
今アメリカでは、ツアー・オブ・ホープが行われています。
アメリカ大陸を横断する5300キロを自転車で走破するというものです。これは、ガン撲滅に向けたキャンペーンで、ツール・ド・フランス前人未踏の7連覇を成し遂げたアメリカの英雄、ランス・アームストロングがプロデュースしています。
ランス・アームストロングを単にアメリカンヒーローと言ってしまうと、伝わらない部分があります。彼は、睾丸ガンに侵され、肺と脳に転移しているとの診断を受け、一説には生存率10%以下と言われる状況から、苦しい闘病生活を克服して奇跡的な復活を遂げ、世界一の過酷なレースで余人の及ばぬ快挙を成し遂げた人です。レースやその言動については、好き嫌いがあるかもしれませんが、英雄と呼ばれる人であることは間違いないでしょう。

「癌は人生で起こった最良のこと」と言い切っています。これは、ガン宣告も受けたことのない一般の人には、うかがい知れない境地です。
生死の境をさまよった人が、全く違う生き方を始めるという話は聞きますが、死と向かい合ってはじめて気づくことの出来たこと、があるのでしょう。
その彼はまた、自転車レースの最高峰のツール・ド・フランスの勝利者という最高の栄誉より、ガン生還者と言われることを誇りにしています。
彼は、有名な
LIVE STRONGなど、ガン関連の様々な活動をしていることで知られていますが、このツアーもその一つです。今年で3回目ですが、サンディエゴからワシントンまでの5300キロを、癌生還者、介護士、研究者、看護師、医師などから構成された複数のチームが分担して走行し、10月8日到着予定です。途中、がん拠点病院で患者を励ましたり、がん治療研究の推進を呼び掛けます。
つい計算してしまうのですが、5300キロを9日と言うと、24時間無休で走行したとしても、平均時速25キロです。当然ロードバイクですか、途中、起伏もあり、天候も変わるでしょうし、バトンタッチやイベントもあるでしょうから、もっとずっと速いのは間違いありません。

日本でも、何かのキャンペーンなど、自転車で日本縦断ということがありますが、だいたいママチャリです。ママチャリだと、いかにも大変、苦行というイメージがありますが、その辺りがかえっていいのでしょう。文化の違いと言えばそれまでですが、平均時速も倍以上違うに違いありません。
「ツアー・オブ・ホープ」チームを応援するため、一般の人々に対しガン関連イベントに参加したり、「ガンと治験についての知識を深めるために自ら努力すること」を約束することを呼びかけています。またメッセージを
オリジナルサイト(英語)から送ったり、募金などの協力や、ガンと闘う人を支援し希望を持ってもらうための行動を呼びかけています。

日本においても、年間のガン死亡者数は30万人に及びます。しかし、その治験やガンとの闘病については、まだまだ知られていない部分があります。ガン患者の弱みに付け込む詐欺まで起きています。その点で、こうした取組みが目立つことのない日本は、アメリカより遅れている部分があることは否めません。
この「ツアー・オブ・ホープ」は、ランス・アームストロングの企画ですから、当然自転車が使われるわけですが、こうした数々の社会的貢献や彼の存在自体が、自転車に対するイメージアップにも大きく貢献していることは間違いありません。先日ニューヨークへ出かけた時にも、多くの人が
黄色いジャージを着てロードバイクにまたがっており(笑)、その人気は随所に感じられました。
彼のようなヒーローのいない日本では、ロードレースはマイナーなスポーツですし、なかなか自転車がカッコいいと感じる人は増えません。どうしてもママチャリや放置自転車のイメージが先行してしまいます。結果、なかなか理解されない部分があります。その点でもうらやましい限りです。
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Posted by cycleroad at 07:00│
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