写真は、BOSE社のノイズキャンセリングヘッドフォン「QuietComfort2」です。電子回路が、騒音の信号波形と逆の音波を即座に生成し、これをヘッドホン内に流して騒音を打ち消す、つまり音に音をぶつけることによって騒音を消すヘッドフォンです。1989年に同社が航空機のパイロット向けに発売したそうですが、現在は類似の商品もたくさん出ているようです。
iPodなど、携帯プレーヤーがさらに小型化したこともあり、自転車に乗りながらヘッドフォンやイヤホンをしている人も増えています。個人の趣味ですから、聞くなと言うつもりはありませんが、周りの音が聞こえないので危険な場合があります。ノイズキャンセルタイプなら、周りの音を消すのでなおさらです。なぜなら音は、予想以上に安全に役立っているのです。
自転車に乗ると、移動スピードが徒歩より速いぶん、感覚は鋭敏になるそうです。これは、より脳が安全に必要な情報を得ようとしているからです。意識せずとも、動物的な本能のようなものです。ほかの部分も安静でいるより緊張して、例えば手に汗をかいて滑りにくくしたりします。
視覚情報はもちろんですが、死角になっている部分など、他の人や物体の接近情報を耳で得ています。物音や話し声などが聞こえれば、鉢合わせを予想できたりします。無意識にも気配を察知して危険を回避する確率が高まります。後ろから走行音が聞こえれば、抜かそうとしている自転車がいるのも気づきますし、子供の声がすれば飛び出してくるかもしれません。
ヘッドフォンやイヤホンをして、音楽を聴きながら自転車に乗るのは、周囲の音が聞こえなかったり、気配が感じられないため、危険が高まるのは間違いないでしょう。安全の観点からは避けるべきです。周囲の他の人、自転車にとっても迷惑です。
実は最近、危険というだけではないことがわかってきました。それが携帯音楽プレーヤーによる、若年層の騒音性難聴です。研究者によれば、特に問題なのは従来と違い、ジョギングしている間などでも1日中聴きつづける例が増えていることだそうです。若くても聴力は老人並みの若者があまりにも多いと指摘しています。この傾向は、数十年前にウォークマンが登場して以来、ずっと続いているそうです。
携帯プレーヤーによる音楽の聴取は、ひどく中毒性があるとも指摘されています。実際の調査でも、騒音性難聴の症状は増加しており、高い周波数の音が聞こえにくくなり、時々軽い耳鳴りがしたり、騒音のある状況で会話が聞き取りにくくなったりするそうです。中には、肩こりや頭痛、めまいの原因にもなります。
医師たちによると、今では音楽を聴くためだけでなく、バスや電車の中で、さらには街中でも、周囲の騒音を遮断するためにイヤホンやヘッドフォンを使っている人も多いと言います。しかし、こうした行為のすべてが聴力の衰えにつながります。この問題の厄介なところは、最初のうちはまったく気づかないことだそうです。繰り返し騒音に曝されつづけ、何年も経ってようやく気がつく場合が多いのです。
音を聞くのは、鼓膜だと思っている人も多いと思いますが、実は内耳の中の蝸牛(かぎゅう)という器官の中にある「毛」です。蝸牛の中に並ぶ有毛(ゆうもう)細胞にはえている毛が揺れて音を感じるのですが、毛が倒れたり抜けてしまったりすると、元には戻りません。有毛細胞の動きが悪いと難聴に、誤作動を起こした状態だと耳鳴りになります。
繰り返し騒音に曝されつづけると、健康な人でも、驚くべきことに2時間で半分以下まで聴力が落ちます。いわゆる耳の疲れた状態なのですが、なかなか気づかないのだそうです。有毛細胞は、疲労によって傾き始めるため、傾きが少ないうちに疲労回復させることが大事で、8時間休息をとれば元に戻ります。耳が疲れたまま、有毛細胞の毛が倒れたり抜けてしまうと、元に戻らず難聴になるのです。
最近では、バッテリーの性能も上がり長時間音楽を聴くようにもなり、ダメージを与えるレベルにまでボリュームを上げている人も非常に多いと警告しています。電車の中などで時々見かけますが、音漏れで迷惑をかけていることに気づかないことも多いので、なるべくボリュームは絞るべきでしょう。
音量を抑えて毎日1時間なら、比較的安全だそうです。耳が疲れるということは、聞こえが悪くなることですが、きちんと耳を休めず疲れが蓄積して難聴になると、耳の感度が20〜50歳でも本来の4分の1の聴力になってしまうと専門家は警告しています。
作曲家の千住明さんは、十代の頃から音楽仲間といろいろな音楽を聴いてきたと言いますが、そうした仲間の多くは20代前半で聴力の衰えを感じて、非常に後悔しているそうです。そういう友人は耳の不自由を感じながら音楽を続けているそうです。音楽を好きならばこそ聴いたり演奏したりするけれども、耳を酷使していることにも気が付いて耳を休めないと、若いうちに聴力を衰えさせてしまいます。耳を大事にして欲しいと語っています。
ヘッドフォンなどをして自転車に乗っている人もいますが、危険であるとともに、難聴になる可能性を高めていることになります。耳休めという観点からも、自転車に乗ってる時、ジョギングをしている時、道を歩いている時など、空の下では音楽を聴くのをやめてみてはいかがでしょうか。
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しかしニシキヘビの発見、止まりませんね。これだけあるのですから氷山の一角で、もしかしたら人知れず大発生してたりして..。庭でもイヤですが、押入れは驚きますね。
Posted by cycleroad at 07:00│
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