スペースシャトルの考えかた

今、多くの人が気になっているのはスペースシャトルでしょう。
特に不安なのは、何と言っても耐熱タイルです。何箇所か傷がついているようですが、コロンビアのこともありますから、帰還時の大気圏突入がとても心配です。老朽化がささやかれてるシャトル本体(オービタ)や再利用している2本のロケットブースタでなく、唯一使い捨てで新しい、外部燃料タンクから脱落があったのも皮肉な感じです。
シャトルのいわばお腹側の黒い部分は、帰還時に高温にさらされるため、タイルが剥がれたり損傷したらまずい部分です。素人考えですが、シャトルの背中側に燃料タンクを接続して打ち上げられないのでしょうか。そうすれば、燃料タンクからの脱落物が、耐熱タイルを損傷させる可能性は、圧倒的に少ないでしょう。打ち上げの時ちょっと格好は悪い気もしますが。
そもそも、高温に耐えなければいけない、お腹側の黒い耐熱タイル部分は、僅かな損傷を気にするくらいなのに、その部分が車輪を格納するため開閉するというのは、あまりに設計的に無理があります。燃料タンクとの接続部もそうです。本来なら着陸時も、例えば背中側で着陸するように設計すべきだったのではないでしょうか。
それも見た目は格好悪いですが、見た目より安全性であるのは間違いないでしょう。そもそも翼だって、着陸寸前の数分しか使わないのに、設計時にエアプレーン型にこだわりすぎたのが間違いの元だという専門家の指摘もあるようです。

スペースシャトルと言えば、最先端技術のように感じますが、ディスカバリーは、20年以上(30回)使っていますし、設計されたのはさらに前ですから、ずいぶん古いです。今なら大きく設計もかわるのでしょう。予定では2010年までは使うようです。
関連サイトなどを見ていると、一番最初の打ち上げの時から、耐熱タイルが想像以上に損傷することにNASAは気づいていたようです。でもやっと、今回はじめて宇宙空間での耐熱タイルの修理技術の実験をすると言います。発射前のセンサー異常の原因解明を断念して打ち上げに踏み切ったり、多分に政治的ではあります。
そもそも、あのアポロ計画にしても冷戦下の月面到達競争だったわけで、月に行く莫大な費用に見合う経済的な成果はないと言います。事実その後30年以上、誰も行っていません。シャトルも、半分以上軍事衛星の打ち上げ用途です。
もともと再利用するのが前提のスペースシャトルも、点検補修に費用がかかるので、年間50回以上打ち上げないと、再利用のメリットはないそうです。国際宇宙ステーションについても、計画通りの完成は絶望的です。そもそも宇宙に行く意味は何なのでしょうか。
もちろん人類のロマンという面は否定しません。しかしマスコミも、今回の打ち上げ成功に関して、野口さんの個人的な夢がかなったということにスポットを当てています。ラーメンを食べるとか、日本人大リーガーのボールを持っていくとか言っています。そんなこと以外に評価すべき功績はないと言わんばかりです。
シャトルにメダカを積んだり、素材の実験と言いますが、全く採算が取れないそうです。日本も何千億円もつぎ込んでいるのに、そもそも意味があるのか大いに疑問があります。確かに衛星の打ち上げや、宇宙の観測は重要です。しかし無人でも出来ます。有人飛行の安全対策を考えたら、比較にならないほど安いのです。
日本人飛行士を乗せるためだけに使う莫大な費用負担に見合う、少なくとも経済的なメリットは全くありません。日本の場合は、軍事技術にも転用できません。実際、シャトル計画で喜ぶのは欧州などの国です。衛星打ち上げビジネスで潤っています。
野口さんの船外活動がシャトルの運用上重要なのは、その通りでしょう。しかし、そのシャトルの運用も、アメリカ自身、意味づけが難しくなっていることも考えなければなりません。ブッシュ大統領は、再び月や火星などとも言っていますが、滑空する空気のない天体では、シャトルは全く使えません。
もちろん、まずは、ディスカバリーの無事の帰還を強く祈念します。今、シャトルが宇宙に行っているときに書くべきことではないかも知れませんが、あまりに無頓着に、宇宙に行くという単純な事実にのみ目が行き、膨大な予算が費やされている事実は見過ごされがちです。いろいろな意見はあると思いますが、果たして、このような形での有人飛行が必要なのか、是非一度考えてみたいものです。

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2年半ぶりにスペースシャトル打ち上げ成功!
米国フロリダ州のケネディ宇宙センターから日本時間午後11時39分にディスカバリーは打ち上げられた。打ち上げから2分後にメインエンジンの燃焼を終え、9分後(だったと思う)に外部燃料タンクの切り離しに成功、約42分後に220km
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シャトル打ち上げ成功、周回軌道に 2年半ぶり飛行【にゅーずわーくす】at July 31, 2005 07:56
日本人宇宙飛行士の野口さんを乗せたスペースシャトル「ディスカバリー号」が,日本時間の26日午後11時39分に発射し,無事打ち上げに成功しました。
おめでとう\(^^@)/
折しも夏休みということもあり,家族でシャトルの発射シーンを見ていた方もいるかと思い
スペースシャトル打ち上げ成功【あれは,あれで良いのかな?】at July 31, 2005 09:09
■[ディスカバリー打ち上げは「来週後半以降」 秒読み解除](Sankei Web)
米航空宇宙局(NASA)は15日午後(日本時間16日午前)、野口聡一さん(40)が乗る米スペースシャトル「ディスカバリー」の打ち上げが「最も早くて来週後半になる」と発表した。
13日
ディスカバリー号打ち上げ「来週後半以降」【裏板橋区188丁目】at July 31, 2005 09:22
野口聡一さんを乗せたスペースシャトル「ディスカバリー(STS-114)」の打ち上げが成功しました。でも、無事に帰還するまでは気が抜けません。船外活動など充実したミッションを終え、必ず笑顔で戻ってきて欲しいです。
ディスカバリーチャンネルスペース・シャトル 発射ま
野口さん宇宙へ【なにしろパソコン編集長の更新日記】at July 31, 2005 09:31
台風一過と
ディスカバリー
[:晴れ:]
台風一過とディスカバリー ^^@【とうみAM局!?】at July 31, 2005 10:03
日本時間26日午後11時39分、スペースシャトル飛行再開機ディスカバリーを打ち上げ。
約40分後に予定された地球周回軌道に入り、打ち上げ成功!!
おめでとうございます!!
私は、そのころ力尽きて寝てしまってました。。(´д⊂)
【情報提供】
●シャトル打ち上げ
ディスカバリー号打ち上げ成功!!【ぬるいSEの生態】at July 31, 2005 10:06
行きはよいよい帰りはこわい。
新車に買い換えてあげてください。【腑】at July 31, 2005 12:28
断熱材の剥離・衝突などで、損傷が懸念されたシャトルだが、NASAウェイン・ヘール・シャトル計画部副部長は記者会見で、「いずれも小さな傷で、シャトルが帰還のため大気圏に再突入することに問題はない」と言明した※1。
ただし、ごく小さな傷も含めると、機体に26個
シャトル 帰還影響なし【備忘録】at July 31, 2005 13:21
現在のスペースシャトルは、2010年の退役が予定されており、後継機の開発の必要に迫られている。NASAの方針としては、開発期間の短縮や関連企業の生産ライン、雇用対策に配慮し、現在のシャトルのコンポーネントを多く流用するようだ。しかし、現在のシャトルとは異なり、
シャトル後継機 再利用型宇宙機は断念か?【備忘録】at July 31, 2005 13:23
実は打ち上げ中止の時のネタを中心に考えていたので予定通り打ち上げられたのは若干「想定外」(笑)
ということでスペースシャトルに関連したお話です。
↑やっぱり低迷してるんです、1クリックしてあげてください。
打ち上げ成功!【ナムさんの雑文集 〜受験生なら受験勉強しなさい!〜】at July 31, 2005 14:16
さるおです。 ものすごいいきおいで無事飛び立ちました。おめでとうござい。 気をつけて行ってらっしゃいまし。 ということで昨日ディスカバリー君が飛び立った発射台だぞ。 Launch Pad 39Bという名前なのだ。 http://maps.google.com/maps?ll=28.625853,-80.620980&
スペースシャトル・ディスカバリー あなたの留守宅(ケネディ宇宙センター)を発見【さるおの日刊ヨタばなし★スターメンバー】at July 31, 2005 16:59
金の事言うと宇宙も色褪せる
昨夜、日本時間午後11時39分、日本人宇宙飛行士、野口聡一さん(ミツションスペシャリスト)らが搭乗のスペースシャトル「ディスカバリー」が、打ち上げられました。
1981年4月12日、「コロンビア」の打ち上げが最初でしたから
雑感003【川柳ブログ 帆波の「句箋苦闘」】at July 31, 2005 23:28
1日ミッションを延長して、シャトルの物資を可能な限りISS(国際宇宙ステーショ
スペースシャトル ディスカバリーのミッション1日延長へ【秋沙のココログ既知ログ】at August 01, 2005 00:15
♪あたたかATUME♪ :ディスカバリー 準備、そして天候を含め 安全に高らかに飛び立って欲しいですネ!! 14日に打ち上げ延期になってから、 ココロ待ちでした スペースシャトル 〓ディスカバリー〓 日本時間 7月26日 23時39分 綺麗に飛びたったようですネ^−^
♪あたたかATUME♪ :ディスカバリー【oscarmodel 木下真理子のホームページ】at August 01, 2005 12:40
・打ち上げ成功 野口さん旅立つ
・野口さん、宇宙へ=ディスカバリー号地球軌道に入る
2005年07月27日00時26分AP/ライブドアニュース
茅ヶ崎出身の野口さん、いってらっしゃい!
・ライブドアとcasTYが「ディスカバリー」打ち上げをライ
打ち上げ成功 野口さん旅立つ【Mr.Xの『視界360度』】at August 02, 2005 14:11
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NASA その2【更新めんどくせえからブログにしました。】at August 12, 2005 00:59
はじめまして。読んでブログ管理者のyonです。
トラバありがとうございました。
ディスカバリーが無事打ち上げられて、その後の野口さんの仕事っぷりも報道されていますけど、宇宙に滞在していた2人にも無事会えて、本当に進化してるなぁ〜って実感しますよね!
でもこれで満足していてはダメなんですね。ちゃんと無事帰還していただけるように祈っています。
またお邪魔します!
おはようございます。TBありがとうございました。
シャトル計画,確かに相当昔の設計に基づくものですね。5インチフロッピーのパソコンを今でも治しながら使っているようなものです。
シャトル計画は,ご指摘のとおり科学技術のためだけではなく政治的な意図も見え隠れしていますが,やはり科学技術のためには有人飛行は続けてほしいと私は思います。
ただし,計画自体,そのコンセプトも含めて1から練り直してほしいものですね。もちろん,シャトルの設計自体も今の技術を踏まえて修正(またはフルモデルチェンジ)を検討したもらいたいものです。
願わくば,日本でも独自の有人飛行を検討してほしいですが,日本ではスタッフが少ないので,それはまだまだ先の話でしょうか。
TB有り難う御座います。
発射の瞬間はTVで見ましたけど鳥肌もんでしたよね。
でもNASAの発射延期のニュースはビックリですよね。
TBありがとうございます。
仰るとおり、今後の有人飛行の計画は大きく見直されるべきでしょうね。例えば火星に移住する為の基礎研究を強化するとか。ISSでもその為の研究が中心ですが、シャトルは今まで軍事衛星の打ち上げと修理が主目的でしたからね。
シャトルひっくり返しの案、良いですね。
クルーの皆さんの無事な帰還を祈っております。
TBありがとうございました。
政治に翻弄され続けられてきた有人飛行計画でしたね。
全くおっしゃられていることだと思います。
科学の発達に役立っていることも確かですし、人類の未来を考えた場合、資源枯渇に直面する前に地球外か地球内に新たなエネルギー源を探さなくてはならないミッションがあると思います。
危険を伴うとは言え、宇宙への思いは断ち切れないでしょう。
TBありがとうございます。
宇宙関連の事業はどれもこれも利益の見えない投資なので採算を考えるのはどんなものなのかなぁという気もします。問題は数多いのは確かだと思いますが、どの手法を取ってもまた別の問題が浮き上がってくるので今よりこっちの方が!とはとても言えないような気もします。
ISSで何人かが常駐する意味は非常に大きいと思いますし、そもそも宇宙関連の話は一般人が知らないことがたくさんありますしね。
何事も順序を踏む事が大事ですし、その時期もあります。それを考えると今回の(今回までの)打ち上げは十分アリだとは思っています。
TBありがとうございました。冷静な分析、勉強になりました。
スペースシャトル以降宇宙へ行く新しい技術が開発されていません。お書きの通り費用云々を考えれば意味を見つける事は困難ですね。滑走路から離陸して、そのまま宇宙へ行って帰ってくる。そういう技術が確立されるまでは、宇宙はまだまだ遠い場所のようです。
yonさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
確かに、宇宙からの映像が、リアルタイムに見れてワクワクする部分はありますよね。
もちろんNASAも最善を尽くすでしょうから、無事帰還できると思いますが、くれぐれも慎重に願いたいですね。
おかにゃんさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
5インチフロッピーとは、懐かしいですね。コンピュータも実際に確実性を優先しているので、スペックは結構低いらしいです。以前はファミコン並みとかスーパーファミコン並みとか、揶揄されていましたね。
そうですね、科学技術の振興はその通りですが、アメリカですら政治に左右されて、一貫性のない開発になりがちです。
また、政治的な意図による日程上の都合から、悪条件下の打ち上げが行われ、コロンビアの前のチャレンジャーの事故が起きました。
日本の場合も、いかに人々の納得するビジョンが示せるかが鍵でしょうね。予算的に、何しろ桁が違いますから。
芸能&スポーツ瓦版さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
ホントに、打ち上げはドキドキしますね。誰しも前回のことが頭をよぎりますし、今回のリアルタイムでいろいろ問題が明らかになる展開もハラハラさせられます。
ambushさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
人類としては、長期的に火星への移住も視野に入れるべきなのかも知れませんが、火星となると、また費用も莫大ですしいかんせん現実感が薄いですね。いかに予算獲得の説得力を持たせるかですが、確かに、探査や基礎研究から始めるべきなのでしょうね。
とうみさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
ひっくり返しは、単なる思いつきです。専門家には、ちゃんとした案があるでしょうが、素人にも明らかにおかしいと判る設計というのが苦しいですね。
dosankoさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
確かに科学の発達に貢献していますが、軍事技術の部分が大きいですね。人類の未来的には、おっしゃるように資源問題などの明確なビジョンが欲しいところです。我々も費用を負担しているわけですし(笑)。
宇宙への思い、という面は確かに断ち切れませんね。
ナムさんさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
確かに長期的な投資なのですが、知れば知るほど、政治的な部分が見えてきます。国家の役割として、民間に出来ない投資は必要ですが、広い意味で採算を度外視した投資は、国を疲弊させます。
おっしゃるように、目先の採算だけでは計れないものもあるとは思います。でもISSも完成のはるか手前で、すでに老朽化しています。そもそも、ISSは冷戦時代の産物で、ロシアが参加した時点で、目的の半分は失われたそうです。日本の関係者ですら、日本の「きぼう」は打ち上げないほうが、より被害が少ないと考えているようです。
順序を踏んでも全く無駄な、極論すればNASA予算獲得の都合だけのミッションにつき合わされている部分も確実にあるようですよ。アメリカでは相当たたかれ、信頼性も揺らいでいることはNASA自身自覚しており、計画の必要性を訴えるのに必死のようです。
帆波さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
いえいえ、恐縮です。日本も費用を負担しているわけですから、もっと発言すべきですよね。国際協力すべき分野ですが、アメリカの、しかもNASA主導の今の宇宙開発は、本当に宇宙へ行く技術の近道でしょうか。
独立記念日に彗星に衝突させるような、政治的なパフォーマンスもありますし、そもそも、冷戦時代の、西側の優位を誇示し、冷戦に勝利するための計画を、そのまま引きずっています。スペースシャトルの国際宇宙ステーションの計画もそうです。
スペースシャトルは、技術的にも行き詰っており、老朽化が激しいです。本当に宇宙に進出するためにも、前時代の遺物は清算すべきではないでしょうか。
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