November 12, 2019

将来の選択肢は一つではない

市場規模がますます拡大しています。


電動アシスト自転車の市場です。最近の調査によれば、世界のeバイクの売り上げは2018年には150億ドルに迫る規模に拡大しました。少なくとも2024年までの今後5年間は6.39%という高い伸びが続くと予測されています。別のレポートでは5年間12.5%成長で210億ドルに達するという予想もあります。

自転車全体の中でも、その伸びは抜き出ており、例えばドイツでは2018年に、e-bikeの販売が自転車市場全体の23.5%を占めるまでになりました。国によって電動だけでも走行出来る電動自転車も含まれますが、全体の88.32%は、ペダルアシスト型のeバイクです。

電動アシスト自転車市場の拡大は、従来のようなレクリエーションや運動・フィットネスだけでなく、日常の移動手段として使う人が増えていることが背景にあります。健康志向、渋滞の回避、大気汚染など環境への懸念、温暖化ガス削減のための政府の取り組みなども市場拡大に寄与していると指摘されています。

Enki CyclesDusenspeed

地域では、アジア太平洋地域が一番伸びています。経済成長でクルマが爆発的に増えた中国で大気汚染が深刻となり、電動アシスト自転車の利用が拡大していることも要因でしょう。オートバイが市民の主要な移動手段となっている東南アジアでも、販売が増えています。

東南アジアでは、深刻な大気汚染対策のため、オートバイを電動オートバイにする動きも広がっています。ただ、電動オートバイの航続距離が限られることや、価格などの点から、電動の自転車にシフトする人も増えているようです。この、都市部の大気汚染が問題となっているのは、ヨーロッパも同じです。

例えば、“NIU”という電動スクーターのメーカーは、eバイク市場への参入を決めました。国によって規制は違いますが、スクーターだと免許や、登録してナンバーが必要だったりします。一方、電動自転車ならば不要で、手軽に利用できます。電動スクーターより選好される傾向を無視できなくなっているのでしょう。

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驚くのはハーレーダビッドソンです。ご存じカリスマ的人気を誇る大型オートバイのメーカーです。排気量の大きさとパワー、大きな排気音、ライディングポジションなどが魅力で、そのユーザーは燃費とか環境とかエコなどを気にする人々ではないと思われてきました。

少し前に、そのハーレーダビッドソンがガソリンではなく電動の大型オートバイを発表して驚きが広がりました。ところが、今度は電動アシスト自転車の開発を発表しています。電動オートバイだけでも、一部のファンは抵抗感があったようですが、なんとハーレーが自転車です。

多様なタイプの電動アシスト自転車が開発されてきているのも市場拡大の要因でしょう。日本でも、ママチャリタイプだけでなく、さまざまなタイプが増えつつありますが、世界的にも、電動アシスト自転車のタイプの選択肢が増えているのは間違いありません。

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一見して、電動アシスト自転車と見えないようなクロスバイクタイプも人気です。バッテリーをフレーム内に収めるなどした、スタイリッシュなデザインが支持されているようです。フォールディング、折りたたみ自転車の電動アシスト版も販売されています。

欧米では、レトロな昔のオートバイ風デザインの電動自転車も人気があるようです。電動にすることで、これまでなら消費者に敬遠されがちだった重量の増加もカバー出来ます。デザイン的な自由度が増えて、冒険的なデザインや個性的なスタイルを開発しやすくなったのも追い風になっているのでしょう。

eバイクは、実用面でも有利です。例えば、ビーチクルーザーでも、サーフボードを運ぶ人なら、電動アシストがあったほうがラクでしょう。子どもを乗せたり、たくさんの荷物が運べるカーゴバイクも、電動アシスト付きが当たり前のようになっています。

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スタイルではなく、価格を前面に押し出すメーカーもあります。eバイクは、どうしても普通の自転車より高くなってしまいますが、例えば、“Swagtron”というメーカーは、429ドル〜999ドルといった低価格で実用的な電動アシストバイクをラインナップしています。

渋滞の酷い大都市では、クルマの代わりに自転車で移動するのは有力な選択肢となります。しかし、やはり疲れるのはイヤだと敬遠する人もいます。平坦ならともかく、坂道を自転車は、と思っていた人でも、電動アシスト自転車ならば、乗ってみる気になるかも知れません。

最近は、世界各地の都市でシェア自転車が使われるようになっていますが、このシェアサイクルにも電動アシストを使うところが増えています。これで体験して、電動アシスト自転車の軽さや便利さに驚き、自分で所有するようになった人もあるでしょう。

JOLTJuiced Bikes

大都市を中心に、温暖化ガスや大気汚染対策、渋滞の削減、交通事故対策などを目的に、都市部へのクルマの流入を制限したり、自転車の活用拡大が進められています。多くは普通の自転車としても、ラクなほうがいいと電動アシスト自転車を選ぶ人が増えているのは間違いありません。

日本でも電動アシスト自転車の出荷台数は、すでに2008年に原付バイクの年間販売台数を抜いており、拡大の一途です。もはや、自転車の一種という枠組みを超え、MTBでも、折りたたみでも、シティサイクルでも、電動にするか否かという選択になりつつあると言えるかも知れません。

CARGO E-BIKESWAGTRON

今どき、世間一般で注目され話題となるのは、電動のクルマ・EVや自動運転のクルマです。各社競ってEVや自動運転車を開発しており、今のクルマからシフトしていくと目されています。しかし、今のクルマに代わる選択肢が、EVや自動運転車だけとは限りません。

もちろん、自転車では無理な移動や流通などもありますから、すべてに電動アシスト自転車が選択されていくなどと言うつもりはありません。しかし、将来のモビリティ、都市での移動手段として、着実にeバイクが選ばれ始めていることにも注目しておいていいと思います。




◇ ◇ ◇

犯人や被告人が逃走する事件が後を絶ちません。警察や検察には他を見て学習する能力がないのでしょうか。

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