March 31, 2022

サイクリスト達も立ち上がる

ウクライナ侵攻から1ヶ月以上経ちました。


足元では停戦交渉が大きく前進したとも報道されていますが、内容を聞くと必ずしも折り合えるのか疑問もあります。お互いに譲れない部分があると思われ、停戦の実現には時間がかかりそうです。ロシアの真意も疑わしく、アメリカ国防総省なども騙されるなと警告しています。まだまだ楽観できるものではありません。

世界各国が経済制裁やウクライナへの支援を打ち出しています。戦争反対を表明する人も世界中に広がっていますが、戦況の膠着を打開するため、市民や民間施設への無差別攻撃に出ています。甚大な損害が出ていると見られるロシアが生物化学兵器を使う可能性があるのも懸念されます。

ロシアは核の使用も辞さない姿勢を示しています。ミサイルの誤爆でポーランドに着弾するなどすれば、NATOとロシアの衝突となり、核戦争へエスカレートする可能性もあります。最悪の場合は第三次世界大戦に発展しかねません。世界的に人々の危機感が高まっています。

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単にウクライナへの軍事侵攻にとどまらず、自由と民主主義への挑戦でもあります。このような武力による国境変更を許してしまえば、第二次世界大戦後の世界的な安全保障の枠組みが崩壊しかねません。懸念は国、企業、市民にまで広がっています。そんな中で、各国のサイクリストも立ち上がっています。

イギリスで毎年行われてきた、“Big Bike Ride”というチャリティのライドイベントは、経費を引いた7割を、参加者が希望する慈善団体へ寄付してきました。でも今年は、その100%をウクライナへの支援の寄付に充てることを決定しています。

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Tesco Dingwall というスーパーは地域のサイクルチャレンジキャンペーンで、約3千ポンドを集めて英国赤十字を通して寄付しました。レスターシャー州オードビーの高校の先生と生徒は、チャリティーのバーチャルライドによって、3600ポンドの寄付を集めました。

これまでも慈善団体、PedalThruYouth を通して地域の困っている人に自転車を寄贈したり、ホームレス支援などを行い、“Bob the Bike Man”として知られている、Robert Charland さんは、目下ウクライナへの支援に集中しています。衣類や生活必需品などを現地に送っています。

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個人でも寄付をしようと行動する人が増えています。イギリスの、Linda Dorman さんは、1100マイルの長距離チャリティーライドを開始します。これまで、少しの距離しか乗ったことがなく、大きな挑戦となりますが、テレビに映されるウクライナの悲痛な映像を見て、何かをせずにいられませんでした。

マンチェスターに住む、Roger Clarke さん、ピックメアに住む、Pickmere Community Group と、The Farm Club のメンバー、スコットランドの、Bob and Deborah Gulliver さんの2人など、それぞれのスタイルでペダルをこぎ、ウクライナ支援の募金活動をしているサイクリストは枚挙にいとまがありません。

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オリンピック・メダリストの元タイムトライアル選手、Tony Martin は2012年のロンドン五輪で獲得した銀メダルを競売にかけ、ウクライナの子どもたちの為の資金を調達しています。自分のキャリアで獲得した大きな証しを失うのは決して簡単ではありませんが、多くの子どものことを考えて、それを決意しました。

オーストラリア生まれのプロ選手、Lachlan Morton は、“Alt Tour”でも知られていますが、ミュンヘンからウクライナとポーランドの国境までの1064キロを走行し、ウクライナ難民の人道支援活動のための資金として、20万ドル以上を調達しています。

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子どももテレビを見てショックを受け、何かやりたいと考える人がいます。イギリス・サセックスの7歳、Sofia Shah さんは、自転車に乗ることで募金を集めています。これまでに1300ポンドを集めました。クリーソーブスの8歳、Ava Rose さん、ブルフォードの8歳、Mason George 君も寄付するために自転車で走っています。

アイルランド・ダブリンの自転車店は不要な自転車を集めて修理・メンテナンスをして難民支援として送る活動をしています。アメリカ・ニューメキシコ州のショップ、Duke City Wheelmen はイベントによる収益などを、ウクライナの救援活動を支援するために使います。

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イタリアのタイヤメーカー、Vittoria は、Pinarello Dogma を3台提供して、ウクライナのガンで苦しむ子供たちのための支援資金への寄付を集めています。マウンテンバイク雑誌の、“Cranked”もシャツやマグカップなどのオリジナル商品を販売して、利益の100%を英国赤十字に寄付することにしています。

アメリカ・ニューヨークのサイクルブランド、RubberN'Road は、ウクライナ国旗のカラーに、“Ride Bikes Not Tanks”と書かれたTシャツを販売しています。一枚40ドルですが、その収入の100%をウクライナ赤十字社に寄付します。制作や出荷などには多くのボランティアが協力してくれました。

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マサチューセッツ州の、Parlee Cycles も35ドルでオリジナルTシャツを販売し、こちらはすでに完売しました。やはり全てを支援団体を通じて寄付します。自転車メーカーや各地のショップでも、それぞれにウクライナの支援活動をするところが増えています。

英国サイクリング協会は国際スポーツ連盟やIOCの呼びかけに応え、ロシアとベラルーシの連盟、選手、委員会メンバーに資格停止など厳しい措置を決めました。ロシアのプロチーム、Gazprom RusVelo は、レースに出られないだけでなく、LOOK や、CORIMA、Limar などの企業がスポンサーを次々と降りており、存続の危機です。

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一方、ウクライナ代表チーム、20人の選手と4人のスタッフは、先月24日にロシアが軍事侵攻した時、トルコにいました。帰国できなくなった代表選手らは、イタリアのサイクリング連盟が手をさしのべ、母国に帰還できるまで保護することにしています。

ポーランドの自転車チーム、HREMazowszeSerce Polski は、ウクライナ市民の避難を支援するため、先週オランダで開催されたレースを欠場しました。レースへの出場は大切ですが、ウクライナからの難民が膨大な数になる中、クルマで移動支援するなどの喫緊の活動がはるかに重要だと決断しました。

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オランダの自転車業界の人材派遣やコンサルティングサービスを展開する会社、BiciTalent 社は、ウクライナから逃れた人が仕事を見つけるための支援を始めました。ドイツやオーストラリアなどのパートナー会社とも協力して、EUの各国への就職を支援します。

デンマーク運輸省と同国のサイクリスト協会は、ウクライナ難民に自転車を無償で提供する、“GiveaBicycle”イニシアチブを立ち上げました。ウェブサイトからサイズなどの情報をアップロードすることで、リクエストに沿った自転車を届けます。難民の日常の移動手段を提供しようというものです。

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ちなみに、民主主義陣営を率いるアメリカ・バイデン大統領は、地元のデラウェアでサイクリングをして休日を過ごしました。この危機の中でとメディアが批判的、あるいは皮肉をこめて報じていますが、世界で一番の重責を担う立場にいるわけで、息抜きも必要でしょう。自転車に乗るのは悪くありません。

目についたサイクリスト、自転車関係者の支援活動を拾ってみましたが、これらはごく一部に過ぎません。当然ながら、サイクリスト以外の活動も、この何十倍、何百倍とあるでしょう。世界の多くの人々が避難民を支え、ウクライナを応援しているのは確かです。

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プーチン大統領を直接止める手立てはありません。私たち一般の市民としては、難民への支援やウクライナ国民への連帯を示し、応援するしかありません。もどかしい思いもありますが、願わくば、都市への無差別攻撃が止み、罪のない人々の命が失われる事態が一日でも早く止まることを祈りたいものです。




◇ 日々の雑感 ◇

欧米の当局者によれば、プーチン大統領は侵攻の勝算から現在の戦況、制裁による経済へのダメージに至るまで側近から正しい情報が伝えられておらず、判断間違いにつながっているようです。まさに裸の王様なのでしょう。

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