March 20, 2020

コロナとの闘いに役立つもの

新型コロナの世界的な感染拡大が続いています。


当初、アジアの話と楽観的だったように見えたヨーロッパでも、各国がその影響を認識し、緊急措置に踏み切り始めています。イタリアでは爆発的な勢いで感染が拡大しており、とうとう死者数は中国を上回りました。移動の禁止、食品の買い出しなどを除く外出の禁止、事実上の国境封鎖といった措置に踏み切る国も増えています。

ただ、未知のウイルスということもあり、各国の対応は多少の違いもあります。例えばイギリスは、学校休校を行わないなど、大陸ヨーロッパの国とは違う対応を打ち出しました。ブレグジットが決まったこともあり、そのメリットをアピールしようとした勇み足との声もあります。

学校の休校については、日本でも異論があります。子どもの健康を守るという大義はあっても、実際には子どもの感染率は低く、重症化しない傾向が見られるからでしょう。しかし、子どもに症状が出なかったとしても、感染して家族に感染を広げてしまう懸念があるのは否めません。

毎年流行するインフルエンザは学校を通じて広がる側面があり、流行しだすと全国的に学級・学年・学校閉鎖が増えます。新型コロナが同じかどうかはわかりませんが、全国の学校の各クラスが、いわゆるクラスターとなって、爆発的感染につながる可能性がある以上、妥当な措置ではないかと思います。

CoronavirusCoronavirus

イギリスも、学校の休校はしないという当初の対策を転換し、全土の学校を休校にすると表明しました。イギリス国内の感染者、死者が急増しつつあることが方針を大きく転換させたようです。ほかに不要不急の移動や他者との接触を避け、自宅で仕事をし、パブなどへ行かないことも呼びかけています。

ただ、懸念されるのは経済との兼ね合いでしょう。国民の命と健康を最優先にし、移動や外出を禁止するのは、感染拡大を防ぐための必要な措置だとしても、それが続くと経済が収縮し、企業の倒産や失業者の増加など大きな社会不安につながります。対策をすればするほど、経済面で苦しくなってしまうのが難しいところです。

非常事態ですから、国民が不自由な生活を強いられるのは仕方がありません。しかし、今後長期的な影響を考えると、いみじくもイギリスのジョンソン首相が指摘したように、自宅に籠る生活を、人々がいつまでも我慢できるかという問題も出てきそうです。

さて、そんな中、イギリスの、Bicycle Association(BA)という団体が声明を出しました。この団体はイギリスの自転車産業や貿易を振興する業界団体であり、70社以上の会員企業が参加しています。このBAが今回のコロナウィルスと自転車産業について言明しています。

 Coronavirus

まず、現在のコロナによる異常な社会状態において、自転車とサイクリングは、すでにイギリスの地域の交通機関の持続性、弾力性について、重要な役割を果たしていると指摘しています。さらに、イギリスの多くの人が、他人の健康を危険にさらすことなく、適度な運動や幸福を維持することを可能にしていると言及しています。

また、通勤しなければならない人、必要な物資の買い物をしなければならない人にとって、社会的距離を維持するのが難しい公共交通機関を使うより、自転車はリスクの低い選択肢だとしています。カーゴバイク等による運搬は、家庭までのラスト1マイルを担う重要な輸送手段となっています。

人々が外出することなく食料品などを手に入れるため、ネット通販や、フードデリバリーを利用する傾向は急拡大しています。食料品店などが、そうしたニーズに対応するため、低コストかつ迅速に増やすことの出来る輸送手段であることも間違いないと言うのです。

ここで言う社会的距離の確保(Social distancing)は、これまで一般的に使われてきた、階級や人種、民族などが違うグループ同士の距離(Social distance)のことではありません。最近、欧米で急に、かつ非常によく使われるようになった意味、すなわち感染症の広がりを防ぐために、周囲の人との距離をとることを指します。

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最近欧米各国では、行列を作るのに1メートルとか2メートル離れるなど、人と距離をとるという感染防止手段が真剣に推奨されています。しかし、電車やバスでは、この距離の確保が難しいのは明らかです。つまり、自転車は感染のリスクが低い移動手段であり、感染拡大の抑止に貢献するというわけです。

さらに、クラスターとなりうるスポーツジムと違って、人々の格好の運動手段にもなります。気分転換にもなるでしょう。自転車が幸福の維持という部分に違和感を持つ人もあるでしょうが、自転車に乗ることがうつ病を防いだり、メンタル面にも効果が大きいことは、欧米では、わりとよく知られています。

電車を避けて自転車通勤をしている人、フードデリバリーに自転車を使っている人もいます。たしかに、急な宅配注文の増加に、自転車による配送を急遽取り入れた店もあるかも知れません。このコロナウィルスの感染拡大という事態に、自転車は大きな役割を果たしていることを指摘しているのです。

その上で、政府に対し、自転車産業がコロナ対策において戦略的産業であると認識することを強く求めています。現在の緊急措置の中でも、自転車産業の継続的な運営を保証し、保護するべきだと言うのです。具体的には、自転車店を他の商売と同じように、営業禁止などにすべきでないとしています。

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人々が自転車を使い、またそのニーズが高まっている時に、自転車店は、そのインフラとしての役割を果たします。自転車の購入だけでなく、修理をしたり、消耗品を補給したり、必要なアクセサリーを供給するなどします。この重要性を認識すると共に、場合によっては保護することを求めているわけです。

非常時でも、食料品店、どうしても必要な日用品やクスリなどを扱う店を閉めさせるわけにはいきません。それと同じように自転車店も扱うべきというわけです。特にヨーロッパにおいて自転車が果たしている役割を考えれば、なるほど理解できる話です。

実際に、ドイツなどでは、このコロナ禍での自転車での移動を推奨しています。自転車大国のオランダでは、レストランから風俗店、大麻カフェに至るまで閉鎖される中、バイクショップはオープンしています。当然のように、自転車王国オランダでは不可欠なサービスであり、一連の営業禁止措置に含まれないのです。

交通インフラと認識される国がある一方で、例えば、スペインやイタリアでは、自転車による移動が制限されています。これらの国では、自転車も含めて、人々の移動を制限すべきと考えているのでしょう。どちらが正しいか、ここでジャッジするのは時期尚早としても、個人的には、違うような気がします。

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イギリス自転車協会も、こうした措置をとる国があることを念頭に、自国の政府には禁止しないよう要望したのでしょう。業界団体以外にも、イギリスでは、公衆衛生や交通輸送の研究者など30人ほどの専門家グループが、政府に対して同様の申し入れをしています。

イギリスのジョンソン首相はロンドン市長の時代に、シェア自転車、通称ボリスバイクを導入した人でもあります。インフラ整備などにも取り組み、自身も自転車で通勤するなど、自転車に対してはとても理解のある人です。首相になってからも自転車政策について打ち出しているのは、以前このブログでも取り上げました。

そんな首相ですから、言わなくてもわかっていそうなものですが、一方で政治的な独断や行き過ぎることもあります。ブレグジットの一連の動きを見ても明らかでしょう。当初あえて学校を休校しなかったことも含め、時々何を言い出すかわからないため、自転車協会や専門家グループがわざわざ声明を出したのかも知れません。

当面、自転車も含めて移動を禁止するのは、その国の政府の判断です。しかし、レジャーや運動としてのサイクリングまで禁止し続けるのが妥当でしょうか。自転車で出かけるのは比較的低リスクですし、たださえ抑圧されている中、運動不足解消や気分転換になる点は大きいのではないでしょうか。

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自転車で幸福の維持と言われても、日本人にはピンと来ないかも知れません。日本では、圧倒的多数を格安なママチャリが占めており、重くて快適でないことも多いでしょう。錆びて異音がしていたり、空気圧が足りず、サドルが低くて力が入らず坂が苦痛など、自転車に乗るのを楽しく感じていない人は多いに違いありません。

しかし、本来のサイクリングは、乗っているだけで楽しくなるものであり、憂鬱な状態で自転車に乗ることは出来ないなどと、アーサー・コナン・ドイルや、ジョン.F.ケネディ、ジェームス.E.スターズなど、昔から偉人・著名人の言葉が残っています。趣味のサイクリストなら同意してくれるでしょう。

このコロナ不安で抑圧された中、単なる運動不足解消にとどまらず、鬱屈した気分を晴らす点でも、格好の道具でもあるわけです。日本でも、電車やバスよりリスクが低いのは明らかです。自転車に乗って、郊外の里山や河川敷などに出かけ、お弁当を広げるだけでも、気分は晴れるに違いありません。

なんとかコロナウイルスを封じ込めるのが一番です。しかし、一方で自粛疲れ、巣ごもり疲れも出てきます。冷静に考えるならば、人との距離がとれ、声を発したり歌うことがなく、換気が悪いどころか風に吹かれる自転車は、むしろ積極的に推奨すべきでしょう。対策として自転車は枝葉末節なことではありますが、案外役に立ちそうです。

世界の人々が、むしろ今こそ自転車を活用し、必要な移動をしたり、運動をしたり、ストレスを発散してほしいと思います。こうした事態に、どうしても気分が萎縮しがちですが、一人でも多くの人が自転車の利用を思い出し、もしかしたら、少し長くなるかも知れないコロナとの闘いに役立ててほしいものです。




◇ ◇ ◇

世界がピリピリする中、外出禁止のスペインで街角にティラノサウルスが出現したようです(笑)。ゴミ捨てに出かけただけで意図したわけではないようですが、世界で500万回以上再生され、少し和ませたのではないでしょうか。


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この記事へのコメント
cycleroadさん,こんにちは.

当地長野市内でも,時間帯によっては以前と比べると走る自動車の台数がかなり減ったような気がします.

そこが狙いめで,後方の安全が確認出来たら私は自転車で堂々と車道の左側を走るようにしています.車が来ないなら,歩行者と入り乱れて危険な歩道を自転車で通行しなければならない“やむを得ない”理由は無いからです.
Posted by マイロネフ at March 20, 2020 13:23
マイロネフさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
クルマが少なくて走りやすい状況というわけですね。自宅勤務などでクルマでの移動も減っているのでしょうか。
日本では、公共交通機関をやめて自転車が増えているという傾向は、特に報告されていないようです。
むしろ外出を自粛するぶん、自転車に乗る人も減っているのかも知れません。
Posted by cycleroad at March 22, 2020 22:08
 
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