February 23, 2022

非日常体験を実現する自転車

世界中に自転車に乗る人がいます。


世界的に都市部への人口集中が進んでいますから、多くの人は都市か、その近郊で乗っています。ただ、荒野や砂漠、ジャングルや山地などの僻地を自転車で走破するような人たちもいます。アフリカなどでも、都市から離れた農村の、舗装もされていない道路を毎日、何十キロも走っているような人がいます。

マウンテンバイクやビーチクルーザーなど、それぞれ適した自転車に乗ることが多いと思いますが、近年は、また違うタイプの自転車が登場しています。ファットバイクです。マウンテンバイクに似ていますが、幅がおおよそ4インチ以上あるような太いタイヤをはいているのが特徴です。

ファットバイク
ファットタイヤバイク


今のようなスタイルのファットバイクが開発されたのは1980年代、量販されるようになったのは2004年頃と言いますから、200年以上ある自転車の歴史の中では、かなり新しい部類の自転車と言えるでしょう。悪路の走破性が高いので、道なき道でも使われます。

そのメリットが発揮される場所の一つが雪道です。太いタイヤなので接地面積が大きく、滑らずに安定して走行することが可能です。スパイクタイヤなどもあるので、深雪から凍結路まで、冬の雪の中の走行にはもってこいの自転車です。

ファットバイク
スパイクタイヤ ファットタイヤ


これまで、冬場に積雪がある地域で、従来の自転車に乗るのは困難でした。それでも乗っていた猛者もいますが、ファットバイクなら雪道での安定走行が容易になります。日本では、まだまだマイナーですが、世界でも雪が降る地域で使う人が増えているようです。

ちなみに、自転車先進都市であるコペンハーゲンでは冬季に雪が積りますが、徹底的に除雪されます。クルマの道より優先です。コペンハーゲンでは、人口の半数近くが日常的な交通手段として自転車を利用していますが、さらにその8割の約40万人は冬季でも通勤など自転車に乗り続けられるのは、このような環境があるからです。

Photo by Jensbn,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.Photo by Saperaud,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.グリーンランドの景色 ↑

もし、雪が降った日に、この40万人が自転車に乗るのを止め、他の交通機関、バスや地下鉄に一斉に殺到したら大混乱となります。そのため、市当局は真っ先に自転車レーンの除雪をすることになります。市民は雪が降っても、雪かきされた自転車レーンを普通の自転車で走行できるのです。

多くの都市では、自転車用に除雪などしてくれませんが、ファットバイクがあれば冬でも自転車に乗れます。アメリカの都市でも、例えば北部のミネアポリスなどでは、冬季に雪が積もりますが、こうした地域で最近は雪でも自転車に乗る人が増えていると言います。それを可能にしたのがファットバイクというわけです。

Photo by JoannaSerah,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.Photo by Eric Gaba,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.
グリーンランド:オーストラリア大陸との面積比較 ↑

これによって、自転車での旅行先も広がりました。これまでも、山岳地帯や砂漠、ジャングルやサバンナなど、特徴のある地域を自転車で走破するツアーなどはありましたが、ファットバイクは極地を走行することを可能にしました。北極圏や南極圏です。

南極大陸は民間人でも旅行できます。船で南極海をクルーズして、一部で南極大陸にも上陸できますが、さすがに自転車で走行できるツアーはないようです。冒険家の一部には、南極点を自転車で目指すような人もいないわけではありませんが、一般人には環境的にも費用的にも無理です。

Fatbike GreenlandFatbike Greenland

Fatbike GreenlandFatbike Greenland

Fatbike GreenlandFatbike Greenland

一方、北極圏は状況が違います。南極と違って大陸はありませんが、北極圏に領土を持つ国が8つほどあります。その一つ、グリーンランドでは、氷河の雪原を自転車で走破するツアーが行われています。その名も、“Fatbike Greenland”というサイトで、一般人でも北極圏ツアーを申し込むことが出来ます。

グリーンランドは、北極海に浮かぶ世界最大の島です。島と言っても、その大きさは日本全部の面積の5.7倍もあり、南極も含めた6大陸に次ぐ広さです。全島の8割以上が氷床と万年雪に覆われ、氷の厚さは3千メートル以上に及ぶところもあります。北部沿岸の小島は北極点に最も近い、つまり世界最北の陸地になります。

Fatbike GreenlandFatbike Greenland

Fatbike GreenlandFatbike Greenland

Fatbike GreenlandFatbike Greenland

まさに北極の景色の中、200キロ程度の北極圏トレイルが楽しめます。個人で行くのは困難ですが、ツアーですから旅行中はガイドがフルサポートしてくれます。行ったことがないので、写真で見るだけですが、まさしく非日常の世界であり、他では見られない景色の中を走行することになります。

氷河だけなら、カナダなどでも見ることが出来ます。私も行ったことがありますが、そのごく近くまで舗装路で行けます。ほぼ観光名所であり、ツアー客も多く、夏ならさほど寒くもありません。こんなところに氷河?と思うような場所にあります。しかし、こちらは全く人里から隔絶された世界、まさに北極圏です。

Fatbike GreenlandFatbike Greenland
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Fatbike GreenlandFatbike Greenland

Fatbike GreenlandFatbike Greenland

南極海をクルーズするようなツアーと比べて、リーズナブルな料金ですし、個人でも海外旅行の延長のような感じでツアー参加できそうです。ヨーロッパ旅行から少し足を伸ばせば、北極圏を自転車で走破するという、なかなか出来ない体験が味わえるでしょう。

ファットバイクは、冬季の積雪地域、氷結路などでも自転車に乗れるようにしました。これまでの自転車の常識を覆し、制約を大きく減らしたと言えるかも知れません。このことは世界的に、これまでより長い期間、世界のより広い地域で自転車に乗れるようにしたと言えるでしょう。( ↓ 動画参照)

Fatbike GreenlandFatbike Greenland



これまでも、グリーンランド自体には旅行できましたが、氷河の中に広がる雪原の自分の足での走破は現実的ではありませんでした。その意味で、ファットバイクは人々の自転車での行動範囲を広げてくれ、極地旅行のような非日常体験を身近にしてくれたと言えそうです。




◇ 日々の雑感 ◇

オミクロンも全国的に減少局面に入ってきました。ブースター接種完了割合が小さいせいか、増え方に比べて減り方は鈍い気もしますが、このまま順調に下げて病床ひっ迫緩和、重症者・死者の減少につながることを祈ります。

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この記事へのコメント
cycleroadさん,こんにちは.

なるほど,コペンハーゲンの冬の自転車政策は流石です.せっかくの自転車レーンを雪捨て場にしてしまうどこかの国の市街地とは違いますね.

そのファットバイクなるもの,実車を見たことはありますが確かに雪上では面白そうです.しかし雪の無い季節の長距離走には難がありそうだなというところ.実用上はごく一般的なMTBでもタイヤを吟味して装着すれば(私の経験上は)十分使えます.
Posted by マイロネフ at February 23, 2022 13:54
東京在住 大雪の時は マウンテンバイクで 空気圧落とせば 十分走れます。楽しいですよ。
Posted by アコード at February 24, 2022 21:00
マイロネフさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
向き不向きがあるのは、どんな車種にも言えることで仕方のないところでしょう。
私は試乗したこともありますが、普通のMTBよりも左右方向の滑りに対して強く、安定して雪道走行が出来ます。毎日のように雪道を走るならば、やはり欲しくなるような気がします。
Posted by cycleroad at February 26, 2022 16:19
アコードさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
そうですね、空気圧を落として接地面積を増やすのは有効ですね。私もやったことがあります。
東京だと滅多に積もらないので、スキー場に行った時に知り合いに借りて乗っただけですが。
Posted by cycleroad at February 26, 2022 16:25
 
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