May 25, 2005

何となくそうなっているもの

本文と写真は関係ないです。先日、たまたま通りかかると、近所の子供が自転車に乗っていました。(本文と写真は関係ありません。)


何の気なしに見ますと、どうやら、なるべく動かないままバランスをとろうとしているようです。子供のことなので、どういう意図なのか良くわかりませんが(笑)、何度も止まったままバランスをとろうと挑戦してコケたりしています。見ればサドルをずいぶん低く下げています。

そう言えば、街で自転車に乗っている大人の中にも、ずいぶんサドルを下げて乗っている人がいます。ママチャリなどであれば、どっかりと腰掛ける、アップライトな姿勢で乗るのも普通なのでしょうが、MTBなどでもサドルを下げて足を曲げたままペダルをこいでいる人を時々見かけます。

確かに足は付きやすいですが、ペダルをこぐにもヒザが曲がったままでは、力が入らず効率が悪く、疲れやすかったり膝を痛めたりするというのは、よく言われることです。実は、それ以外にもバランスがとりにくいという欠点もあるのです。

物理学の本を読むまでもなく、「重心が低くなると安定する」のは当たり前ですが、ことバランスをとることを考えると、「重心が高いほうがいい」のです。つまり「重心が高いほうが、よりバランスをとりやすい」のです。一瞬、感覚的には逆のような気もしますが、よく考えると納得するはずです。

自転車を止めたまま、なるべく足を地面につかないようバランスをとって下さい、と言ったとします。すると、多くの人が無意識に、サドルから腰をあげてペダルの上に立ち、重心を高くするのではないでしょうか。その方がバランスが取れるからです。

サーカスなどで見る綱渡りは、よく長い棒を「やじろべえ」のように持って綱を渡ります。これは、左右のバランスを取るためということもありますが、実は棒を持つ分だけ、身体の重心が高くなって、バランスがとりやすくなる効果もあるのです。

子どもの頃、放課後の掃除の時間に、よくホウキやモップを手のひらに立てて、バランスをとって遊んだりしませんでしたか。おでこの上に乗せたりして..(笑)。あれも同じ理屈です。ほうきが長くて上の方に重心がある方がバランスがとりやすく、仮に柄が極端に短いホウキがあったら、バランスはとりにくいのです。

リカンベントという、寝そべった乗車姿勢でこぐ自転車があります。これは、乗車した時に普通の自転車よりも、かなり全体の重心が低くなるので、低速ではバランスがとりにくいという特徴があります。だから3輪のものもあると、何かで読んだことがありますが、やはり同じ理屈です。

で、近所の子供ですが、サドルを目一杯下げて、足をガニまたにしながら乗っているのです。もしかしたら三輪車時代の影響なのかも知れませんが、どうやら、ふだんからそのスタイルで乗っているようです。子供の場合は、足つきが良くないと危ないというのもありますが、それにしても低すぎです。

見ず知らずの子供でしたが、あまりにも窮屈そうなので、教えてやりました。サドルを高くすることのメリットまで理解出来たとは思えませんが、聞けば意図的に低くしていたわけではなく、そういうものだと思っていたようです。考えてみれば、まわりの大人も似たような格好で乗っているわけですから、無理もありません。

大人でも、いつの間にかサドルが下がっている場合があります。なんとなくその高さにしているけど、思い切ってサドルの高さを上げると劇的に乗りやすくなる人もいるはずです。意外と見える景色も変わりますし、サドルの高さ、あらためてチェックしてみてはいかがでしょう。




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