November 27, 2020

共通の規格が働き方を広げる

自転車を仕事で使う人が増えています。


自転車を使う代表的な仕事と言えばメッセンジャー、自転車便でしょうか。一部の都市ではベロタクシーが走っているところもあります。もちろん、特定の業種に限らず、いろいろな職業の人が街での業務上の移動に自転車を使っていることも多いと思います。

最近増えたのは、ウーバーイーツなどの料理の宅配代行でしょう。コロナ禍で突然需要が増えたため、新たな業者の参入も相次いでいるようです。ヤマト運輸佐川急便などの宅配業者も、届け先までのいわゆるラストワンマイルの配達に自転車を使い始めています。

佐川急便佐川急便

最近は専用の車両も導入しているようです。近年アマゾンなどのネット通販が拡大する一方なので、宅配業者も取扱う荷物量が拡大し、常にドライバーの不足に悩んでいると状態だと言います。自転車を使うのは、その一つの解決策としての面もあります。

細分化されたエリアの配送拠点まではトラックで運びますが、そこから各家庭や企業、商店までなら距離も短く、自転車でも十分です。都市部だとトラックの駐停車場所を探すだけで大変で時間がかかります。自転車のほうが小回りが効いて便利ということもあるでしょう。

ヤマト運輸ヤマト運輸

運転免許を持たない人、トラックの運転の自信がない人でも、自転車ならば配達出来ます。昼間に時間がある主婦なども自転車なら気軽にパートとして働けます。場所によっても違うとは思いますが、宅配便の人が自転車で配達しているのを見るのは珍しくなくなってきています。

ところで、この宅配便の専用車両も、カーゴバイクの一種と言えるでしょう。日本でカーゴバイクは、あまり一般には普及していませんが、ヨーロッパなどでは普通の人でも子どもを乗せたり、買い物などにカーゴバイクを使う人もいて、普通に見かけます。

Cargo BikeCargo Bike

昔からありますが、実は今、ヨーロッパではカーゴバイクが隠れた流行となっています。先頃、ヨーロッパのカーゴバイク市場について初めて業界調査が行われました。それによると、2019年にカーゴバイクの売り上げは60%増加し、2020年にはコロナ禍にもかかわらず、53%という急増ぶりだと言います。

最近は電動アシスト付きのカーゴバイクが増えており、使いやすくなっているのも追い風となっています。市場で流通するものだけでも38ものブランドがカーゴバイクを展開しています。3輪のもの、2輪のもの、荷台が前のもの、後ろのもの、デザインもさまざまです。

Cargo Bike

さらに、UPS、DHL、FedExといった宅配業者もカーゴバイクを使っています。交通事情に加え、ヨーロッパでは環境に対する意識が高く、消費者の目が厳しいこともあるようです。各社のシンボルカラーを基調にした色とりどりのカーゴバイクが街を走っています。

ウーバーイーツは、背中に背負うタイプのバッグを使い、普通の自転車に乗る人が多いようですが、他のデリバリー業者の中には、自転車に専用のボックスを載せて固定したカーゴバイクを使っているところもあります。街では、さまざまな企業のロゴのついた自転車を見ます。

Cargo BikeCargo Bike

さて、こうした事情を背景に、デザイナーの、Juan Jose Foc さんは“POD”という新しいカーゴバイクのデザインを先月発表しました。電動アシスト付きでスタイリッシュなフォルムが特徴です。スーツケースのような箱が荷台にセットされていますが、これを取り外すと台車のようになり、そのまま押して運ぶことが出来ます。

運ぶものによって、オープンな荷台や、パーティションで区切られた荷台も選べます。どれも同じカーゴバイクの荷台に合うようになっているので、荷物の種類に応じて載せ換えることが可能です。この仕様は、宅配業者の業務効率化につながる可能性があります。

PODPOD

PODPOD

あらかじめ出荷段階に、配達先の近いものを一緒の箱に仕分けし、トラックでまとめて配送拠点まで運びます。そこでカーゴバイクにそのまま積み替えることが考えられます。中身を一つ一つ積み替えるより時間が短縮できるでしょう。荷台に載せるボックスを共通にすることで、手間が省けるわけです。

考えてみれば、物流の世界では当たり前のスタイルです。例えば共通規格のコンテナを使えば、そのまま船に積んだり、トレーラーに積み替えたり出来ます。運ぶ輸送手段が変わっても、出荷先から届け先までコンテナは共通というスタイルです。

PODPOD


PODPOD

パレットという共通の台を使う方法もあります。載せる品物はいろいろですが、フォークリフトでパレットごと積み替えが出来て、品物を一つ一つ積み替えなくて済みます。品物を倉庫に積んで保管するにも便利ですし、パレットは共通なので、使い終われば別の品物を載せるなど、循環して利用されます。

つまり、共通の箱なり、台なりが決められていれば、途中の輸送手段が変わっても手間が省けるわけです。このシステムをカーゴバイクにも導入できないものでしょうか。Juan Jose Foc さんは、業務用カーゴバイクのデザインで、そこまで想定していないようですが、これが標準化されればメリットが出てくると思います。

違う宅配業者の荷物であっても、トラックで混載して運ぶことも可能になるでしょう。ダンボール単位だと仕分けが大変ですが、コンテナなら振り分けも簡単です。どのくらいの大きさのコンテナになるかにもよりますが、一台のカーゴバイクで違う2社の荷物を一緒に運んで配達したりすることも可能になるでしょう。

Cargo BikeCargo Bike

共通のコンテナが積めるカーゴバイクならば、個人事業主の宅配員が、その時に荷物のある会社の配送拠点に行くような働き方も考えられます。宅配だけではなく、例えば料理の宅配代行の配達員が、食事時は料理を運び、それ以外の時間は宅配の荷物を運ぶといった働き方も可能になるでしょう。

聞くところによれば、日本でもウーバーの配達員がコロナによる失業者、派遣切り、アルバイト減少の受け皿になる一方で、最近は配達員が増えて、荷物の奪い合いになっているところもあるようです。運んだ個数で収入が決まるため、運べないと時給換算でいくらにもならないと言います。

時と場合によって、いろいろな荷物が運べれば、個人事業主の配達員にとっても、人手不足に悩む宅配業者にとっても助かるでしょう。稼げなくて配達員が減ってしまうという事態を避けられれば、ウーバイーツなどの業者にしてもメリットがあるはずです。

Cargo Bike

カーゴバイク用コンテナの標準規格が出来れば、自転車でモノを運ぶ上で何かと便利になりそうです。荷台部分だけ共通の仕様がならば、カーゴバイク自体はいろいろでも構いません。個人でも、荷物運び用のコンテナと、子ども乗せ用コンテナと使い分けるなど、便利になるかも知れません。

最近は、経費節減や環境負荷の軽減のため、全く違う会社の荷物をトラックに混載して運ぶような動きが出てきていると言います。自転車を運搬に使う仕事をしている会社も、ライバル同士であっても、また業界を超えて、荷物を入れるコンテナを共通にするようなことを考えてもいいのではないでしょうか。




◇ ◇ ◇

規模の差はあっても全国的に感染が拡大しています。大阪と札幌だけでなく全国的にGOTOは一旦止めて、減少したらまた再開したほうが、中途半端なブレーキで拡大がなかなか止まらないより、むしろいいような気がします。

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