January 20, 2020

需要は増えても容量は増えず

800px-Shenzhenshi世界的に都市化が進んでいます。


都市化とは、小さな町が都市へと発展していくことや、農村などの生活や文化が都市部のようになっていくことを言う場合もありますが、元の“urbanization”は、都市への人口集中のことです。農業が主産業だった頃は、農地の近くに住み、居住地が分散していたわけですが、近代において人口が都市へと集まることを指します。

This image is in the public domain.日本だけの話ではありません。世界的に都市化は進んでいます。1900年には、世界の都市人口は13%でしたが、1950年には29%、2018年には55%の人口が都市部に集中しています。20世紀は、世界的に都市化が急速に進んだわけですが、2030年には60%になると予測されています。

先進国に限れば、2010年の時点で既に70〜80%に達しており、2050年には90%と大部分の人が都市に住むことになると言われています。ますます都市の過密化が進むのは間違いなく、さまざまな問題が起きることは避けられそうにありません。

地価は上昇して住環境は悪化し、交通渋滞はさらに酷くなります。大気汚染やその他の公害、ごみ問題、交通事故の増加も懸念されます。各種の生活インフラが不足し、通勤ラッシュ、保育や介護施設などの不足、ヒートアイランドや環境面でも負荷が大きくなるのは間違いないでしょう。

人口集中によって、都市圏が広がる場合もありますが、通勤などに時間がかかるため、より中心に近い部分へ集中します。都心部では、より高層の住宅が増えることになるでしょう。面積的には限りがあるので、上下方向、立体的に居住地域、あるいはオフィスを増やしていかざるを得ません。

建物は高層化するとしても、問題は交通です。地下鉄や高架道路もありますが、すでに過密な都心部での建設は困難で時間がかかり、追いつきません。将来は空飛ぶクルマが開発されるとしても、技術的にはともかく、道路上空の利用の危険性や輸送容量の不足、空の渋滞などの問題は避けられないと思われます。

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(GIFファイル)

人口が増えれば、周辺からの流入や物資の輸送も含め、道路はさらに渋滞します。クルマの自動運転が実現すれば、AIが最適な経路を選んでくれるとは言いますが、物理的に道路空間は限られるわけですから、交通量が増えれば、渋滞悪化は不可避です。

せっかく自動運転になっても、渋滞で遅々として進まないのであれば、移動は効率的になりません。少なくとも都市部では、あまりメリットを享受できない可能性があります。輸送、物流においても、やはり都市人口増加で物流量が増えれば、道路の許容量を上回る可能性は高いでしょう。

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クルマやトラックはハイテクになっても、道路は広がりません。道路の拡幅には少なくとも数十年単位の時間がかかります。駐車スペースだって不足しますから、いくらAIが最適な輸送経路を割り出してくれたとしても、物理的な制約から、配達にかかる時間は伸びる一方かも知れません。

クルマは、CASE(Connected(ネット接続)、Autonomous(自動運転)、Share(カーシェアリング)、Electric(電気自動車)の頭文字)に向けて開発競争が進み、激変すると言われています。しかし、実際に使う段になれば、その発達とは別に、都市化による過密化が問題になるのは間違いなさそうです。

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ところで、IAVという世界的に展開するドイツのクルマ関連の企業があります。クルマ業界に最先端の技術を提供するエンジニアリングの会社です。この会社が先頃行われたCES2020で、クルマではなく、なんとカーゴバイクの技術を発表しました。

配達員の後について無人で走行するカーゴバイクです。クルマ開発で培った自動運転の技術をカーゴバイクに移植しました。前面に取り付けられたカメラが配達員の動きを認識し、自動で動いたり、止まったりします。歩く配達員の後を、犬のようについて行く動きがユーモラスです。

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自動運転のクルマの開発とは無関係にも思えますが、そうではありません。都市化の進展によって、居住空間が高密度化し、道路利用者の着実な増加、駐車スペースの不足などが、多くの都市にとって問題となることを前提にしたソリューションだというのです。

ネット通販の拡大もあって物流は増える一方ですが、トラックが増えれば渋滞はさらに悪化します。現在でも、渋滞に巻き込まれず、駐車スペースを探さずに済むということで、デリバリーにカーゴバイクを使う動きが広がっています。その将来のニーズも見据えているわけです。



今は、配達員の後を追従するだけですが、当然自動運転も視野に入ってくるでしょう。荷物の集荷や配送に、無人のカーゴバイクが使われるようになる可能性があります。渋滞する道路で動かないトラックを横目に、スルスルと無人カーゴバイクが走って配達をするという光景も、あながちナンセンスとは言えないでしょう。

輸送中は貨物ボックスを自動でロックしたり、車両の状況、例えばパンクしたとか故障が発生したことを、全て中央で検知して制御したり、管理することが出来ます。宅配業者の配送だけでなく、個人が個人へ荷物を届けるニーズを担うようなサービスも考えられるでしょう。

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IAV社は、都市化に伴う問題を見越して、自転車が、ある種のニューモビリティとして使われる可能性を視野に入れています。クルマの自動運転の実験ではなく、技術をカーゴバイクに移植し、自動運転の時代にも自転車が重宝される可能性を見据えているわけです。



自転車は静止すると倒れてしまう点で、無人の自動運転は難しいですが、3輪ならばその問題もクリア出来ます。輸送においては、たしかに実用化される可能性もありそうです。それでは、輸送ではなく人間の移動のための自転車に、無人運転によるメリットはあるのでしょうか。

乗りたい時に、スマホで駐輪場から自動で呼べれば、多少は手間が省けるでしょう。しかし、わざわざそのために自動運転を装備せずとも、今のように自分で駐輪して、自分でペダルをこいで移動すれば、十分に便利です。自動運転にするコストを考えれば、それほどメリットは大きくない気もします。

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ただ、必ずしも自分でペダルをこげる人、こぎたい人ばかりではありません。将来、クルマの自動運転が実現したとしても、都市部の道路の容量をそう簡単に増やせない以上、クルマのほうを小さくするという考え方は十分に成り立ちます。1台に平均しても1人と少しくらいしか乗っていないのも確かです。

ならば、自動運転カーではなく、自動運転の3輪の自転車を移動手段とするほうが、道路スペース的に、はるかに効率的です。新しいモビリティとして、自動運転の無人の3輪自転車が迎えに来て、ただ座っていれば、目的地に着く、スピードは遅いけど自動運転カーより結果的に速い、なんて未来もありうるのかも知れません。




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武漢で病院が満杯との書き込みを削除、外国TV遮断等の報道もあります。情報が統制されているのでしょうか。

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