December 05, 2005

気づかずに通過している場所

本文とは関係ありません。それは、今から4ヶ月ほど前のある暑い夏の日のことでした。


その日、朝早くから出かけた私は、自転車に乗って郊外の道をすでに1時間近くノンストップで走行していました。主要国道から離れて、だいぶ山の方へ入ってきたなと思いつつ、休憩場所を探していました。焼け付くような夏の日差しが容赦なく照りつけ、アスファルトに反射してかなりの気温になっています。ここのところ夕立すら降っていない日が続いていたので、道路脇の土も完全に乾ききっています。

ボトルホルダーに手を伸ばして、走行中も水分は補給していました。でも暑さにボーっとなりそうなので、どこか休憩できるような場所を探していました。走りやすそうな裏道、旧道のような道を走っていましたので、クルマの通行が少ないぶん、店などは見当たりません。かなり郊外に来ていましたので、コンビニに行き当たるのも望み薄です。それどころか、民家すらまばらです。なかなか気のきいた場所はなく、ただ延々と道が続いているだけです。

たまにクルマが通りますが、暑い日ざしもあって、人影は全く見当たりません。いい加減にどこかで止まろうと考えていたとき、少し大きな道に出ました。それでも、公園や景色のいい場所などは見つかりそうになかったので、あきらめて道ばたの少し木陰になったところに自転車を止め、道路わきの低い縁石に腰掛けました。

一息つきながら、地図で場所を確認したり、サイコンの距離を確認したりしていました。そこだけ日影になっている上に地面が濡れており、意外に涼しくなっていました。ひとしきり休んで、また走り始めようかと思った時、ふと、妙なことに気づきました。そこは、道に面して、工事現場のような高いフェンスがずっと連なっています。しかし、工事現場と違って、何の表示も出ていません。

本文とは関係ありません。資材置き場か廃土の捨て場かなとも思いましたが、見る限りでは出入り口がありません。使われている様子が全くないのです。フェンスの向こうから枝が出ているほかは、建物も見えません。フェンスが高くて隙間もないので、中の様子をうかがう事も出来ません。

不思議なのは、地面が濡れていることです。水を撒いたのではなく、フェンスの向こうから滲みだしているようです。しかも、かなり広範囲に濡れているのです。水道が出しっぱなしになって水が流れている感じとも違います。臭いはありませんが、湧き水のようでもありません。

おそらく、ロードサイドのホテルか、工場か、寮か、診療所か何か判りませんが、施設を閉鎖した場所のようです。フェンスからはみ出しているのを見ても、中は雑草が生い茂っていると思われます。その時です。中から草をかき分けるような音と共に、低い音が聞こえたような気がしました。フェンス越しなので、何の音だかわかりません。うなり声のような気もしますし、人の話し声のようにも思えました。

何となく気になって、周りを歩いて見てみました。縁石の切れ目があるものの、出入り口とおぼしき場所もフェンスでふさがれています。ほかに入り口は見当たりません。敷地の背後は崖がせまっているようですが、そちらに続く裏の方は藪になっており、自転車に乗る格好で入って行く気にはなれません。裏の方はわかりませんが、表から見る限りでは、誰かが入り込まないように、一通りふさいでしまったようです。入れそうには見えません。

その後は、もう何かがいる気配はしませんでした。人の話し声のようにも思えたのですが、定かではありません。確かめるすべもないです。鳥か、何かの小動物の可能性もありますが、声は人の声のようでした。確かめる方法も考えつかないので、何となく気にはなりましたが、出発してしまいました。

帰ってきてからも、妙に気になっていました。なんか人の気配だったような気がして仕方がなかったからです。でもその後、そんなことは忘れてしまっていました。最近になって、廃墟explorationというサイトを見て、そのことを思い出しました。「このサイト」にヒントがあったのではないかという気がするのです。

私が聞いたのはなんだったのでしょう。住人だったのか、侵入者だったのかわかりませんが、人間だったような気がしています。ずっと雨は降っていなかったのに、水がしみ出していたのも、不思議なのです。「こちらのページ」を読んでみますと、確かめるには、かなりの危険を伴うようです。なにより違法行為でもあります。ほかにもサイトがありますが、ウェブ上で見るだけにした方が良さそうです。

少し郊外へ行けば、わりとこうした場所はあるのかもしれません。ふだん、何も気にせず通り過ぎていますが、内部には、こういう世界も広がっているのかも知れません。




◇ ◇ ◇

もちろん実際に侵入することは決して、お勧めできませんが、サイトを見ていると、その怪しい魅力や、探検への衝動もわかる気がします。世の中には、こういうマニアの方もいるんですね。

このエントリーをはてなブックマークに追加

 デル株式会社


Amazonの自転車関連グッズ
Amazonで自転車関連のグッズを見たり注文することが出来ます。



 楽天トラベル

この記事へのコメント
 うわぁ、こんな世界があったんですね。いろんなサイトを見てると、どんどん引き込まれていきます。確かに魅力的で危険な香りが、なんともいいですね。しかし本当のマニアにはなれそうにないです。外からのぞいてるのが良さそうですね。実は私がいつも走ってる一見平和そうなサイクリングロードにも草がぼうぼう延びて「こんなとこ死体の1個や2個ころがってても不思議ちゃうなぁ。」と思う所があります。でもブログで紹介するのも危ないかなぁ?と、たまたま悪いヤツが見ていて「なるほど、こんな場所に・・・」なんてヒントになるといけません。ありがちな昨今ですし。それとなく今日のブログに写真貼っておきます。そっと、見てください。実はこの写真、そんな裏の意味があります。
Posted by キルワニ at December 05, 2005 18:40
キルワニさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
怪しいけど魅惑的ですよね(笑)。私も、実際に潜入したら、かなりの緊張感があるだろうなとも想像しますが、やろうとは思いません。あまり普通の書店にはないかもしれませんが、廃墟の写真集や書籍もたくさん発行されていて、知る人ぞ知る趣味のようです。いろいろな亜流もありますし、怪しい感じではありますが、そうした世界では珍しくもないメジャーな分野だそうです。
写真見ました。物騒な感じですね。周りのひと気はわかりませんが、待ち伏せされたら怖そうです。死体はなくともゴミの不法投棄もされかねませんね。一つ捨てられると、あっという間に増えたりしますし。東京や大阪でも、意外なところに防空壕などがあったり、目の届かないところはあるのかもしれませんね。
Posted by cycleroad at December 06, 2005 07:33
 
※全角800字を越える場合は2回以上に分けて下さい。(書込ボタンを押す前に念のためコピーを)