February 25, 2020

最先端の地でも現実的な課題

スタンフォード大学は世界有数の名門大学です。


アメリカはカリフォルニア州・スタンフォードにあり、シリコンバレーの中心に位置しています。グーグルやヤフー、HPなど数々のIT企業の創業者を輩出していることでも有名です。元々シリコンバレーは、スタンフォード大学出身の技術者が企業を設立したり、誘致したことから始まったとされ、文字通りシリコンバレーの中心なのです。

いろいろな大学ランキングでも、世界のトップ3に入るような大学であり、スポーツでも強豪校です。国立の研究機関も設置され、卒業生には各界で活躍する人が大勢います。同大学の優秀な人材を求めて、多くの先端 IT企業がシリコンバレーに本拠を置いているのも確かでしょう。

Photo by Jawed Karim,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.Stanford University

国外にも複数のキャンパスがありますが、シリコンバレーには、8180エーカーという広大なキャンパスが広がっています。東京ドームだと711個分もの広さがあるので、学内を移動するのもたいへんです。クルマでの移動用に駐車場は各所にありますし、専用のシャトルバスが学内を運行しています。

チャーター用のバンや、ライドシェアなどもありますが、多くの学生が使っているのが自転車です。シリコンバレーの中心にあって、自動運転のEVか何かが走っていてもおかしくありませんが、自転車です。実は、アメリカの大学の中でも、とりわけ自転車にフレンドリーな大学なのです。

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“Bicycle Friendly University award”という賞を3回も受賞しており、プラチナ認定を受けた唯一の大学です。大学のスタンスとして、大学自ら自転車に投資することで、素晴らしいことが起きると考えています。CO2の排出量を減らすということもありますが、それだけではありません。

自転車は学生や教員の健康を改善し、コミュニティとのつながりを増やし、楽しく安全なキャンパス文化に寄与すると考えています。学生がお金を節約できるように、中古の自転車を売買したりレンタルもしています。キャンパス内には、15を超える自転車ショップもあります。

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各学部の自転車シェアもありますし、学内には、自分でメンテナンスが出来るよう、無料のツールを備えた修理スタンドも設置されています。自転車の安全教育にも力を入れ、なんと自転車の乗り方を教えてくれるプログラムまであります。そのほかにも各種のプログラムやイベントがあります。

なるほど、自転車フレンドリーな大学を自認するだけのことはあります。しかし、これだけではありません。自転車の事故、交通安全に向けた研究もしています。広大なキャンパスと、クルマやバス、多くの自転車利用者が行き交う学内は、普通の街と変わりません。自転車の事故も起こります。

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2014年1月から2018年12月までの5年間に300件を超える自転車の事故が報告されました。事故の約35%はクルマとの事故、約20%は固定物との衝突です。もちろん大ケガや病院へ搬送された事例もあります。当然ながら、関係者に注意を呼びかけています。

しかし、スタンフォード大では、さらにこの学内での事故を詳細に研究しています。事故が起きた場所をマッピングしたり、分類したり、原因を分析したりします。そしてその結果を、安全性の向上につなげたり、学内の道路や施設の改修に活かそうというのです。

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実際に、例えば交差点の形状などの問題点が明らかになった場所では、交差点をロータリーにするといった改修工事を行っています。この18年間に学生と教員の規模が、約16.5%増加しており、さらに増えると見込まれる同大学にとって、道路の改善は学内の移動上の課題でもあります。

学内に数千人単位が入居する学生用のアパートが完成すると、そのブロックの人口は急増します。その区画と教室などの間の交通量も増えます。場合によっては、事故が多発しかねないので、事故防止のために、事故の原因の解明や道路や設備の改修は重要な課題でもあるのです。

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各講義の間の休憩時間、わずか10分ほどの間に交通量が集中したり、渋滞したりするキャンパス内は、普通の街とは違う要素もあります。しかし、これだけの規模、人数の自転車交通とその研究は、一般の街での自転車の事故の解明に役立つ部分もあるに違いありません。

原因を解明し、その結果に応じて道路を改修し、またその結果を検証するというプロセスは、普通の街中では、なかなか出来ないでしょう。予算の制約もありますし、関係者の多さや各種の事情もあります。事故防止に何が効果的か試したり、比較したり出来る環境は貴重です。

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学内の道路の利用者は、学生や教員、職員ですから、アンケート調査なども比較的容易でしょう。道路の欠陥や標識、信号の不備などハード面以外に、利用者の意識とか、マナーとか、ソフト面の問題も究明できるかも知れません。キャンパス内という、ある種特殊な場所は、貴重な研究環境と言えるでしょう。

ちなみに、以前取り上げた、“Sprocket Man”も、スタンフォード大学で生まれました。このスプロケットマンが何者かは、過去の記事を参照いただくとして、同大学が自転車フレンドリーなだけでなく、自転車の利用から研究、普及、安全教育、啓発に熱心なことを示すエピソードは少なくありません。

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先端ITの世界的な中心地シリコンバレー、そのまた中心のスタンフォード大学と言えば、どちらかと言うと、ハイテク技術研究の最前線というイメージを持つ人は多いでしょう。もちろん、そういう面もありますが、アナログな自転車にフレンドリーで、フォーカスもしています。

未来は、自動運転とかEV、ハイテクモビリティが当たり前になるのかも知れません。しかし、そうすぐに未来の乗り物には入れ替わりません。交通安全は身近で重要な課題ですし、自転車は省エネかつサスティナブル、むしろ現実的で、これからもっと活用すべき交通手段と捉えられているのは間違いなさそうです。




◇ ◇ ◇

政府は感染拡大の瀬戸際とするなら、今こそ短期・集中的に、もっと思い切ってイベントの禁止や移動の抑制、休校の要請など非常態勢をとるべきではないでしょうか。後に過剰だったと判明するくらいの方がいいと思います。

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