この2ヶ月で4倍に増え、1970年代のオイルショックの際に記録した史上最高の年間2000万台に迫る勢いだそうです。もちろん価格は大きく違いますが、販売台数だけなら、過去1年間の自転車販売は自動車販売を上回ったそうです。
当然のことながら、原油高が影響していることは間違いありません。アメリカのガソリン価格は1年間で5割近く上がったそうです。日本とは税率も違いますし、それでも安いというのはありますが、急激な上昇です。ハリケーンの影響もあって原油の精製能力が落ちており、なんと日本がガソリンを緊急輸出するほどです。
原油高の原因についてはいろいろな議論があります。産油国の増産余力の減少や、ヘッジファンドなどの投機的資金の流入、中東やアフリカの政治的リスク、BRICs特に中国の輸入増大、ベネズエラなどの反米化、アメリカ石油産業の戦略、WTIなどの指標の問題など、簡単には論じ切れません。いずれにせよ世界経済に与える影響が心配されています。家計や景気にも響きます。でも省資源化が進む可能性があることについてのみは、歓迎される傾向かもしれません。
アメリカは、京都議定書には参加しませんし、石油をガブ飲みする産業構造というイメージがあります。確かにGNPあたりの原油使用量から言っても2倍以上日本よりエネルギー効率が悪いです。燃費の悪い大型車に乗り、大量消費、高エネルギー社会でもあります。エネルギー効率を向上させる余地は大きいでしょう。
そんな中で、アメリカで自転車?と首をかしげる向きもあるでしょう。イメージと違うかも知れません。アメリカは日本の25倍も広いし、クルマ社会だから自転車に乗る人なんて、ごく僅かのような気がする人も多いでしょう。ところが、そうでもありません。

確かに国土は広大ですが、アメリカ人一人一人の生活圏が日本人の25倍もあるわけではありません。もちろん、広大な土地の広がる郊外に住んでいる人だっていますが、大小の集落に住んでいれば、特に都市部では、自転車で移動出来る部分も多いわけです。
日本ほど鉄道網が発達していませんので、全くクルマを使わないワケにはいかないでしょうけど、クルマ使用を控える余地もあるわけです。
自転車保有台数は、一人当たり日本の0.7台に比べてアメリカは0.4台ですが、総数では、日本の8500万台に対し、1億2000万台もあります。日本の年間の自転車販売台数は1100万台ですから、現在は倍近く売れているわけです。
アメリカは現在、何度目かの自転車ブームでもあるようです。3000万人以上が定期的に自転車に乗り、500万人が自転車通勤をしているとの統計もあります。しかも年率2パーセントの割合で、自転車に乗る人が増えているそうです。
1991年あたりを境に、連邦交通省により戦略的な都市交通基盤の見直しという視点から、非常に合理的な政策が進められています。都市交通ばかりか環境対策、医療費、土地利用、石油節約、その他社会的コストの削減効果ばかりか、個人や企業のメリットまで踏み込んでシビアに計算しています。
その有効性を数値的に明らかにし、市民の総トリップ数、移動距離の自転車が占める割合などの具体的な数値目標をたて、予算化しています。例えば、高速道路税収から年間10億ドルが自転車・歩行者のための道づくりに拠出されるようになったそうです。自転車道についても、州の事情にもよりますが、例えばニュージャージー州では約1300キロに及ぶ自転車専用道路が州内を結んでいます。アメリカ全体では、総延長で日本の4倍、一台当たりでも2.5倍の自転車道があります。
もちろん全体からすれば一部です。ブッシュ政権の環境対策とは反する部分もありますが、民間レベルでは、もともと環境意識の高い人は多いのです。肥満が深刻な社会問題ですし、州政府も民間組織も企業も、奨励している団体も多いです。日本のように「環境にやさしいから乗りましょう」などという抽象的なスローガンとは違い、アメリカ人らしい合理的な精神に基づいて、着々とその有効利用や実質的な基盤整備も進んでいます。
ヨーロッパと比べると、そうしたイメージは薄いですが、自転車を都市交通に組み込む流れは、もはや先進国では常識となっています。日本でも多くの識者が指摘するところですが、こうした部分も、もっと世界の趨勢に目を向けていかなければならないでしょう。
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自転車にあまり興味のない人も何かのきっかけで、このブログを見て自転車をちょっと見直すといいなと思ってます。理由は、「
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Posted by cycleroad at 07:00│
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