January 05, 2020

キャッシュレスは加速するか

キャッシュレス決済が広がりを見せています。


日本は、諸外国に比べてキャッシュレス決済の普及が遅れているとされてきました。しかし、昨年10月の消費増税を機に、政府は経済対策としてキャッシュレス決済の利用に対するポイント還元を始め、QRコードを使った決済サービスなどを各社が競って展開しています。日本でも普及率が上がってきているようです。

確かに、一瞬で決済できて便利で効率的です。現金・小銭を持ち歩かなくて済むようになればラクになるでしょう。世界的にもキャッシュレス決済化は進んでおり、その趨勢からすれば、日本でも普及していくと思われます。ただ、当然のようにキャッシュレス化が加速していくかと言えば、そうとも限らないようです。

よく言われているように、災害時に使えない、お金を使い過ぎてしまう、と言ったデメリットが指摘されています。特に今は、サービスが乱立しており、店によって使える決済手段がバラバラです。いろいろなサービスを使うのは準備も面倒ですし、再現金化しにくいなどの不便もあります。

スマホを使った決済では、充電が切れてしまえば使えなくなります。昨年もありましたが、システムトラブルが起きると、必要な時に決済できずに困る可能性もあります。高齢者を中心に、デジタルなツールに不慣れで使えない人が存在するのも間違いありません。

キャッシュレスキャッシュレス

キャッシュレス化が進めば、ATMを設置したり現金を運んだりするコストが削減できます。結果として消費者が負担することになる社会的なコストが減ります。政府は、今後進展していく少子化による人手不足に対応した無人店舗などの解決策にもつながるとしています。インバウンド消費にも影響するでしょう。

キャッシュレス化は経済を活性化するメリットも期待できます。新しい事業を生む可能性もあります。日本だけ世界的な流れに乗り遅れるわけにもいきません。しかし、消費者がキャッシュレスの決済手段を使うかどうかは別問題です。便利でメリットがあれば普及するでしょうし、そうでなければ停滞する可能性もありそうです。

そもそも、各国でキャッシュレスの普及率が違う背景には、それぞれの国の事情があります。中国では偽札の流通が問題ですし、治安や防犯の問題もあります。現金の信頼性が高く、治安のいい日本では、必ずしもキャッシュレスにする必要性が高くないのも確かでしょう。人手不足でも、自販機がたくさんあります。

中国や韓国では、脱税の防止も主眼と言われています。現金だと補足できないお金の流れが把握でき、確実に税金を徴収できます。日本政府も、そうとは言いませんが、本当は税収アップが本音だと目されています。その証拠に、キャッシュレスを、マイナンバーカードの普及にまでつなげようとしています。

キャッシュレスキャッシュレス

個人を特定し、お金の流れを把握できるからです。これを嫌って使わない人もいるはずです。今はポイント還元でオトクだから使っている人も、還元が終了すれば、継続するかはわかりません。ある調査によれば、若い世代のほうがキャッシュレス化を望んでいないという結果も出ています。

政府の思惑は別としても、個人情報の問題は残ります。サービスを提供する会社に、消費の内容を把握されたり、勝手に信用情報などを形成されることに拒否感、あるいは薄気味悪さを持つ人も多いはずです。個人情報の漏洩、セキュリティーの問題もあります。

小売店にしても、今は優遇されていますが、キャッシュレス決済には手数料がかかります。いちいち数パーセントの手数料をとられたら死活問題となる中小店も多いと思います。現金流通に伴う経費は減るとしても、システムの開発や維持、信頼性を保つコストは増えるという面もあるでしょう。

今、スマホ決済を展開する各社は、還元セールなどを行って、利用者獲得に血眼になっています。事実上の標準となれば、大きな利益が期待できます。しかし、そうなった時に、それを使わざるを得なくなり、消費者が不利な立場に置かれる可能性もあります。それは避けたいという意識が働くかも知れません。

キャッシュレスキャッシュレス

日本のキャッシュレス決済比率は、他国に比べて大きく遅れていると言いますが、これには調査の方法もあると指摘する専門家もいます。日本で一般的に使われる銀行振込や、口座からの引き落とし、電子マネーによる乗車券購入などが含まれていないと言うのです。

電気・ガス・水道などの光熱費や、家賃や管理費といった消費の大きな部分を占める費用が現金払いでないのに、キャッシュレス決済に含まれていないのです。インターネットバンキングも入っていません。統計の取り方の問題で、実はもっとキャッシュレス化が進んでいるとする見方もあります。

いずれにせよ、便利でトクならばキャッシュレス決済も普及していくでしょうし、あまり意味がない、デメリットがある、懸念があると思う人が多ければ、普及は加速していかないと思われます。還元の終了やサービスの乱立がネックとなる可能性もありそうです。

Food deliverersFood deliverers

さて、それでも現金強盗、スリやひったくりなどの被害が減れば、メリットではないかと考える人も多いでしょう。しかし、これも違う被害につながる可能性があります。アメリカ・ニューヨークでは、キャッシュレス化が、自転車の強奪につながっていることが報告されています。

ニューヨークでも、ウーバイーツなどのフードデリバリーが盛んに使われるようになっています。昔から、食品のデリバリーをする配達員は、路上強盗の被害者となってきました。多額ではないにせよ、売上金や釣り銭などの現金を持っているのが明らかだったからです。

それが、最近はキャッシュレス化が進み、アプリで決済されるため、現金を持っていないことが増えました。路上強盗をする非行少年や犯罪者たちは、手軽な現金強奪の機会を奪われた形です。ところが、現金を持っていないがために、自転車を強奪する犯罪が増えていると言うのです。

Food deliverersFood deliverers

フードデリバリーの配達員は、維持コストや小回りの良さ、渋滞が避けられて速いことから、ニューヨークでは自転車を使うのが一般的です。最近は、電動自転車を使う人も増えています。これが、2千ドルくらいするため、この自転車を奪われる事件が多発しているのです。

配達員は、中南米やアジアからの移民が多いと言います。余裕のない移民にとって、2千ドルは大きな額ですし、商売道具を奪われるのは死活問題です。もし強奪されたら、買い直さざるを得ません。例えば、1千ドルで中古が手に入るなら、選択肢となるでしょう。

つまり、配達員の使うeバイクを奪って、換金する市場も存在することになります。もちろん、ネットで売りさばいたり、リサイクルショップに持ち込む手もあります。フードデリバリーの売上金や釣り銭を奪うような連中にとって、相応の値段のeバイクやロードバイクなどは、十分に稼ぎになるわけです。



中南米やアジアからの移民の配達員の中には、不法移民も少なくないと言います。警察と出入国管理局とは別の組織ですが、強奪被害に遭っても、およそ6割は警察に届けなかったことが、ニューヨーク市立大学の教授による調査で判明しています。このことも、この種の事件に歯止めがかからない背景となっています。

電動アシストではなく、フル電動の自転車に乗っている人も少なくないようです。しかし、日本でもそうですが、ニューヨークではこれは違法です。自転車とオートバイの境界がなくなり、無免許運転などを助長するので規制されているわけですが、このことも被害を届けないことにつながっています。

ニューヨークでは、昨年の9月以降だけで、少なくとも24台のeバイクが強奪されています。実際には、その何倍もあると推測されています。いまや、ニューヨークの非行少年、犯罪者集団のターゲットは、現金ではなく、自転車となっているのです。

キャッシュレス化により、配達員の受難も無くなるかと思いきや、むしろ高額の被害につながっています。もちろん、これがキャッシュレス化の弊害だとか、デメリットだと強調したいわけではありません。しかし、キャッシュレス化によって、犯罪被害の内容が変わってきた一例と言えるでしょう。



キャッシュレス化の進展によって、犯罪もハッキングなど、高度な手法になるのかと思えば、相変わらず原始的な手段も用いられます。スマホ決済で、手持ちの現金以上の被害に遭う可能性も出てくるかも知れません。いずれにせよ、キャッシュレスになったからと言って、犯罪に逢わなくなるとは限りません。

私はキャッシュレス決済の専門家でもなんでもないので、今後日本での普及がどうなっていくかはわかりません。ただ、現金を持たなくなったとしても、犯罪防止になるとは限らないようです。石川五右衛門ではないですが、『浜の真砂は尽きるとも世に盗人の種は尽きまじ』なのは、間違いなさそうです。

政府は、2027年までにキャッシュレス決済の比率を4割程度にすることを目標にしています。韓国で9割に達しているのを思えば、意外と低い目標です。2024年には新紙幣も発行されます。キャッシュレス決済が注目されていますが、政府もそう簡単にキャッシュレス化が進むとは考えていないようです。




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新年早々、米国によるイラン司令官殺害で中東情勢が緊迫化、報復の連鎖や武力衝突は防げるのでしょうか。

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