July 18, 2020

災禍は都市を作り変える好機

世界には多くのメディアがあります。


その一つ、“Bloomberg”(ブルムバーグ)はアメリカの大手通信社で、特に経済や金融情報で有名な総合情報サービスを展開するメディアです。そのブルムバーグが、世界の都市についての情報を伝えるサイト“CityLab”を買収、先月統合し、“Bloomberg CityLab”としてリニューアルオープンさせました。

このブルームバーグ・シティラボは、ビジネス、文化、デザイン、交通、環境、経済、生活など、その歴史から革新まで、幅広く都市に関するトピックをカバーしています。ジャーナリズムの立場から、都市で起きている問題に切り込み、詳細な分析を加えて報じています。

Bloomberg CityLabBloomberg CityLab

最近で言えば、街のスーパーから、アメリカでは一般的な販売スタイルであるサラダバーが消える危機にあるといった身近な話から、人種差別に反対するデモや都市開発の政府予算といった話題に至るまで、広く展開されています。そのシティラボに、都市の話題として最近、自転車関連が増えています。

例えば、日本向けのサイトにも、「自転車の復権、コロナが変える街づくり」という記事が載っています。今回のコロナ禍で、世界中の都市で自転車の利用が急増し、自転車が足りなくなるほどのブームになっていることは、このブログでも再三取り上げてきましたが、この話題について、次のようなキャプションがついています。

「世界中で新たな自転車専用道路が登場し、自転車販売も伸びている。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)により人々は地下鉄やバスの利用を避け、自転車にブームが起きている。今後、私たちが暮らす都市の「健康」にも大きく影響するかもしれない。トム・ギブソン記者が動画でリポートする。」

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そのリポートでは、ソーシャル・ディスタンシングのため、バスや電車、タクシーの利用者が減り、街の移動手段が変化していることを指摘しています。そして、自転車は人々の健康だけでなく、『街の健康』にも恩恵をもたらすとしています。

まず、自転車の利用者が増えることで、クルマの利用が減り、大気がきれいになることが挙げられます。日本では過去の出来事として、あまり話題にも上りませんが、ヨーロッパで大気汚染は深刻な問題です。この大気汚染で、大都市の人々の寿命が明らかに短くなっているとの認識が共有されています。

コロナによる自転車の利用急増で大気汚染は激減しました。単に自転車が好きとか運動不足解消になるという話でなく、生活様式として自転車を活用するため、都市を変えていく必要が広く意識されています。自転車に優しい街に変えるのは、まさに今だと主張しています。

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世界中の都市で、即席の自転車レーンが設置されましたが、自転車の利用者が増えれば、道路のスペース効率が大きく向上し、渋滞が減ることも指摘しています。クルマは有用ですが、街では、もはや効率的ではありません。個人の金銭負担だけでなく、クルマに比べた自転車の社会的コストの低さも際立ちます。

有名な自転車都市、アムステルダムやコペンハーゲンのように改造することは可能としています。そのためには、都市の道路を歩行者や自転車向けに設計し直し、安全を確保することが必要です。具体例が、スペインのセビリアです。セビリアでは、自転車での移動が4年間で1000%も増加しました。

自転車で走りやすい都市にすることが必要であり、そのための重要な要素が自転車インフラです。セビリアでは、街の道路の、事実上クルマのパーキングスペースと化している部分を自転車レーンにしました。一定の費用はかかりますが、恒久的なレーンにすれば、自転車での移動が定着するとも述べています。

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これにより自転車用の道路網が出来上がり、都市の景観も変わったと言います。コツコツ増やすのではなく、素早く道路網全体の整備を実施することが、セビリアに学ぶべき重要な教訓だとしています。費用はかかりますが、地下鉄の建設と比べれば、はるかに小さな額です。

絶対額だけでなく、自転車レーン網の経済効率の高さ、建設の費用対効果の高さも注目すべきポイントです。それぞれの都市に応じた手法はあるとしても、ロンドンのような大都市でも、セビリアのように都市を変えることは十分に可能であり、その決断を下すべき絶好の機会に来ているというわけです。

この動画には日本語の字幕もついていて親切なので、是非リンク先から見ていただきたいと思います。このほかにも、英語板のサイトを見ると、都市での自転車活用という課題が、多くの都市に広がっていることがわかります。このコロナ禍で顕在化し、どこでも問題意識が高まっているのでしょう。



例えばパリでは、ロックダウン後にクルマを締め出す計画を進めていることが取り上げられています。パリ市長は、封鎖後にクルマに支配されたパリに戻ることは問題外だと明言しています。ヨーロッパだけではありません。アメリカやカナダの都市でも同様の議論が起きています。

北米では、近郊からクルマで通勤する人も多いわけですが、結果として都市へのクルマの集中がおこり、渋滞が起きています。そこで、クルマで通勤するのではなく、自転車で片道15分程度で通えるような街をつくるという考え方が示されています。

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このブログでは、これまでも同様の話題を取り上げてきました。ただ、自転車ブログが関心を寄せるのは当然としても、大手の一般メディアでも、都市と自転車の問題が、最近数多く取り上げられています。つまり、世界中の都市で、移動手段としての自転車の活用が真剣な課題となっているのです。

コロナの前からの課題ですが、このコロナによる社会の変化は、都市の移動の問題、渋滞や安全、大気汚染や人々の健康を見直す絶好の機会と、多くの都市が見なしているのは間違いなさそうです。残念ながら、日本でその気配は乏しいですが、世界の都市は、コロナの先も考え始めているようです。








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新宿の劇場クラスターでは無責任な催行が指摘されていますが、みるみる各地に広がるのが怖いところですね。

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