August 06, 2021

変化したけど変わらないこと

パンデミックは世界を変えました。


世界中でコロナウイルス感染症が猛威を振るい、パンデミック(世界的大流行)となりました。死亡や重症化を防ぎ、医療のひっ迫を回避するため、各国はロックダウンなどを余儀なくされました。人々は家に閉じ込められ、消費は低迷、世界経済にも大きな影響が及びました。

病院や福祉施設をはじめ、さまざまな場所でクラスターが発生しました。映画館や劇場、遊園地などの人が集まる場所や、パブ、レストラン、ライブハウス、トレーニングジムといった飲食を伴ったり、人が密集する施設は、休業や閉鎖を余儀なくされました。

営業が出来ない状態が続き、倒産や廃業する店舗も相次ぎ、失業者も急増しました。ビジネスでは急遽テレワークなどを強いられた人も多かったでしょう。ほかにも各種の興行は中止となり、活躍する場所を失った俳優、ミュージシャン、芸能人、アーティストなどにも影響は広がりました。

オンラインでライブ配信したり、YouTube のチャンネルを開設するなど、これまでにない対応を迫られた人もありました。中にはアルバイトなどで食い扶持を稼いだり、直接は収益につながらなくても、活動再開後に向けてSNSなどによる発信に力を入れる人もあったようです。

イギリスのDJ、Dom Whiting さんも影響を受けた一人です。ロックダウンにより、出演していた全てのクラブが休業となり、イベントなどもなくなりました。DJのライブストリーミングなどにも挑戦しましたが、結果は芳しくありませんでした。DJでは稼げないので、ふだんはクルマの整備や修理の仕事をしています。

イギリスでは、聴衆が集まるようなイベントは制限されました。合唱団とか演奏家は、リハーサルや練習のために、6人まで屋外で集まることが認められていましたが、コロナの変異種が蔓延する中、肝心の音楽を披露する舞台、イベントやコンサート、パーティー、集会は許可されませんでした。

Dom Whiting さんも、何ヶ月もの間、DJが出来ないことに不満を感じていました。そんなある夜、友達との雑談の中からアイディアが生まれました。DJとサイクリングを結び付けたら?というものです。最初は、あまり真面目に考えていませんでしたが、翌朝起きた時には、ある形が思い浮かんでいました。

Dom WhitingDom Whiting

Dom WhitingDom Whiting

Dom WhitingDom Whiting

カーゴバイクに、デッキやジェネレーター、スピーカーなどの機材を積み、DJしながら走行するというスタイルです。前方のアームにはカメラを取り付け、動画として記録して配信することも含まれます。普通のカーゴバイクを購入し、走りながらDJが出来るよう改造しました。

実際にやってみて、DJをしながらペダルをこぐのは、それほど単純なことではないことに気づきました。クルマと衝突したり、止まっているクルマに傷をつけたりしないよう、前方や側方間隔に気をつける必要があります。あまりにDJに集中して手元ばかり見ていると、何らかの事故につながりかねません。

Dom WhitingDom Whiting

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太陽が出ている時、光の方向によっては、デッキの表示を確認するのは困難です。室内でやるのとは勝手が違いますが、何かやらずにはいられませんでした。「モバイルのDJ」に深い意味はなかったものの、DJをやらないことにも、家の中でくすぶっているのにも、我慢できなかったのです。

最初は一人で走行して、単にDJが音楽を流す動画に過ぎませんでした。ただ、背景が動くというのが特徴です。当然のことながら、全くクラブの雰囲気ではありません。でも、それはそれでいいと考えていました。人々を集めるのは無理なので、ネットを通してDJと音楽を届けられればと思いました。





その後、YouTube チャンネルの再生回数が徐々に増え、ある時、後ろを振り返ったら、自転車に乗った人が後をついて来ていることに気づきました。特に呼びかけたわけではありませんが集まってきたのです。人々は、Dom Whiting さんのやっていることに感謝してくれました。

驚くとともに、逆に人々に感謝する気持ちになりました。音楽そのものを楽しむならば、動画を視聴するだけでも充分です。でも、みながそれぞれ自転車やスケボーで、わざわざ彼の後を追いかけてきたのです。動画の投稿を続けるたびに、再生回数は増え、多くの人が連なるようになりました。

Dom WhitingDom Whiting

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集まってくる人は、きっと誰かと結びつきたかったのでしょう。回りは直接は知らない人同士だとしても、家で一人で、YouTube を見ているのではなく、集まりたかったのだと思います。多少密集する場合もありますが、屋外ですし、人々が連なって自転車で走行しているだけなので、とくに規制にはかかりません。。

ちょっとしたムーブメントのようになりましたが、Whiting さんは、これが彼の人気だとは考えていません。このコロナ禍で、人々がメンタル的にダメージを負っていると感じています。リモートや動画視聴、バーチャルではダメで、人々は集まったり、直接結びつきたいという潜在的な願望があるのでしょう。







彼は、今後も当面は、このスタイルを続けるつもりです。次の都市に行くのを楽しみにしています。たしかに、彼のDJのスタイルもパンデミックで大きく変化したことになります。でも、また元に戻ると思っています。パンデミックが終われば、人々は再びクラブやイベントに集まってDJで盛り上がると確信しています。











◇ 日々の雑感 ◇

感染者増加が止まりません。政府は今が最大の危機、ここが正念場、最後の我慢などと繰り返し、まるでオオカミ少年です。人々は慣れ、全く響かなくなっています。今までは自粛のお願いをするだけで減るのですから、こんなラクな話はありません。宣言を出し過ぎた一方で、身勝手さや無為無策が露呈、この責任は秋に問われるでしょう。

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