July 30, 2020

自転車とトレイラーの使い道

自転車は運搬にも使えます。


ただ、普通の自転車の輸送能力は大きくありません。メッセンジャーとか宅配代行くらいの荷物ならともかく、大きな荷物や多くの荷物は運べません。荷物を運ぶ場合は、やはりカーゴバイクでしょう。これまでにも何度か取り上げましたが、驚くほど多くの、あるいは大きな荷物も運ぶことが出来ます。

カーゴ・トレイラ―
自転車用トレーラー


Journey Trailer
チャイルドトレーラー


もう一つは、トレイラーを使う方法です。日本では自転車でトレイラーを牽引している人をほとんど見かけませんが、日常的に使われたり、業務などに活用されている国もあります。カーゴバイクは大きいぶん、収納や駐輪に邪魔になったりしますが、トレイラーは外してしまえばいいのが長所でしょう。

トレイラーを使えば、自転車でキャンプに行くことも可能です。子どもを乗せるチャイルドトレイラーも売られています。一般的な子供乗せママチャリと違って、低速でもふらつかずに安定して走行できます。自転車をとめた時に、チャイルドシートの高い位置から子どもが落下する事故が多発していますが、その心配もありません。



個人用のトレイラーはコンパクトなものが多いですが、業務用などに使われるトレイラーは、かなりの重量物でも運べます。なかには、テント型のトレイラーを牽引してキャンプに行き、トレイラーで寝る人もいます。いちいちテントを張ったり、ベッドを組み立てる必要のないのが便利でしょう。

トレイラーは荷物だけでなく、人を運ぶことも出来ます。子どもだけではありません、大人でも十分乗せることが可能です。人を乗せて運ぶ、例えば救急車です。自転車で救急車なんて笑い話のように聞こえますが、決してそんなことはありません。実際に実用化されている国もあります。



例えばアフリカです。サブサハラの貧困に苦しむ途上国、それも都市部でない場所では、クルマを利用出来ない人が大勢います。医者のいない村が多く、病気やケガ人は遠くの街まで運ぶ必要があります。背負って運べる距離ではありません。そこで自転車が活用されているのです。

多くは舗装もされていない悪路です。それを何十キロ、あるいは百キロ以上の道のりを自転車で運ぶのは、さぞかし大変でしょう。自転車もトレイラーも高性能なものではありません。しかし、アフリカの僻地の村に住む人にとっては、これは大きな福音です。少なくとも患者を運べる手段が出来たからです。



さて、こうしたトレイラーを利用した自転車救急車は、実際にアフリカやアジアの途上国で使われていますが、途上国以外でも使えるのではないかと考える人たちもいます。ベネズエラの工業デザイナー、Jorge Coll さんもその一人です。“Neura”と名付けられた、救急搬送用トレイラーをつくりました。

患者を乗せるスライド式ストレッチャーが備え付けられ、患者一人と後部に救急救命士が一人乗ることが出来ます。長さは3.1メートル、軽量化がはかられています。動画ではオートバイが使われていますが、自転車でも十分に牽引出来ます。場合によっては、むしろ自転車のほうが便利かもしれません。

Neura

自転車だと、出だしは力がいりますが、走り出せば慣性の法則で、それほど重くないはずです。今は電動アシスト自転車という手もあります。国によって交通ルールの問題はありますが、自転車で牽引したほうが小回りがきき、そのぶん融通が利く部分も多いに違いありません。

これを使う目的は、都市部での渋滞です。一刻も早く病院に搬送したくても、普通のクルマの救急車だと、渋滞にはまって動けなくなることがあります。救命に間に合わないことも起こりえます。新興国の中には、救急車配備の予算の乏しい都市もあるでしょうから、安価なのもメリットです。

NeuraNeura

NeuraNeura

先進国であっても、渋滞の激しい都市部では、かえって早いということもあるに違いありません。日本も例外ではありません。下の動画は東京の表参道ですが、渋滞で救急車が容易に進めない様子が記録されています。乗っている患者や付き添いの家族にとっては、気が気でないはずです。

普通は、渋滞していても他のクルマが脇に寄るため、通れると思いますが、突然の事故など渋滞の発生状況によっては、ピタッと動かなくなり、寄りたくても寄れないこともあるでしょう。動画は片側3車線ですが、もっと幅の狭い道で、駐車車両が邪魔しているなどのケースもあります。



東京の繁華街では、道の狭い場所もたくさんあります。ふだん気にしていませんが、いざ自分の身に起きたらと考えると怖い話です。そんな場合でも、“Neura”のようなトレイラーであれば、運べる可能性は高まります。イザとなれば、緊急避難的に歩道を通行することも出来るかも知れません。

ところで、日本の救急車にも、いくつか種類があります。東京なら東京消防庁が運行する、一般的な救急車以外にも、各病院が所有する救急車があったりします。他にも、民間救急と言われる民間の事業者が搬送サービスとして運行している救急車があります。見た目は似ていますが、緊急を要しない患者などを搬送しています。

Photo by Tokumeigakarinoaoshima,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.民間救急
(左は民間救急の救急車、右は病院所有の救急車)

先日、テレビのドキュメント番組で、この民間救急が取り上げられているのを見ました。このコロナ禍で、一部の民間救急も大忙しとなっているそうです。民間救急の救急車で、コロナの陽性患者、それも無症状や軽症の患者を搬送するニーズが高まっているのです。

いま、東京や大都市を中心に、またコロナの陽性患者が増えています。PCR検査が行われても、即日結果が出るわけではないようです。症状の顕著な人は、そのまま入院かも知れませんが、最近多いと言われている、無症状や軽症の患者は後日、陽性の連絡を受けてから、病院や療養するホテルに向かうことになるのでしょう。

その際の移動手段が問題です。陽性患者ですから、電車やバスに乗るわけにはいきません。タクシーもダメです。家族の運転する自家用車だと、その家族が感染する可能性があります。入院やホテルへ移動するにも、その手段に困る人も少なくないはずです。そんな場合に使われるのが民間救急の救急車のようです。

毎日ニュースで感染者数が報道されますが、その中で、今日の陽性患者○人、入院○人、重症○人、ホテル療養○人、自宅療養○人、調整中○人、などと内訳が示される場合があります。入院やホテル療養と決まっても、受け入れ先決定を待つ人が調整中○人のようですが、その中には移動手段の調整待ちもありそうです。

東京都の例でも、調整中が数百人から千人程度も出ています。どのくらいの人が民間救急の救急車を利用するのか知りませんが、民間救急が大忙しということは、利用者も多いのでしょう。医療現場もひっ迫しつつあるようですが、民間救急も負担を強いられているというドキュメンタリーでした。

患者は無症状・軽症なので歩いて乗り込むだけですが、民間救急の業者は感染防止に最大限の注意を払う必要があります。当然ドライバーは防護服やマスク、フェイスシールド、手袋など厳重装備です。救急車の内部、患者との間にビニールで仕切りをつけたり、消毒したりなど作業も多く、たしかに大変そうでした。



そこで思ったのですが、この“Neura”のような救急用トレイラー、日本でもコロナ陽性患者の搬送に使えるのではないでしょうか。患者に自分で乗り降りしてもらい、距離を保ってトレイラー部分に触れないようにすれば、運転者は防護服を着なくても済みそうです。

普通の救急車だと、中を間仕切りしたり、厳重な防護服の脱ぎ着に、毎回の消毒など大変です。しかし、トレイラーなら非接触で運べます。無症状や軽症の患者ならばストレッチャーも不要で、座席だけでもいいと思います。もちろん、救急救命士が一緒に乗りこむ必要はありません。

そもそも民間救急は、救急車の中で医療行為は出来ません。救急走行も出来ません。トレイラーなら、自転車をこぐ人だけいれば、患者が運べます。免許も不要なので、極端に言えば学生アルバイトでも出来そうです。もちろん、距離がある場合は、オートバイで牽引することも考えられます。

そう考えると、自転車にトレイラーというスタイルは、コロナ患者の移送に持ってこいのような気がしてきます。素人の思いつきなので、実際どうかはわかりませんが、渋滞する場所向けだけでなく、患者搬送用に自転車+トレイラーという形は、案外日本でも使えるかも知れません。




◇ ◇ ◇

今月上旬まで感染者は全国合計で1万人台だったのに、あっという間に全国で3万3千人を超えました。発生源の中国全体で8万4千、このままなら抜くのも時間の問題でしょう。そう考えると危険な状況になってきたと感じます。

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