November 18, 2020

人間と自転車の関係性の進化

近年の技術革新には目覚ましいものがあります。


AI、5G、IoT、クラウドコンピューティング、ロボット、ビッグデータ、VRといった新しい技術も目白押しです。ただ、技術が生まれても、それをどう使うかが重要です。例えばスマホ回線が5Gになったとしても、それだけでは大きく変わらないでしょう。5Gをどう使うか、新たなイノベーションが必要です。

イノベーションの父と言われる経済学者、ヨーゼフ・シュンペーターによれば、イノベーションは、「すでにあるものの新しい組みあわせ」だと言います。既存の製品、サービス、市場、材料、デザイン、そして新しい技術との今までにない組み合わせがイノベーション、新たな価値を生む可能性があります。

Photo by Joachim Kohler,under the GNU Free License. This image is in the public domain.

これまでにも、新しい技術が生まれるたび、いろいろなものと組み合わされて来ました。自転車についてもそうです。例えばオートバイ、1863年にフランスの発明家のルイ・ギヨーム・ペローという人が蒸気機関を動力とする二輪車を考案したのが原型とされています。当時すでに自転車が誕生して半世紀ほど経っていました。

最初のオートバイは蒸気機関との組み合わせだったわけです。その30年後にガソリンを使った内燃機関の開発に成功、当時すでに完成されていた自転車の技術、スポークホイール、チューブタイヤ、ベアリング、チェーン、スプロケットやハンドルなどと組み合わせ、今につながるオートバイへと発展しました。

電動アシスト自転車
Photo by D.Bellwood,under the GNU Free License.

それ以降も、モペットとか、電動アシスト自転車など、当時のエンジンや小型で高性能のバッテリーなどの技術と自転車の組み合わせが、新しい乗り物を生み出してきました。近年の新しい技術は、はたしてどんな新しい乗り物を生み出すのでしょうか。

なかなか一朝一夕に出来るものではないと思いますが、こちらの“CanguRo”も、未来の新しい乗り物を模索する一例と言えるでしょう。千葉工業大学・未来ロボット技術研究センターが開発しました。読み方は「カングーロ」、イタリア語でカンガルーのことです。

CanguRoCanguRo

CanguRoCanguRo

言われてみれば、カンガルーに見えないこともありません。自律ロボットであると同時に、新しい乗り物でもあります。ペダルが無いので、これを自転車と言うかどうかはともかく、電動だけで走る、e-bike と同じ、広い意味では自転車に近い乗り物と言えるでしょう。

自転車のように、またがって乗ります。ライドとロボットを合わせて、“RidRoid”、ライドロイドという造語で呼ばれています。ロボットモードの時は、まさしくロボットとして、ユーザーの後を自動でついてきたり、ショッピングのサポートをしてくれたりします。

CanguRoCanguRo

乗って移動したい時には、トランスフォームして乗り物になります。ライドモードです。乗り手の身体の一部のようになって移動をサポートします。移動速度に応じて鼓動したり、サドルが振動します。ハンドルなどにもフィードバックがあるので、体感的に乗ることが出来ると言います。

さらに、“scanSLAM”という技術で、指定の場所へ向かわせたり、呼び出して迎えに来させたりも出来ます。自動操縦機能を備え、自律走行するわけです。各種センサーで周囲の状況を把握し、危険な場合はブレーキをかけるなど安全機能も備わっています。

CanguRoCanguRo

移動スピードは時速10キロとゆっくりで、例えば商業施設などの屋内を走行するような用途も想定されているようです。ユーザーが乗って移動したり、ロボットとして荷物を運ぶなどの買い物支援をしてくれる点は、高齢化社会に向けたニーズも意識されているのでしょう。

ユニークなのは、そのコンセプトです。必ずしも機械や乗り物としてではなく、人間と乗り物としての馬のような関係を目指したと言います。人間と動物の相棒のような関係性を持つ、未来の機械生命体を意識したプロダクトデザインになっているのです。

CanguRoCanguRo


Photo by littlelostrobot,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.
ユーザーにとって、ペットのように感じられることを意図しているのでしょう。下の動画を見るとわかりますが、時々、映画スターウォーズに登場するロボット、R2-D2(アールツーディーツー、右の写真)のような音を出しています。機械なのに、甘えているような印象を受けたりします。

わざわざ、こんな音を出すようにしているのです。R2-D2を知らない人でも、ペット、あるいは生き物の相棒のような感覚が得られるのではないでしょうか。単なる道具、機械、あるいはロボットとしてではなく、愛馬に対するような愛着が生まれることを狙っているのでしょう。




自律移動する乗り物や運搬装置としてだけでない付加価値を生む可能性があります。もちろん、それを可能にする技術があってこそ実現出来るスタイルです。これがそのまま普及するわけではないとしても、なんとも未来的で、新しいプロダクツと言えるでしょう。

この“CanguRo”、ハンドルや車輪があってサドルにまたがるくらいしか自転車と似ていません。でも、未来の自転車も、もしかしたら、自律走行して迎えに来てくれるようになったり、音を出して意思表示をしたり、人間と馬のような関係になるかも知れないと考えると楽しくなります。

CanguRoCanguRo

新しい技術をどう組み合わせ、どんな新しい価値を生み出すか、日夜研究している開発者はおそらく世界中にいるはずです。私たちに予想できるような従来の延長線上にある自転車とは、かけ離れた乗り物、製品が登場してくるかも知れません。そんなイノベーションを期待したいと思います。




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依然として敗北を認めないトランプ大統領、7100万票も集めて支持者の手前、簡単に諦めるわけにいかないでしょうし、裁判に訴えるのは正当な権利ですが、その先に勝算はあるのでしょうか。下院の投票になるのでしょうか。

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