March 25, 2005

ジワジワ渋滞にボディブロー

快適な自転車道自転車道が整備されると、「都市の渋滞を根本的に考える」で書いたように、果たして本当に渋滞の解消に効果があるのでしょうか。ほとんど意味がないと思う人も多いでしょう。確かに単純な問題ではありません。


以前テレビの番組で、たしか交通工学だったと思いますが、ある大学教授のチームの研究成果が紹介されていました。その内容がとても意外だったので、よく覚えています。ごく普通に、交通の集中による自然渋滞が発生している道路があるとします。この道路の渋滞が解消する為には、どのくらいの量のクルマが減ればいいと思いますか。2割?3割?いや、感覚的には4〜5割は減らないとスムーズには流れないような気もします。

ところが、答えはなんと5パーセントだったのです。意外な数字です。同じ道路、同じ条件で比較した場合に、たった5パーセント、クルマの台数が少ないだけで、実際に順調に流れているのです。5パーセントと言ったら20人に1人です。極端に言えば、たった20人に1人がクルマをやめて、自転車や他の交通機関にするだけで、渋滞が解消するかもしれないのです。

渋滞の列に並んでいる時、横を通り抜けていく自転車を見て、一瞬うらやましくなることはありませんか。クルマの代わりに自転車でも済む場合はありませんか。誰か他の人がクルマに乗るのをやめれば、と考えるのでなく、自分の健康や減量のためにも、たまには自転車で行ってもいいと思いませんか。20回に1回ならどうでしょう。

原状では、自転車で都市部を走るのは、普通の人にとってあまり安全で快適とは言えません。駐車車両がありますし、バス停にバスが停まっていたりもします。クルマと接触しそうになることもあるでしょう。歩道にも障害物や歩行者がいてスピードは出せません。しかし、自転車道または自転車レーンがもっと整備されれば、自転車でもいいかなと考える人も増えると思います。

実際には、都市の渋滞は自然渋滞だけではありませんし、単純に5パーセント交通量が減っただけで解消するような単純問題ではありません。交通の流れが変われば別にボトルネックとなる部分がでてくるでしょう。流れがスムーズになった分、今まで敬遠していた車が流入してくる可能性もあります。ロードプライシング制度など、いろいろな方策との組み合わせも必要かも知れません。そもそも根本的に人口集中や都市計画の問題もあります。

ですから5パーセントの人を自転車に、という単純な話ではありません。しかし、自転車になんか乗っても変わらないという思い込みを捨て、もしかしたら変わるかもしれないと考える。そして実際にクルマへの依存度を少しでも減らす。自転車に乗ってみる。それを見て、他の人も乗り始める。そんな流れが出てくれば、じわじわとボディブローのように、渋滞に効いてくる可能性もあるような気がします。




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