December 09, 2019

高速道路を逆走させない方法

また高速道路の逆走事故が発生しました。


今月1日、関越自動車道でクルマが逆走し、運転していた男性(80)が死亡、衝突された車に乗っていた男女2人が重軽傷を負いました。年々、逆走事故を耳にする機会が増えていますが、今や全国の高速道路で2日に1回の頻度で逆走が発生していると言います。

免許保有者全体に対する75歳以上の割合は6%ですが、逆走事故を起こした人の45%を占めていることからも、高齢者による事故の多いことがわかります。逆走事故が死傷事故となる割合は、高速道路全体での事故に比べて約5倍、死亡事故となる割合は約40倍と高く、深刻な結果を招いています。

逆走防止逆走防止

逆走は、入り口を間違える、SA・PAで方向を間違える、IC部でUターンするなどが原因のようです。高速道路会社は、本線方向の案内板を増やしたり、路面に矢印をペイントしたり、進入禁止・逆走中、止まれといった注意喚起看板を設置していますが、必ずしも有効な抑止策となっていないようです。

最近では下の図のようなウエッジハンプを設置する動きもあるようです。しかし、これは振動や衝撃音で警告する装置であり、逆走を防ぐ効果は限定的です。逆走しています!という看板にも気づかない高齢者に、音や振動で警告するといっても、必ずしも効果は期待出来ないでしょう。

ウェッジハンプ

海外では、物理的に逆走を防止する装置もあります。下の動画で言えば、右方向から来たクルマは問題なく通過出来ますが、左方向から来ると一発でパンクするそうです。これならば、走行を続けるのは困難であり、強制的に逆走を防ぐことになるでしょう。

ただ、これ装置自体が渋滞や事故を誘発しかねません。今のところ、日本の法律では設置出来ず、設置するためには法改正が必要となるようです。こうした装置の導入については賛否が分かれるかも知れませんが、何らかの対策が必要になっていることは、多くの人が認めるところでしょう。



高速道路の逆走に限らず、高齢者が運転ミスなどにより死傷事故を起こす例が増えています。反射神経や運動能力の衰えだけでなく、判断力や認知症の問題もあるため、高齢ドライバーに免許返納を促す声も大きくなっています。実際に、免許を返納する人は増えているとも伝えられています。

一方で、長年にわたって運転を続けてきた高齢ドライバーは運転に自信があり、周囲の勧めを聞かない傾向があるとも指摘されています。事故になれば相手を死傷させたり、自分や家族も深刻な状況に陥るのは確かです。出来れば早めに免許を返納したほうが賢明なのは間違いないでしょう。

歩く距離が伸びて不便になったり、待ち時間が増えたりすると思いますが、公共交通を使うほうが安心です。また、最近は電動アシスト自転車に乗り換える高齢者も増えていると言います。なるべく周囲は、他の手段があることを示し、免許返納を促していくべきだろうと思います。

逆走防止逆走防止

問題となるのは地方や郊外に住む高齢者です。代替として利用できる公共交通が無い地域も少なくないでしょう。自治体は、コミュニティバスや地域限定のライドシェア、乗り合いタクシーなどの手段を提供しようと模索していますが、過疎化や高齢化による人手不足、採算の問題などで簡単ではないようです。

公共交通が整備されていない地域では、全面的とは言いませんが、電動アシスト自転車が一定の役割を果たせると思います。しかし難点もあります。買い物や通院など、どうしても出かける必要がある日に雨が降ることもあります。ビショ濡れになっても自転車で行けというのは酷です。

そんな場合でも役立つ可能性のある自転車があります。ベロモービルです。クルマのようなキャビンを持った自転車です。多くはリカンベントをベースにしています。これまでにもたくさんのベロモービルを取り上げてきましたが、海外では、いろいろな種類の実用的なベロモービルが開発されています。

DryCycleDryCycle

DryCycleDryCycle

最近、一部で注目されているのが、こちら“DryCycle”です。ベロモービルには2輪や3輪もありますが、これは4輪なので安定して走行できます。もちろん電動アシストなので、高低差があっても大丈夫ですし、高齢者でも実用的に使えるはずです。

最高時速は25キロ、1キロワットのバッテリーを搭載したモデルで航続距離は48キロ程度となっています。前後のフルサスペンション、リバースギア、油圧ディスクブレーキ、キーロック、電子ホーン、前後のLEDライトやウィンカー、リフレクター、ヒーターなども装備されています。

特筆すべきは安全性能です。自転車なので、クルマのようなボディの強度はありません。軽量化のために、ボディ部分はポリカーボネートやABS樹脂が使われています。しかし、骨格となるフレームには高強度のアルミが使われており、これが安全性を高めています。

DryCycleDryCycle

DryCycleDryCycle

フレームには、頭部を保護するロールバーのような構造や、衝突時に作用するクルマのようなクラッシャブルゾーンが設計に取り入れられています。シートには4点式のシートベルトが取り付けられています。これまでのベロモービルより安全性を重視していると言えるでしょう。

この“DryCycle”は『自転車』です。クルマではないので、開発された英国でも、衝突安全試験は必要ありません。しかし、あえてクラッシュテストを行い、その安全性、特に乗員の頭部障害のリスクの低さを実証しています。クルマのような円形ハンドルを採用していないのも、乗員の保護に役立ちます。

販売されるイギリスでは、安全性に加えて環境に優しいこと、濡れずに自転車通勤できること、行き帰りにワークアウトが出来ることなどをアピールしています。しかし、日本で考えるならば、これは高齢者の免許返納後の交通手段としても、有力な選択肢になるのではないでしょうか。





自転車なので、当然ながら高速道路には乗れません。一般道を走るしかありません。しかし、中途半端に軽自動車などにして高速道路に乗れるより、最初から高速に乗れなければ逆走事故も起きません。間違って乗ってしまう可能性はありますが、大幅にそのリスクは下げられるでしょう。

電動アシストであるぶん、それほどの脚力は必要としません。一方でペダル運動をすることは、高齢者の健康増進にも寄与します。ペダル運動は糖尿病や心疾患を予防し、ロコモ(運動器症候群)や認知症、インナーマッスルを鍛えるため、つまずきによる寝たきりの防止効果も高いとされています。

近年、過疎地で問題となっているガソリンスタンドの減少とも無関係です。それなりに荷物も積めるので、買い物難民にもならずに済みます。片道20キロ程度の航続距離があれば、かなりのところへ行けるでしょう。場合によってはバッテリーを積み増すことも考えられます。

DryCycleDryCycle

DryCycleDryCycle

問題は価格です。この“DryCycle”は約1万5千ポンド、210万円します。EV、電動のクルマに比べれば安いですが、自転車にこの価格というのは抵抗があるかも知れません。ベロモービルは、欧米でも乗る人はごく限られているため、量産されていないのがネックでしょう。

欧米でも、ベロモービルに乗るのは一部のマニアです。なかには環境問題に関心が高く、通勤に使う人などもいますが、マイナーなのは間違いありません。ただ、もし仮に日本で高齢者の免許返納後の移動手段としての需要が高まるならば、それなりの量産効果を期待できるかも知れません。

地方での高齢者の移動手段として、コミュニティバスや地域限定ライドシェアもいいですが、また別の選択肢として、ベロモービルを考えてみる手はあると思います。少なくとも、高速道路に乗れない乗り物に乗り換えることで、高速道路での逆走事故という悲劇を防ぐことに貢献するのではないでしょうか。




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香港は大規模デモ、北朝鮮は重大実験、英国は総選挙、米中協議は関税発動が迫り、先行きが気になります。

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