば動物の死骸が浮かんでいるような小川の水を飲むのをやめたり、食事の前に手洗いをするといった基本的なことを教えるだけでも、村落ごとの死亡率が大きく違ってくると言います。衛生面に注意するだけでも、結核、マラリア、コレラといった、死につながる病気が減らせるのです。

そして、こうした目的のための資金集めに貢献しているのが、“Bike Zambia”です。このライドツアーに欧米のサイクリストを募集しています。本格的なアフリカの走行を堪能できますが、非舗装路や悪路も多く、10日間で300マイル以上を走破するのは、決して簡単ではないと言います。冒険気分は十分に味わえます。

ほとんどの夜は、シャワーやトイレの整ったキャンプ場に泊まります。道中は専用のサポート車両が伴走するので心配はありません。医療スタッフも同乗しており、さまざまなアクシデントにも対応してくれます。先進国の生活とはギャップがあるにせよ、欧米人でも安心して参加できます。

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このライドツアーは2012年から続けられ、120万ドル以上の資金を集めました。ちなみに、始まった時にはザンビア人の平均寿命は39歳でした。もちろん、この活動だけの成果ではありませんが、教育による保健衛生環境の向上に手ごたえを感じています。

欧米のサイクリストの中には、ふだんの近所のサイクリングに飽き足らず、海外の非日常的な場所で自転車に乗りたいと考える人もいるはずです。なかなか個人でアフリカを自転車旅行するのは難しいですが、こうしたライドツアーに申し込めば、ガイド付きでアフリカの大自然を走行することが出来ます。

アフリカに興味を持って旅行したい人は多いでしょう。昔は、ハンティングなどが人気でしたが、最近は野生動物の保護が優先されます。ハンティングが出来る国、施設もありますが、個人の娯楽のために野生動物を殺すことには、大きな批難が集まるようになっています。

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でも、バスに乗ってサバンナやビクトリア滝を観光して巡るだけでは物足りないかも知れません。その点、自分の足でアフリカを走るツアーには、大きな充実感や達成感があるはずです。趣旨に賛同して寄付をしようという人に限らず、このライドツアーへの参加者は確実に集まっているようです。

現地の人たちとの交流がふんだんに用意されているのも特徴です。ザンビア人は陽気で人懐こく、おおらかな気風だと言います。現地の集落を訪ね、子供たちとも交流します。単なる観光旅行とは違って、ザンビアという国と人々を身近に感じる旅行になるのは間違いないでしょう。

チャリティーや寄付をする先は多々ありますが、自分の国や文化、日々の生活からは実感のわかないものに、なかなか関心が向かない面はあるでしょう。しかし、ザンビアの人々、子供たちに現地で直に接したならば、大きく違ってくるはずです。実はこの点も意識されています。

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ツアーの参加後、ザンビアの子供たちの支持者となり、継続的に支援したいと考えるようになる人も少なくないそうです。バスで観光名所を巡るのとは違います。自転車で現地の風を感じ、地元の集落に泊まって、子供たちと交流する経験は、きっと何かを残すはずです。

『これは人生を変える経験でした、ありがとう。』、“Bike Zambia”に参加した人の言葉です。この人生を変えるような経験をしてもらい、ザンビアの真の支援者になってくれる人を増やすために、自転車によるツアーが役立っているのです。

せっかくアフリカの中でも戦乱がなく平和な国なのに、医者が足りず、保健衛生環境が悪くて多くの人が亡くなっているという現実があります。でも、教育がそれを改善します。“Chooda”は、ザンビアの50歳台まで伸びた平均寿命を、もっと伸ばせると考えています。




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東京五輪マラソンの札幌開催、もう雪が降るのにコースも決まっておらず、はたして準備は間に合うのでしょうか。

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