September 01, 2020

自転車の不便さを補うパーツ

自転車には不便な部分もあります。


何にでも長所と短所があるわけで、不便、不満を感じることもあると思います。ただ、人によって、不便と思う点は違ってくるかも知れません。例えば、止めた時に安定しないことです。2輪の自転車は、基本的に接地点が2点しかないので、そのままでは倒れてしまいます。

そんなの当たり前で、不便と思ったことがない人も多いと思います。スポーツバイクには基本的にスタンドが標準で装備されていないので、そのままでは自立させておくことは出来ません。それでも、何かに立て掛けるか、場所によっては倒しておけばいいので、必ずしも不便とは限りません。

ただ、駐輪機やラックのない、ただ置くだけの駐輪場では困ることもあるでしょう。自立させるためには、何らかのスタンドが必要になります。呼び方はいろいろですが、両足スタンド(リヤスタンド)や、片足スタンド(キックスタンド、サイドスタンド)と呼ばれるようなものが一般的です。これで3点接地となり自立します。

両立スタンド
サイドスタンド


でも、ハンドルが切れて前輪が動いてしまうと、スタンドがあっても倒れる時があります。ラックのない駐輪場では、風などで動いて倒れたり、一台倒れると将棋倒しとなって、全部横倒しになったりします。特に片足スタンドだと倒れやすい面があります。

より安定するリヤスタンド、両立、両足スタンドであっても、バランスを崩して倒れる場合があります。問題となるのは、チャイルドシートを装着して、子どもを乗せている時でしょう。スタンドを立てていても、荷物などに気を取られていると、突然前輪が動いてしまい、結果、転倒してしまうことがあります。

スタンドを立てた状態という油断もあるのでしょうが、実は、このように前輪が動いてしまうことで転倒し、子どもが落下する事故が後を絶ちません。子どもの落下事故は、走行中などではなく、停止してスタンドも立てた状態で起こることが多いとされています。

たくさんの荷物を積んで、ツーリングなどに出かける人なら、自転車を何かに立て掛けたり、スタンドを出した途端、前輪が動いて転倒してしまったという経験があるのではないでしょうか。ママチャリの前カゴに荷物を満載している時などが、より身近かも知れません。ハンドルが勝手に切れて、前輪が動いてしまいます。

STEERSTOPPERSTEERSTOPPER

これが不便だと思った人がいます。Thomas Melcher さんです。“STEERSTOPPER”というパーツを開発しました。駐輪時にセットすることで、フレームとハンドルが真っ直ぐの状態で固定されます。これとスタンドと併用すれば、ハンドルが勝手に動いてしまい、転倒することがなくなります。

もちろん、あくまで停止時用です。走行中に前輪を固定するのは危険です。カーブでは体重を傾けて曲がるとは言っても、低速ではハンドルを使います。直進している時ならハンドル固定でもいいような気がしますが、無意識にハンドルを動かしてバランスをとっています。

STEERSTOPPERSTEERSTOPPER

やったことはありませんが、ハンドル固定だと、まともに走れないのではないでしょうか。大きくハンドルを切ることは少ないとしても、全然動かなければ問題でしょう。自転車にハンドルがあり、前輪を微妙にであっても、左右に動かせることには意味があるわけです。

駐輪時には、言われてみれば、たしかに便利かも知れません。とくに荷物をたくさん積んだ状態で自転車をとめ、その場を離れる必要がある人には便利でしょう。Melcher さんは、ハンドルが勝手に動いてしまうのが、よほど不便に思ったのでしょう。必要は発明の母と言いますが、それを解決したかったようです。





似たような機能のアイテムに、ハンドルバーホルダーがあります。シートポストとハンドルバーをつないで固定することで、ハンドルが動かないように出来ます。室内保管の時やメンテナンス作業時に、こうしたアイテムを使う人もあると思います。ただ持ち運びには向きません。

HANDLEBAR HOLDER
HANDLEBAR HOLDER


ちなみに、調べてみると、似たような機構を最初から装備している自転車もあるようです。大陸横断など、長距離を何日もかけて自転車で旅行するような人たち向けの自転車、いわゆるツーリングバイクで、“Tout Terrain”というドイツのブランドの、“Silkroad”というモデルです。

SILKROADSILKROAD

名前のように、シルクロードを走破するような人、御用達です。たくさんの荷物が前後に積め、フレームも頑丈になっているなど、悪路での走破性、信頼性を高めています。このような用途であれば、前輪をロックさせる機能があると便利ということなのでしょう。

ステアリングリミッター、ロックと呼ばれる機構です。下の動画の、2分5秒くらいから出てきます。ハンドルが動いて転倒してしまうことを防ぎます。前輪部分にもたくさんの荷物を積んで走ることを想定したバイクなので、この機構は重要な、他と差別化するポイントでもあるようです。



はたして、ハンドルを固定する装置が、一般的な使い方しかしない普通の自転車に必要かと言われれば、首を傾げざるを得ません。イザという時あれば便利でしょうが、あまり使う頻度は高くないという人が多そうです。使わないならば邪魔ですし、余計なパーツということになります。

チャイルドシートを装着して子どもを乗せる場合には役立つかも知れません。製品としてチャイルドシートとセットにしてしまうことも考えられます。ただ、子どもの場合は動くので、ハンドルが固定されていても、場合によっては転倒し、落下が防げないこともあると思います。

STEERSTOPPERSTEERSTOPPER

ハンドルの固定機構、欲しいと思うかは人それぞれでしょう。必ずしも広く普及するパーツとは言えません。しかし、いろいろな不便、不満を解決しようと工夫する人がいるおかげで、自転車は試行錯誤を重ねながら少しずつ進化していくのかも知れません。




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ヨーロッパ最後の独裁者、ベラルーシのルカシェンコ大統領に挑んだチハノフスカヤ氏が、日本は本当に幸運とインタビューに答えています。ふだん意識してませんが世界には選挙で為政者を選べない国も多いのは確かです。

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この記事へのコメント
 日本のシティーサイクルだと、「鍵をかけると、ハンドルをロック」するものがありますね。ハンドルだけロックされた状態で壊れる場合を考えて、一定以上の力を加えれば、ハンドルは回るようになっていますが、駐輪時にハンドルが勝手に動かないという役割は果たすと思います。
Posted by ひでさん at September 01, 2020 16:57
いつも海外の様々な情報を楽しく読ませていただいており、ありがとうございます。

ところで、日本で一番メジャーな自転車であるところの電動子供乗せママチャリには、かなり昔からハンドルロックが標準装備されてます。

http://tek-tek.net/ebike/steerling-locks/

これだけ博識な方でも灯台下暗しなのかと、気になったもので、、、
Posted by 通りすがり at September 04, 2020 09:37
ひでさんさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
言われて思い出しましたが、たしかにそのような自転車が売られていますね。調べたら、私も過去に取り上げ、何度も言及していました(笑)。
後から外付けする製品は初めて見たと思いますが、同様の機能を持つ自転車も、スポーツバイクについてしか考えておらず、ママチャリにあるのは失念していました。
ご指摘ありがとうございました。
Posted by cycleroad at September 04, 2020 14:19
通りすがりさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
博識だなんて、とんでもないです。趣味でネットなどを見ていて知ったことを書いてるだけで、知らないことはたくさんあります。ママチャリは持っておらず、乗らないので全く詳しくありません。
たしかに子供乗せママチャリにありますね。調べたら、私も過去に取り上げていましたが(笑)、こんなに各社からいろいろ出ているとは知りませんでした。
このように、皆さんからご指摘いただいたり、情報をいただくおかげで知ることも多々あります。
わざわざ教えていただき、ありがとうございました。
Posted by cycleroad at September 04, 2020 14:34
 
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