コドバだけではもったいない
一昨日、
昨日とワンガリ・マータイさんについて取り上げました。三日連続というのもどうかと思いましたが、話題になったあの言葉を取り上げないワケにはいきません。
マータイさんは、来日して、日本に勤勉や忍耐、そしてなんと言っても「もったいない」を学んだと謙虚に述べられています。探し求めていた言葉に出会ったともおっしゃっています。日本人にしてみれば、逆にマータイさんに、忘れていたことに気づかせてもらったと感じた人も多いようです。
しかし、多くの人が「もったいない」を思い出したとしても、問題は、どうやってそれを生かすかです。もったいないとすら思わない世代も増えましたし、昔は、もったいないと、何でも大切に使っていた世代ですら、時代と共に生活は変わってきています。今さら「もったいない」と言葉だけ取り上げても、掛け声だけでは意味がありません。
今話題のクールビズではないですが、もちろん省資源や省エネルギーへの取り組みも多々あります。しかし誰もが気づかぬうちに日常の中に組み込まれてしまった、たくさんの「もったいない」にどれだけ迫っていけるかが問われるのではないでしょうか。
貴重なモノをもったいなくて使えない、そんなもったいない使い方は出来ないと言います。他にも、身に余るような好意をもったいない言葉、などと言うこともあります。もったいないの裏側には、ありがたいという言葉が隠れています。それが使える、あるいはそういう環境にいるという感謝の心が大切なように思います。
ふだん、私達は便利でモノやサービスが豊富な社会にあって、それらが「ある」ことに対する感謝を忘れてしまっています。もしくは、そもそも、ありがたさを知らない世代もいます。生まれた時から何でも使え、何でも手に入ることを当たり前に育てば、その便利さや有難さには気づきません。
実際に洗濯板で洗濯をするとか、薪で風呂を焚くとか、井戸から水を汲むなんて実感がわかない世代にとっては、洗濯機とか風呂釜とか水道があるのは当たり前なので、今さら感謝する感覚にはならないでしょう。(私も実感がわくわけではないのですが..。)
最近は、停電や断水も災害以外では、ほとんどなくなりました。交通機関のストとか、生活必需品の品不足とか、日常で不便を強いられることも少なくなり、当たり前にあるものに、ありがたみを感じる機会も減っています。わざわざ停電させろとは言いませんが、いろいろなもののありがたみを感じられる機会を作れないものでしょうか。
クルマを使わずに歩く日とか、冷蔵庫以外は電気を使わない日とか、店も電車も全て早く終わってしまう日とか..。いろいろなもののありがたみが判って初めて、無駄に使ったりすることが、本当にもったいないと思えてくるに違いありません。
今さら戻れないこともたくさんあると思いますが、隠れている「もったいない」を個人でなく社会のレベルで考えてみる取り組みも重要ではないでしょうか。消費を抑制するのは経済や景気、雇用などとも関連し難しい面がありますが、社会的なコンセンサスを得る努力が求められます。
ゴミを減らすための具体的な方法、再利用やリサイクルの仕組みの整備にも、もっと大勢の人のコンセンサスが必要です。例えば、容器を捨てずに再利用するのがいいのか、回収や洗浄などに余計エネルギーがかかるのか、それならば違う容器や方法はとれないのか、などといった問題です。
個人のレベルで気をつけていても、誰かほかの人にもったいないと言うと、「ケチくさい」「しみったれ」「欲が深い」などと思われてしまうので、言えないこともあるでしょう。何がもったいないか、にしても、お金がもったいないとか、時間がもったいないとか、個人の主観に任せてしまうと、環境保護につながりません。
当り前のことですが、お金がかかるから、時間の方がもったいないからと言って、より環境にやさしくないものを選んでいては、今のコストや効率優先、経済合理性を基準にした社会は、変わっていかないでしょう。個人に判断を任せるのではなく、社会の仕組みで対応すべきものも多いはずです。
マータイさんは感激した言葉ですが、日本人には当たり前すぎるのと、便利な言葉であるがゆえに、ピントがずれることもあります。シンボリックな使い方はいいと思いますが、何が「より」もったいないのか、それをどういう仕組みで解消していくのか、という具体的な話にしてくべきだと思います。
市場経済にはそぐわないことも多く出てきます。場合によっては、社会の価値観を大きく転換すべき問題になるはずです。21世紀の日本が、どういった社会を目指すのか、価値観やビジョンの問われる話でもあるでしょう。もったいないと言っているだけでは、何ら変わっていかないことも多いのです。
マータイさんは、3日間で紹介したほかにも、民主化運動や女性の地位向上、債務国の救済問題など、様々な活動を行っておられ、いろいろと含蓄のある言葉もたくさん語ってらっしゃいます。他にも取り上げたいことはあるのですが、それはまた別の機会にします。
(↓最近、これも人気あるらしいです。)
もったいないばあさん

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Posted by cycleroad at 07:30│
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もったいないTシャツなるものがあるらしい。
ノーベル賞受賞者のワンガリ・マータイ氏が始めた運動から生まれたものらしい。
かっこいいかどうかはともかくとして、
これを聞いてびっくりしたのは「もったいない」と言う言葉が
日本語以外の言語に無いこと。
じゃあじゃあ
もったいないTシャツ【☆Happy diary☆】at June 11, 2005 13:23
朝日新聞の夕刊『日々の非常口』(アーサー・ビナード)を、毎週木曜日、楽しみにしています。
今夜は”もったいない話”でした。
ケニアの環境副大臣で、ノーベル平和賞を受賞したワンガリー・マータイさんが来日した際、「もったいない」という日本語に出会ったことから、
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はじめまして。
TBありがとうございます。
私は最近自転車(クロスバイクって言うのかな??)
を新調しまして、いろいろ走っているところです。
いかんせん、中途半端な田舎に住んでるもので
どこに行ってもあんまり新鮮な驚きはないのですが…。
これからの季節は自転車が気持ちのいい季節なので、
楽しみたいと思います。
書き込み有難う御座いました。
そうですね、現代は物が有り余って、そのもののありがたさが
分からない時代ですね。しかし、そんな人でも、ものを無くしてはじめて、ありがたさが分かるのですね。親を亡くして親のありがたさ、妻を亡くして妻のありがたさ。
私も、最近朝起きられたということに感謝するようになってきました。朝起きられないでそのままという人も多いですもんね。
感謝の材料がいたるところにあると思います。でわでわ。
lilaceesさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
埼玉にお住まいのようですが、私が知る範囲でもいい道がたくさんあると思うのですが。どのくらいの距離を走っておられるのかわかりりませんが、新しい自転車に慣れたら、少し足を伸ばしてみてはいかがでしょう。意外に新鮮なところもあるかもしれませんよ。
カラオケ坊主さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
あれ!TBさせていただいたら、釈迦に説法のような形になってしまいましたか!これはとんだ粗相をいたしました。仰せのように、まず生きていることから感謝するようにいたします。
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