November 24, 2020

さらなる進化を目指す人たち

電動アシスト自転車が伸びています。


日本では特に子どもを乗せて送迎する用途でママチャリタイプが多いようですが、世界的に見ると、もはや自転車の種類の一つというより、いろいろなタイプで電動と非電動が存在する、あるいはオプションのような位置付けになりつつあります。例えば、スポーツバイクにもアシスト付きのタイプが増えていてます。

国によっては、電動アシストだけでなく、電動のみでも走行出来る、e-bike も含まれますが、かなりの割合を占めるようになってきています。例えば、世界最大の自転車メーカーとして知られる台湾のジャイアントグループの今期収益の27%が、各種電動自転車によるものだそうです。

もちろん、私も含めた趣味のサイクリストでは、電動アシストを選ばない人も多いわけですが、通勤や買い物、送迎などの移動手段として使う人は、同じ乗るならラクなほうがいいと考える人も多いでしょう。たしかに坂道などでは威力を発揮しますし、初めて乗って驚く人は多いと思います。

Super Wheel systemSuper Wheel system

そのことが広く知られるようになってきた結果ということなのでしょう。ただ、短所が無いわけではありません。航続距離が限られますし、バッテリーが切れれば、ただの重い自転車になってしまいます。いちいち充電をするのも手間ですし、電動アシスト機構のぶん、どうしても価格が高くなります。

相対的に高値で売りさばけるため、盗まれやすいのも事実でしょう。また、バッテリーは消耗品であり、やがて廃棄物となります。有害物質を含んだゴミが増えるという指摘もあります。最終的に埋め立て処分されており、環境に負荷をかけることになることを問題視する人もいます。

Super Wheel systemSuper Wheel system

そこで、電動アシスト自転車は便利だけど、もっといい方法はないのかと考えた人がいます。香港出身で、今はアイルランドを拠点に活動する起業家、Simon Chan さんです。14歳の時に父親が乗るトラックのパワーステアリングシステムに触発され、機械工学に興味を持つようになったと言います。

自転車は、もともと非常にエネルギー効率の良い乗り物です。でも、もっと人力をフル活用することで、さらに効率が高められるのではないかと考えました。彼のプロジェクト、「高効率ペダル」はアイルランドの団体から開発資金を提供され、アルスター大学と共同で2010年に開発が始まりました。

Super Wheel systemSuper Wheel system

出来たのが、“Super Wheel system”です。質量をエネルギーに変換するという特許を取得した技術(WTECT)で、サイクリングの効率を向上させ、電動アシストの代替になりうるシステムです。全く電力を使うことなく、アシスト力を発生させます。

当然バッテリーは不要、充電の手間もなく、無限に力を発揮し続けます。何も無い状態と比べて、30%以上の効率改善になると言います。この“The Super Wheel system”はサスペンション、つまりバネを使ったホイールで、反力を利用して追加のトルクを生み出し、ホイールの回転力にするそうです。

Super Wheel systemSuper Wheel system

私はバネと聞いて、よく子どもが乗る変わり種自転車を想像してしまいました。自転車ごとピョンピョン跳ねることでタイヤが回転して進む子供向け自転車です。しかし、そういう力ではないようです。動画を見ても、特に車体が上下動している様子は見られません。

以前、日本企業が開発した「FREE POWER(フリーパワー)」という製品を取り上げました。これはクランクの構造的な弱点を改善することで推進力を生むというものでした。電力などを使わずにペダルが軽くなるというものです。すでに実用化されて販売されています。それともまた仕組みは違うようです。



説明によれば、重力によって生じる反力を使うとあります。つまり体重です。乗り手の重さでバネを圧縮し、推進力に変えているようです。たしかに動画を見ると、上から抑えた後に持ち上げたホイールが回転しています。この力がアシスト力になっているようです。

例えば、ゼンマイのようなものを考えてみれば、体重を使って一度巻いて、その力でホイールを回せるのはわかります。しかし、それは最初だけです。このシステムで、乗っているだけで継続して力を発生させられる仕組みが、イマイチよくわかりません。物理法則的には、いずれ推進力はなくなってしまうような気がします。



もし、そうでないなら、自転車のころがり摩擦抵抗は小さいですから、慣性力を使えば、つまり、最初にひとこぎすれば、30%も効率改善するアシスト力、体重の反力だけで進めそうな気がしてしまいます。最初に一蹴りするだけで、永久に走り続けられるとしたら永久機関であり、それはありえません。

体重の反力を使ってバネを圧縮し、それを推進力に使うのはわかります。しかし一方で、一旦伝わってしまえば、元に戻ろうとする力が、推進を妨げる方向に働き、両者が釣り合ってしまうのが自然のように思えます。最初はともかく、それを継続的に推進力にしている仕組みがどういうものなのか、よくわかりません。



疑ったり、ケチをつけたりしているわけではありません。個人的には、なかなかその部分の物理的な仕組み、理論がよく理解できないというだけです。しかし、実際には、乗り手の体重によって無限にアシスト力が発生するそうです。ホイールを交換するだけで、高性能のパワーアシスト自転車に変わるとなっています。

ほとんどの自転車に簡単に装着でき、軽量で保管や持ち運びにも便利です。電動アシストと違ってスピードによるアシスト制限もありません。バッテリーがあると飛行機での輸送は出来ませんが、その心配もありません。サイトで主張されているように、有害物質を含んだバッテリーの廃棄物を減らすことも可能となるでしょう。

Super Wheel systemSuper Wheel system

乗ったこともありませんし、私には評価することが出来ませんが、電力を使わず、乗るだけで半永久的にアシストしてくれるとしたら、夢のような話です。これが認められ、普及するならば画期的な発明ということになるでしょう。今これだけ増えている電動アシスト自転車を駆逐する可能性すら出てきます。

このホイールが果たして普及するかは、今のところわかりません。ただ新しいことを考え、すでにあるものを超えてやろうと考える人は常にいます。今市場を席捲する電動アシスト自転車も、いつ取って変わられるかわかりません。今後も自転車の改良、技術革新は続いていきそうです。




◇ ◇ ◇

ファイザー、モデルナ、アストラゼネカと次々にワクチンの効果が確認され、認可に向かう一方、米国では抗体カクテル療法による治療も始まりました。日本でも足元では感染者急増が心配ですが希望も見えてきた気がします。

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この記事へのコメント
時々よませてもらつています。
これと同じ理屈で、クランクペダルにゴムだったかな?を使った製品が日本でも発売されてますね。知人が自転車・バイク屋につとめているので、聞いたら1万円台とのこと。ホイールより取り付けがかんたんかもしれませんね。
アシストするというよりは、足で回すクランクの上下の「死点」で力が途切れるのをスプリングで「平滑」にする・・という考え方の様です。 サイトは忘れてしまいました。
Posted by tachinon at November 25, 2020 11:16
これですかね。⇒ https://wpb.shueisha.co.jp/news/economy/2018/09/16/107078/
Posted by tachinon at November 25, 2020 11:19
tachinonさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
FREE POWERという製品ですね。以前このブログでも取り上げました。
読み飛ばされたかも知れませんが、私もそれを真っ先に思い出したので、今回の本文でもそのことに触れています。
FREE POWERは、シリコンの反発力を利用して下死点での力の伝達の空白を無くすというものでした。
今回の記事のSuper Wheelは、私も詳しい仕組みはわからないのですが、体重の反力を推進力に変えるという直接的な力との説明なので、FREE POWERとは仕組みが根本的に異なるように思えます。
Posted by cycleroad at November 27, 2020 18:58
はじめまして、これ興味あっていろいろ質問したのですが、カセットスプロケではなくてボスフリーなのです。従って、8速以上はスプロケが選べないのです。ホイールの価格が425ユーロで、送料が120ユーロと言われました。スプロケが自由に選べないのがネックで悩んでいます。ちなみに9速以上は10ユーロ上乗せされます。で、8速の場合は13〜28tのみだそうです。
Posted by 774rr at December 17, 2020 20:49
774rrさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
調べられたのですか。ハブの部分の構造的な問題なのでしょうけど、なるほど、そういう制約もあったんですね。
日本でも展示会への出展など、実物を見て乗り心地を確かめられる機会も欲しいところですね。
Posted by cycleroad at December 20, 2020 21:21
 
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