March 04, 2022

素材の見直しで得られるもの

素材を考え直す動きが出てきました。


工業製品の分野では、これまでも革新的な新素材が開発されてきました。これによって、今までにない新しい製品の開発、機能の実現につながった例も多々あります。そうした方向とはまた別に、今ある製品の素材を、より環境への負荷を減らす素材に置き替えようという動きがあります。

例えば、コンビニ等で配られるスプーンやフォーク、ストローなどを、これまでのプラスチック製から木製や紙製のものにするといった例です。プラスチックごみによる海洋汚染が深刻な問題となっていることに対応するものです。レジ袋を全世界で全廃してもプラスチックごみの2%以下に過ぎず、全く足りません。

ASTAN BIKEASTAN BIKE

単なる木製や紙製だと、必ずしも適さない場場合も多いので、植物性の生分解性プラスチック素材などが開発されています。プラスチックのように加工しやすく使いやすい一方で、捨てられても分解されて土に戻るような素材です。こうした素材で置き替えようという機運も高まっています。

自転車についても、その素材を見直すような動きが出てきました。例えば木製の自転車です。これまでにも木製や竹製のフレームの自転車はいくつか取り上げてきました。木や竹は、強さとしなやかさを兼ね備え、振動吸収性もあって疲れにくいなど、意外と自転車の素材に向いていると言われています。

ASTAN BIKEASTAN BIKE

ただ、カーボンファイバーも含めた金属性が当たり前の自転車フレームの中では、趣味性の高い、一部の愛好者向けのものという位置付けでした。どちらかと言えば、変わり種自転車や、職人の手作りの自転車と受け止められ、乗る人の限られたニッチな存在でした。

それとは少し違う意図で、木製が見直される傾向が出てきました。移動手段としての自転車は、例えばクルマと比べると圧倒的にエコで環境負荷の低い乗り物なのは間違いありません。でも、製造段階ではアルミ精錬などでエネルギーを消費するのも確かです。

ASTAN BIKEASTAN BIKE

クルマとは比較にならない少ない量ですが、せっかくエコな乗り物なのだから、さらに環境に優しいものに出来ないかという考え方です。金属の省資源や産業廃棄物の低減にもつながります。そのような観点から、一部で木製に注目する動きが出てきました。

こちら、“ASTAN BIKE”は、木そのものではありませんが、天然の植物繊維をベースに、レーザー切断技術と植物性樹脂による接着で製造されます。一般的なアルミ製の自転車より軽くて丈夫です。そして、これまでのアルミやカーボンファイバーのものと比べ、95%もサスティナブルな生産プロセスを実現することが証明されています。

ASTAN BIKEASTAN BIKE

フレームは独特のデザインですが、中空で、わずか4.5kgという軽さです。振動吸収性が高く、疲れにくいという性質もありますが、環境負荷の低さや持続可能性、省エネルギー、省資源といった社会的なメリットを前面に押し出した自転車フレームなのです。

さすがに、全て植物由来というわけにはいきませんが、なるべく金属部分を減らすことで、軽量さや快適なペダリング性能を実現しています。そうした長所もさることながら、いかにサスティナビリティを高めるか、従来よりも持続可能性の高い生産プロセスか、というところにこだわっています。( ↓ 動画参照)





こちら、“Openbike”というプロジェクトは、木材の合板で出来た自転車で、より多くの人が持続可能性を尊重できるようにすることを目的にしています。設計図はオープンソースとして、ネットから無料でダウンロードして、自分で制作することを可能にしています。

一般的な自転車と比べると、子どもが描いた絵のようで、あまりデザイン性が高いとは言えません。しかし、そのぶん、誰にでも作りやすくなっています。同じ木材でも合板なので加工も容易です。板状なら接着やボルト止めも容易ですし、実用性の面でも十分でしょう。

OpenbikeOpenbike

こちらも、省資源や省エネ、環境負荷の低さ、持続可能性の重視です。デザインよりも、いかに温暖化ガスの排出を減らすかが焦点です。設計図をダウンロードして、手近の木材を使えば、製品の輸送にかかるエネルギーも節約できます。材料は広く入手可能で価格も手頃です。

ホイールなどのパーツは別途購入するかリユースする必要がありますが、手持ちのパーツに合わせるなど、自由度は高くなっています。自分の用途に応じてデザインを変更したり追加することも出来ます。切断は、最寄りのDIYワークショップなどでCNCマシンを使うとラクですが、切断したら後は組み立てるだけです。

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どれだけの数の人が、自転車をDIYするかはともかく、このプロジェクトは人々の先入観を取り去り、資源やエネルギー、廃棄物、環境負荷、温暖化ガス削減といったことに目を向けさせようとしています。クルマ移動による酷い渋滞、大気汚染、健康リスク、高いコストなどにも気がついてほしいと考えています。

たしかに、自転車は金属製というのは固定観念かも知れません。あるいは木製にすることで、失うものより得るものが多い可能性があります。今まで木製の自転車と言うと、ごく限られた愛好者のものと見られてきました。しかし最近は、もっとサスティナブルな自転車を考えるシンボル的なものになっているようです。

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自転車だけの話ではありません。近い将来、クルマのボディも木材由来のものになる可能性が指摘されています。セルロースナノファイバーという新素材です。エコなだけでなく、鉄の5倍もの強度を持ち、重さは鉄の5分の1という超軽量の素材です。コストも下がっていくならば、これを使わない手はありません。

ボディが5分の1の重さになれば、燃費(EVの場合は電費)は大きく向上します。クルマの重量を1割軽量化しただけで、車両1台当たりのCO2を2000垪鏝困任るという試算もあります。これは日本人1人当たりの年間CO2の排出量に相当します。( ↓ 動画参照)

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リサイクル性も高く、製造から使用、廃棄に至る、ライフサイクル全般で環境負荷が低くなります。木製のボディと聞くと違和感がありますが、強度が5倍なら問題ありません。今までクルマは鉄の塊で、それが常識でしたが、条件さえ揃えば、鉄である必要はないわけです。

新しい利便性をもたらすような製品、ハイテクで高性能な素材の開発も重要です。一方で、今まであったものの材料を、植物由来など、より環境負荷の低いものへと素材を見直すことにも関心が高まりつつあります。木製の自転車と言うと、まだ違和感もあるでしょうが、今後は自転車の素材も見直されていくのかも知れません。




◇ 日々の雑感 ◇

ウクライナ情勢は原発への攻撃など緊迫の度を増しています。病院や民間施設への爆撃も増えています。プーチン大統領は欧米からの経済制裁に意地になり、冷静さを欠いてるように見えます。有効かどうかはわかりませんが、日本政府がプーチン氏と旧知の森元首相や安倍元首相を派遣して説得を試みるという手はないでしょうか。

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