March 05, 2020

自転車を楽しめるという幸運

世界では武力紛争が絶えません。


折しも、世界的に新型コロナウイルスが広がり、疫病との闘いがクローズアップされています。世界の関心はそれがちですが、今も砲弾の飛び交う武力紛争が続いている地域は少なくありません。シリアとトルコの衝突は緊迫の度合いを深めており、予断を許さない状況です。

アフガニスタンでは米国とタリバンの和平合意が結ばれたばかりですが、タリバンはアフガン政府軍への攻撃再開を表明しています。イエメンやリビアの内戦も続いていますし、ソマリアや南スーダン、中央アフリカなどでも断続的な戦闘やテロが起きています。多くの人命が奪われているのは言うまでもありません。

Photo by Ліонкінг,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.Photo by Ліонкінг,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.

そして、ウクライナの東部でのロシアとの軍事衝突も終わったわけではありません。やはり、世界からの関心は薄れつつありますが、クリミア半島はロシアに占領されたままですし、東部2州では親ロシア武装勢力との内戦状態となっており、断続的な武力衝突が起きています。

クリミア半島の併合を受けて、国際社会はロシアに対する経済制裁を依然として継続しており、先進国首脳会議からも外されたままです。独立宣言をした東部2州についても、国家として承認をした国はありません。この紛争による死者は1万3千人を超えており、住民は依然として苦境に立たされています。

ウクライナPhoto by Правда ДНР,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.

もちろん、ウクライナへは支援が行われています。アメリカ大統領選が絡んで民主党のバイデン前副大統領親子による疑惑が注目されたりしていますが、実は日本政府が西側諸国の中で最大規模の経済・技術支援を展開しており、その額はすでに2千億円を超えています。

当然ながら、戦乱によって住居や仕事を失い、難民とならざるを得ない人が大勢でています。ロシアとの対立の解消は見通せず、依然として支援を必要としている人も少なくありません。ドネツク地方などの戦闘により、ウクライナの国内避難民も100万人に迫るとされています。

ウクライナウクライナ

ウクライナの紛争が始まったのは2014年ですから、世界的な疾病の蔓延がなくても関心が薄れがちな中、国連のUNHCRのほかに、継続的な支援を続けている団体もあります。ARKA Ecological Foundation というポーランドの慈善団体もその一つです。

2005年に設立されたこの財団は、環境が私たちの健康と幸福に大きな影響を与えると考え、環境教育や生態系の保護、エコロジーや健康増進などの活動を行っています。運営するプログラムの一つに、自転車による支援を行う活動があります。“Bike Helps”です。

Bike HelpsBike Helps

これまで、自転車に乗ることを奨励し、ポーランド国内でさまざまなキャンペーンを行ってきました。参加者が走行した距離は6千万キロを超え、削減したCO2の排出量は1万5千トンを上回ります。同時に、孤児院の子供たちに220台以上の自転車を贈る活動をしてきました。

この活動をポーランド国外に広げることにしました。その対象がウクライナです。現在も進行しているウクライナでの紛争で親を亡くした子供たちに、自転車を贈ろうというものです。親との死別に苦しんでいる子供たちに、ひとかけらの楽しみを贈ることが出来たらと考えています。

Bike HelpsBike Helps

紛争で被害を受けている国に自転車とは、意外な支援に思えます。もちろん、難民となった人たちに早急に必要なのは食料や生活必需品、住居などの支援でしょう。しかし、この財団は自分たちが出来ること、すなわちポーランド国内で行ってきた活動をウクライナに広げることにしたのです。

自転車を贈ることは、たんに戦争遺児たちの移動に役立つというだけでなく、心のケアに役立つと考えています。親と死別した悲しみや心の傷を癒すのは簡単ではないでしょう。でも、自転車に乗ることによって、少しでも気持ちが軽くなればと願っているのです。

Bike Helps

自転車が、うつ病などのメンタル面での健康を回復させるという研究はいろいろあります。戦争遺児の心のケアに役立つ可能性もあるでしょう。すぐに大きな効果は期待できないとしても、少なくとも気分転換になったり、悲しみを一瞬でも忘れることが出来るかも知れません。

残されてしまった子供たちに、決して一人ではないこと、気にかけている人たちがいることを知らせるものでもあります。つい見過ごされがちですが、ウクライナには戦争で命を落とした人の子供がいる現実、戦争孤児の問題についても国際社会に訴えることにもなればと考えています。

Bike Helps

昨年から始まった活動で20台の自転車を贈りましたが、今年はさらに多くの自転車を贈りたいと活動をしています。財団とプログラムの主催者、そしてそれを支える多くのサイクリスト、サポーターたちは、こうした支援活動を続けていきたいと考えています。

平和な日本に住んでいると、世界には戦争や内乱で苦しんでいる人が大勢いること、さらには戦争遺児の存在に、なかなか思いが至りません。私たちが自転車に乗って楽しめるのも、平和であるがゆえです。第二次世界大戦後の75年間に戦乱に巻き込まれていない国はわずか8か国、その一つである幸運にも感謝したいものです。




◇ ◇ ◇

イベントなどの自粛は仕方ありませんが、消費が減って倒産や失業が増え、いわゆるコロナ不況も心配ですね。

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