
大阪の中小企業のオーナーの異業種交流会が、オリジナルの自転車を出しました。
サンケイ新聞によれば、この会は、
フォーラム・アイと言い、「大阪の生野を日本のミラノに。」を合言葉に、こだわりのモノづくりを目指してきたグループだそうです。開発したオリジナルの高級自転車は、「YOROI(よろい)」と言って、スーツの似合う自転車を目指したと言います。

会社の社長さんが営業で使用できるようにデザインし、価格は1台30万円。年末までに60台の売り上げを目標としています。大きさは26インチで、重さは約10キロ。車体はアルミ製で、前かごの一部に革を用い、高級感を出しているとなっています。
ハンドルの中央部に時計を付けるなど細部にこだわったと言います。会の代表幹事は「中国に負けたくないという気持ちで開発した。国内の中小企業の高い技術を集め、これからも世界に発信していきたい」と意気込んでいるそうです。
見たときには、唸ってしまいました。非常に失礼ですが、廃材利用なのかと一瞬思ってしまいました。個人的な感想を言わせてもらえば、いただけないと言うか、ちょっとガッカリです。「YOROI」と言うのは、他にカバンなども作っていて統一のブランドのようです。
海外に発信するために、「YOROI」としたのでしょう。確かに、海外の日本通には、ヨロイやカブト、ブゲイなどと言った日本の文化に注目する人々がいます。ネーミングとしては悪くありません。しかし、外国人が見ても日本の鎧や甲冑のイメージはないでしょう。
オリジナルで開発したと言う割には、フレームの形も目新しくありません。個人の主観、好みでしょうが、スーツが似合う気もしません。詳しいスペックはわかりませんが、値段に見合った素材なのでしょうか。革を使ったわりには高級な感じもしません。
時計を付けたのが細部のこだわりとしても、高い技術とは思えません。むしろアイデア不足です。中小企業の社長さんなら、確かに自転車にも乗るでしょう。でも、ビジネスのセンスや経営の観点からも、シティサイクルなのに30万円もする自転車に乗る社長さんと取引したいか疑問です。
現物も見ずに、辛口になってしまいましたが、個人的には、ちょっとピンと来ません。中小企業の社長さんの中になら、魅力的に思う人もいるのでしょうか。値段もセンスもデザインも、自転車としての商品性も、かなり疑問と言わざるを得ません。
あまり自転車に詳しくない人、ふだん乗らない人が考えたのではないかと思ってしまいます。それに、多少なりとも自転車のことを知っている人なら、負けたくないのは、台湾と言うべきでしょう。安く作るのが目的なら中国でもいいでしょうが..。
スーツが似合う自転車「YOROI」という記事のヘッドラインを見たときに、「YOROI」という言葉から、日本のオリジナリティを過分に期待してしまった部分もあります。生野をミラノにしようという意気込みや、大阪発の世界ブランドを作るといった挑戦は素晴らしいと思うだけに、残念な気がします。


と言っても、私が思うだけですから、これで売れるなら、とやかく言うことではありません。確かに実用性を追求したシティサイクル、走行性能を追求したスポーツサイクル、という方向性以外に、デザインを前面に出した方向があってもいいとは思います。
アメリカのビーチクルーザーなどもそうですが、日本のオリジナルなデザインやコンセプトが出てくると、とても面白いとも思います。ただ、鎧、スーツ、革、社長さん、高級、ミラノ、細部へのこだわり、アルミにパンチング素材と、ちょっとコンセプト的に欲張りすぎのような気もします。
素人が偉そうに、いろいろ書きましたが、ある意味新しい試みとしては評価したいと思います。是非、今後も魅力的なものづくりを追及していただきたいと思います。これだけ辛口に書いておいてナンですが、正直頑張って欲しいものです。
Posted by cycleroad at 07:30│
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私も昨日新聞を読みまして、まったく同感でした。おそらく普段スポーツサイクルに乗っている人は9割方そう思うでしょう。問題はこのようなものを大上段に構えて売り出せたこと。しかもマスコミも乗せられていることです。そして一番恐いのは、これが結構売れて自転車に幻滅させられる人が出ること。なんて、いいたい放大書きましたが、実際の乗り心地はどうなんでしょうね。(^^;)