September 26, 2005

実は深いところで決まること

昨日の読売新聞にある記事が掲載されました。


下のような記事です。「あら、お父さん。歩くより自転車こぎの方がいいんですって。」「うん、ウォーキングはやめて、自転車にしようかな。母さん、空気入れはどうした。」「どうせ、お父さんは三日と続かないんだから。」昨日は、そんな会話が交わされた家もあったかもしれません。


お年よりの転倒予防、歩きより自転車こぎが有効

お年寄りが寝たきりになる大きな原因が転倒による骨折だ。大腿(だいたい)部や腰周辺の筋肉の鍛錬が転倒予防につながると言われているが、それにはウオーキングよりも自転車こぎの方が有効なことが東北大の研究でわかった。岡山県倉敷市で開会中の日本体力医学会で発表された。

年を重ねると、ひざを高く持ち上げる腸腰(ちょうよう)筋や小臀(しょうでん)筋と呼ばれる筋肉が衰え、転倒しやすくなる。同大の伊藤正敏教授、藤本敏彦講師らは、これらの筋肉を鍛えるには、どんなトレーニングが効果的かを調べた。筋肉は疲労回復のために、盛んに糖分を摂取する特性がある。研究チームは20代の学生5〜7人に、30分〜1時間の様々なトレーニングをしてもらい、身体の糖の取り込み分布を画像化できる陽電子放射断層撮影(PET)装置で分析した。

その結果、階段上りでは、ひざ上げに最も重要な腸腰筋、次いで重要な小臀筋が使われた様子が確認されたが、ウオーキングやジョギングでは、腸腰筋の活発な動きは見られなかった。腸腰筋の活動が盛んだったのは自転車こぎで、ペダルを踏み込む際は、大腿部に力がかかるものの、もう一方の脚は、股(こ)関節を曲げてひざを上げるため、腸腰筋を使っていると考えられる。藤本講師は「自転車こぎで鍛えられる筋肉は、お年寄りでも同じ。階段上りは疲労感が残るうえ、無理すると心臓や肺に負担をかけ逆効果」と話している。(2005年9月25日 読売新聞)


最近注目されている腸腰筋、インナーマッスルです。インナーマッスルとは、骨に一番近い深部の筋肉のことで、姿勢を保ったり、内臓や脂肪を支えるのもこの筋肉の役目です。我々がふだん意識する体の外側の筋肉、アウターマッスルと違って見えません。その代表的な筋肉が腸腰筋です。

私も腹筋などのトレーニングをしますが、普通の筋トレでアウターマッスルばかり鍛えるのはバランスが悪く、腰痛などの原因にもなるそうです。また、超一流と呼ばれるようなスポーツ選手ほど、この筋肉がうまく使えている人が多いことなどもわかってきて、スポーツやエクササイズ、ダイエットの分野でも注目されています。

腸腰筋が衰えると骨盤が傾き、内臓を支える腹筋などがゆるんで内臓が下垂します。さらに姿勢のバランスをとろうとしてあごや胸椎が前に突き出て、猫背になってしまうそうです。お年寄りでも、すっと姿勢の良い人は、腸腰筋がしっかりしているのでしょう。そう考えると、年を取って背中が丸くなるのも、自転車で防げることになります。

肩こりを誘発する原因にもなります。腰まわりの筋肉も弱まり、筋肉の代謝全体も悪くなるそうです。すなわち、内臓脂肪や皮下脂肪も溜まりやすい身体となってしまいます。若い女性は、運動不足のため腸腰筋が細くなり、それが冷え症や隠れ肥満の要因になっている例もあるそうです。中高年や高齢者だけでなく、若い女性も積極的に自転車に乗るべきなのかも知れません。

腸腰筋の衰えは、直接足腰の筋肉に影響し、歩行能力の低下につながります。つまずきや転倒の危険性が高くなるわけです。いろいろな体のバランスを保つ、非常に重要な筋肉なわけです。 高齢者が腸腰筋のトレーニングを行うことで、予防だけでなく、歩行能力の改善も見込めると言います。

トレーニングに詳しい方は知っていますが、インナーマッスルを鍛えるコツとして、多少軽めの負荷がいいようです。負荷が大きすぎるとインナーマッスルでなくアウターマッスルを使ってしまい効果がなくなってしまいます。ちょっと軽めの負荷で、回数や時間を増やしたほうが良いのです。けっこう腸腰筋を鍛えるのは難しいのですが、自転車なら、その意味でも効果的です。

競輪やロードレースのようなスポーツならともかく、単に自転車に乗るだけなんてと、馬鹿にされる方も多いですが、実は健康のために非常に優れた運動なわけです。単に痩せるとか、生活習慣病予防だけではなく、さまざまな効果も期待できます。

寝たきりは、本人にも周囲で世話をする家族にも大きな負担がかかる深刻な事態ですが、身近に迫らないと、なかなか真剣になれません。本来、予防的に始めるべき世代は、転倒防止と言ってもピンと来ない人も多いです。もちろん、意識の高い人もいるでしょうが、寝たきり予防でなくても、インナーマッスルを鍛えるのはお勧めです。

お年寄りと言わず、もっと若いうちからでも始めるメリットはたくさんあります。自転車に乗るようになったおかげで、いろいろな体の不調が解消した、体調がよくなったという話も珍しくありません。手軽ですし、楽しいです。両親や祖父母ほか、周囲に勧めてあげるべき人がいるのではないでしょうか。





◇ ◇ ◇

昨日は、「風が強くて、自転車だと家出するのもしんどい。」といってクルマを盗んで運転した10歳のニュースがありました。10歳にしてこのセリフ、なかなか言えません。素直に自転車にしとけば、こんなに騒ぎは大きくならなかったでしょうけど..。一方で12歳で百名山制覇ですか。最近の小学生はあなどれませんね(笑)。

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Posted by cycleroad at 07:00│Comments(7)このBlogのトップへ前の記事次の記事
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http://app.blog.livedoor.jp/cycleroad/co
サイクルロード 【トピックス from 携帯】at December 14, 2005 22:31
この記事へのコメント
>お年よりの転倒予防、歩きより自転車こぎが有効

私もそのような年寄りになりたいです。
6月初旬、眩暈でコンクリート地面の顔面から転倒して
つくづく自転車こぎの大切さを知りました。
もっともショックで3ヶ月自転車から遊離してましたが(笑
Posted by クロタマ at September 28, 2005 00:05
クロタマさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
何をおっしゃいます、クロタマさんのような健脚なら、すでに相当すごいインナーマッスルだと思いますよ。
しかし、それは災難でしたね。でも、無事に復帰、おめでとうございます。ちょうど暑い時期の3ヶ月ですから、休めて良かったということで、いい季節に間に合いましたね。
Posted by cycleroad at September 28, 2005 07:12
逆トラックバックありがとうございます。
こちらこそありがとうございます。
地域的にも考え方的にも近いので、すごく読みやすいです。車、バイク、自転車、ウォーキングと人間のスピードに対する欲求が好きな私ですが、
将来的には、車に自転車を乗せ、息子(現在4歳)と一緒に自然を満喫できる旅ができたらと思ってます。

勝手ながら、今後も拝読させていただきますので、よろしくお願いします。
Posted by ボンクラ亭主 at November 02, 2005 09:56
ボンクラ亭主さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
共感していただけたようで、うれしいです。
クルマにキャリアをつけて自転車を積んでる人も、たまに見るようになりました。郊外へ出かけて自然の中で、思いっきり自転車に乗るのもいいですね。
こちらこそよろしくお願いします。
Posted by cycleroad at November 02, 2005 22:04
記事みつけました
http://greenpost.way-nifty.com/k/2005/12/1231612316_bec0.html
へのコメントを読んでこちらにきました。TBもします。中国拳法ではリラックスした状態で大腰筋などを鍛えます。私がみつけた、大腰筋のきたえかたは、押す足ではなく、引き足側の使い方です。
Posted by t_t at December 14, 2005 22:27
--->2(つづき)
下支点にきたら、足首、膝、ももの付け根の整列を意識します。その三点を意識できた瞬間に、へそ上の上丹田(胃の裏)からつり上げる感じで、一気に引き上げます。反対側の足は、太股を外旋させるように自然に前方にだし、自然に荷重します。引き上げ側は、内旋となります。この交互運動は、地上で30分かかるトレーニングが自転車で数分となる非常に効率の高い運動であることを身をもって体験してます。自転車、二重丸を通り越して、ハナ丸様でした! これからも自転車のこといろいろ教えてください。
Posted by t_t at December 14, 2005 22:28
t_tさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
腸腰筋は大腰筋と腸骨筋をあわせた総称のようですね。なるほど、記事にもヒザを上げると腸腰筋が使われると書いてあります。
引き足は、自転車のペダリングについてもよく言われますが、効率や疲労度も違ってくるようですし、やはりうまく使うべきなんですね。すると、11月16日にも書きましたが、ビンディングペダルは、その意味でも有効なのかも知れません。
中国拳法をやってらっしゃる方がハナ丸をつけるのであれば、やはり大腰筋を鍛えるのに、自転車は相当有効なのでしょうね。
拳法とは違いますが、最近ヨガとか気功などもはやっています。詳しくないのですが、インナーマッスルを使うという点では、共通する部分があるのでしょうか。
いえ、こちらこそ、貴重な情報をお寄せいただきありがとうございます。
相変わらずコメント欄小さくて、ご面倒おかけしてます(笑)。
Posted by cycleroad at December 15, 2005 12:42
 
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