December 06, 2005

聞く耳を持っているようでも

キャンペーン東京都が、第8次都交通安全計画をまとめるようです。


それに伴い今月9日まで、東京都では、第8次都交通安全計画への都民から意見を募集しています。「高齢者の交通安全の確保」「若者の二輪車事故等の防止」とともに「自転車の安全利用の推進」が最重点課題に掲げられています。自転車の事故は増加しています。

平成17年度の東京都交通安全実施計画には、歩道を暴走する自転車の問題や放置自転車の問題、マナーやルールの問題が取り上げられています。無灯火や携帯電話を使いながらの走行などによる衝突事故も増えているのです。歩道を暴走している自転車については、いくらスピードを落としましょうと言っても埒があかないわけで、歩行者と分離する必要があります。そのために自転車道、自転車通行帯などの整備が必要だと思います。

ただ私も含めて、ふだんロードバイクなどで車道を走行する人にとっては、自転車通行帯など無くてよい、現状のままでよいという意見もあるでしょう。確かに、通行する場所にもよりますが、あまり必要性を感じないかもしれません。しかし、特に都心部では、駐車車輌や右側通行する自転車などによる危険性や走りにくさも多々あり、非常識な自転車利用者もいます。マナーやルールだけでは現実として解決されません。自転車通行帯を整備して、その正しい通行を義務付けないとどうしようもない状態もあるのではないでしょうか。

ヨーロッパの環境先進国においては、都心の渋滞やそれによる大気汚染などを防止する意味においても、都心部へのクルマの流入を制限して、自転車通行帯を設けてその活用を図る方向性が探られています。やはり、交通全体の問題としてとらえれば、都市部においては自転車道や通行帯を整備してその利用を促進することが、渋滞解消や環境問題にも貢献し、交通安全や利用者の健康促進にもつながるでしょう。車道走行する人にとっても、安全面やスムースな走行にメリットがあると思います。さんざん、このブログでも述べてきたことですが..。

ところで、そんなことは、行政にしてもとっくにわかっている事です。東京都にしても、国土交通省にしても、以前からわかっていますし、そう主張しています。固い報告書の形でPDF文書になっていることもあり、なかなか読まれないとは思いますが、探せばちゃんと書いてあります。そして自転車関係に限ったことではありませんが、毎回結局は、言い方をかえた同じ主張の繰り返しです。

今回の東京都の意見募集についても、無意味とは言いませんが、果たしてどれほどの意味があるのでしょう。この募集ではありませんが、私も意見を送付したことがあります。しかも、労力をかけて過去の報告を精査し、同じ内容を慎重に避け、実現可能でかつ具体的、今までにないが、やってみる価値が充分あると考えられる提案をしました。しかし、全くの梨のつぶてです。もちろん、前例のない施策を実施するような果断など、そもそも役人には期待できないこともあるのでしょう。

キャンペーンせっかくの提案であっても生かせないばかりか、それを公表することすらしません。別に、応募のお礼や連絡が欲しいわけではありません。私の意見が正しいと一方的に主張するものでもありません。

しかし、どれだけ応募があって、どう処理したのかすら明らかにせず、意見を集めようとする努力、姿勢も見えてこない場合が多いです。これは東京都に限ったことではありません。

そうした経験から言うわけではありませんが、どうしても、こうした意見募集が胡散臭く見えてしまうのです。単なるポーズと言うと言いすぎでしょうか。市民に対するガス抜きなのでしょうか。仕事をしているフリでしょうか。

第一、意見を募集しても、それを取り入れる能力がないでしょう。そんな許容力や柔軟な発想、フレキシブルな態勢になっていれば、外部に募集せずとも、いろいろなアイデアが出て、とっくに実施できているはずでもあります。

何かにつけて、会議をして計画を立て、無駄な組織を作り、意見募集やアンケートを行い、実態調査や実験にお金をかけ、ほとんど読まれない報告書を作成しています。

しかも、内容はとりたてて目新しい内容はなく、前回の報告を多少塗り替えて踏襲しただけです。そして、関係各所に申し入れ、見てもらう努力もない資料を積み重ね、愕くほど中身のない運動やキャンペーンを企画し、ポスターや冊子を配って啓発に努めたと称し、意味のない予算を計上し、無駄な経費を消化するだけです。

しかも似たようなことを、国や自治体でやっていますし、各省庁やセクション、機関ごとにダブっています。縦割りです。それぞれ多少違った角度から取り組みますが、結局実効性はなく、縦割りなぶん非効率極まりないです。担当者が異動になれば、また一からです。注意して見ると、形だけのものも多く、膨大な無駄が隠れています。利権がらみの施策の予算を正当化する言い訳に過ぎないものすらあるでしょう。

具体的な内容は退屈させるだけなので省きますが、報告にしても、笑うしかないお粗末なものも多いです。明らかに統計処理や数字の扱い方が間違っているものがあります。なんとか調査の数字に意味を持たせるため、恣意的に処理した結果、明らかな間違いになっています。

サンプルのとり方や前提条件がおかしいもの、誤差の範囲や有効数字の桁数のおかしいものもあります。明らかに能力の低い人が、義務的にやっているだけの作文とわかるものもあります。そして最終的には、誰でもわかること、当たり前のことしか書いてなかったりします。

必ずしも、啓発やキャンペーンが無駄とはいいませんが、無駄と非効率も多く、効果も上がっていません。その反省もなく、毎回繰り返されているだけです。膨大な予算が、ただ役人の仕事を作るだけに使われていると言っても過言ではないでしょう。調査や計画などにしても、毎回同じ机上の議論、結局同じ結論を出すだけに使われるなら、その予算を、具体的な施設の整備や改修など使った方が、よっぽど交通安全の効果があがるに違いありません。

もちろん、こうした行政の改革の必要性は多くの人が指摘していることです。しかし、何かにつけて、そのあまりのひどさを見るにつけ、暗澹たる気持ちにならざるを得ないのも確かです。




◇ ◇ ◇

固い話題なので、興味ない、つまらない、と言われればそれまでです。実際、こうした記事にはコメントも少ないです(笑)。でも、たまにはこうしたことを考えるのも必要でしょうし、多くの人が問題意識をもつことでしか、政治や行政は変わっていかないとも思います。

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こんなん有りましたけど シリーズ 1【徒然閑話】at December 06, 2005 16:34
この記事へのコメント
自転車のマナーの問題を取り上げたサイトのコメント欄や掲示板は大抵「自転車は車道を走る物」と現状の道路状況を無視して言い放つ人と、「だって危ないじゃん」と現状を容認する人に分かれますよね。こう言うのを見てきた上で、上のテーマを考えると、意見募集は、するだけ無駄なんじゃないかと思うのです。つまり一般市民に意見募集したって、建設的な意見って殆ど出てこないよ。と。また、現状では、実のある意見も埋もれてしまうでしょうから。
議員先生をヨイショしつつ圧力をかけつつ、行政に動いてもらうのが一番の近道なのかなあと思うのです。一応、間接民主主義国家ですから。それが健全かどうかは別として。
Posted by maksim727 at December 06, 2005 10:13
私のレベルで自転車記事書きましたので、TBさせて頂きました。
Posted by unclemac at December 06, 2005 16:33
maksim727さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
そうですね、意見は出尽くしている感もありますね。あるいは、理想と現実と言いますか、費用的な問題やスペース的な点から実現が難しいものも多々あるでしょう。
意見募集にしても、ほとんど知られていないと思いますし、行政側も積極的に周知していない場合も多いわけで、そうすると、たんに形式的な感じもしてくるわけです。
確かに、政治家と言うか政治に期待する面も大きいのですが、やはり、政治家が動くモチベーションとしてどうなのかという問題もありますね。強い業界団体が陳情を重ねるという問題になりにくいでしょうし、そもそも業界が強いかどうかも問題なわけで..。首長のリーダーシップは期待したいところですけど。
Posted by cycleroad at December 07, 2005 09:44
unclemacさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
そんな、私のレベルで、だなんて謙遜なさらずに。いつでもどうぞ。なんか面白い自転車の情報がありましたら、教えてください。
Posted by cycleroad at December 07, 2005 10:00
 
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