December 14, 2005

避けて通ってはいけない問題

道路標識無料配布年度末だけでなく、年末の今頃も道路の夜間工事が増えているように思えるのは、気のせいでしょうか。


ガスや水道などいろいろあるのでしょうが、舗装しては掘り返しているような気がするのも、よく言われるところです。道路本体の工事の費用に関しては、道路特定財源と呼ばれる税金が使われています。ガソリンにかかる揮発油税や自動車重量税、自動車取得税、軽油引取税などです。先週、その道路特定財源見直しの基本方針に政府与党が合意しましたが、実態としては先送りに近いようです。この問題については、市民の間でも賛否両論、いろいろな考え方があるようです。

受益者負担の考え方からして、一般財源化は認められないとする人も多いようです。確かにそうでしょう。ただ、政府の説明は、塩川元財務大臣の例えではありませんが、母屋がおかゆをすすっているのに、離れですき焼きを食っているのはけしからん、国家財政の危機なのだから、一般財源化やむなしということでしょう。

しかし、クルマのユーザーは担税力があるからという小泉首相の理屈では、なかなか理解を得られないでしょう。予算が余ってきたから一般財源化する、というように多くの人に捉えられていますが、無駄な道路は作らせないようにするという、誰もが理解する本来の理由を前面に押し出すべきです。

もちろん必要な道路はあるとしても、地元の人ですら無駄だと言い、救急車が急いでも使わない高速道路など、無駄な道路も沢山作られてきました。特定財源のままで用途を限定すると、そうした無駄な道路まで作られるから、多少用途を広げるが、納税者の納得できるような用途に使うと言えば、比較的理解が得られやすいのではないでしょうか。

道路建設以外でも、渋滞対策や交通関係の用途に使ったり、建設国債の償還の資金にするなど、納得のいく用途に配分出来るでしょう。そうしながら、今まで一般財源から出ていた予算を振り向け、プライマリーバランスの黒字化を目指すべきだと思います。

一般財源化するなら、暫定税率を廃止すべきとの意見ももっともです。しかし総理としては、選挙で大勝したこともあり、少しでも財源を減らしたくないところでしょう。政府にしてみれば、減税は簡単でも増税は大変です。どうしても譲れないのであれば、手続きを省略せず、一旦暫定税率を廃止した上で、同率で別の税金を創設するという本来の議論をすべきではないでしょうか。

道路標識無料配布いずれにせよ、重量税以外は法改正が必要となります。従来の道路整備のための暫定税率をそのまま流用するのでなく、例えば、揮発油税は今後懸念のある原油の安定確保のために使うとすれば理解されやすいでしょう。中国やインドの経済発展を控えて、というだけでなくても原油の安定確保は国家の安全保障上の重要課題です。

揮発油税や軽油引取税などを引き下げると、燃料の需要が伸びて地球環境に良くないとする主張があります。確かにそうですが、一方でそうした物流に依存しているわけでもあります。ただ環境のためというのでは、物流業界などの要らぬ反発を招くだけです。暫定税率のぶんは引き下げるが、将来のエネルギーの確保の対策などにその分振り向けるので、結果としてプラスマイナスゼロであれば、あまり文句の言いようもないのではないでしょうか。

私も、クルマを所有し、人一倍道路特定財源となる税金は負担していますので、心情的には減税して欲しいです。しかし、無駄な道路を作るよりプライマリーバランス、と言うなら一般財源化やむなしと思います。自分の払った税金の使い道も大切ですが、国家財政が破綻状態になれば、日本国民なら誰でも困るわけです。結局、そのつけを払うのも我々なのです。道路特定財源の是非などは、その意味では小さなことです。

もっと全体を見て、将来的にもトータルで納税額を減らすなら、一刻も早く一般財源化して、借金の利払いを少しでも減らすべきでしょう。長期的には金利上昇も見込まれます。今は国債の償還のために国債を発行している状態です。借金を返すために借金をしているのです。家計でも、借金が膨らみ続けているのに、お金が余ったから何に使おうかと考えることはないでしょう。

もちろん、それが有効に使われなくては誰だろうと納得できません。誰が見ても無駄な予算や税金の無駄遣いがあります。さまざまに優遇されすぎている役人天国も是正しなければなりません。歳出削減が大前提です。むしろ、その部分に目を向けるべきでしょう。小泉内閣の間に確定するならば、いずれ一般財源化されるでしょう。それなら、その是非に声を上げてもむなしいものがあります。なにしろ、選挙であれだけ勝たせてしまったのですから。

むしろ、一般財源化するなら道路予算の使い方をもっと明確にし、必要な使途に使われるようにし、無駄な道路建設への歯止めとなる枠組みを求めるべきではないでしょうか。そして、それが有効に使われるよう要望したいです。個人的には、やはり既存道路の充実にも振り向けて欲しいです。あまりにクルマ本位に出来すぎています。クルマのユーザーが支払うから当然とも言えますが、ドライバーだって歩くでしょうし、クルマ本位が招く歪みもあります。

このブログでは何度も取り上げていますが、もっと歩行者の安全対策を考えてもいいでしょう。出来れば自転車道や通行帯も設けて欲しいです。そうした対策により、歩行者や自転車との事故が防げるのであれば、ドライバーにもメリットがあります。また道路の拡幅や違法駐車対策などは渋滞対策でもあります。ドライバーや歩行者と分けずとも、生活者全体として考えて、まだまだ必要な使途はあると思うのです。




◇ ◇ ◇

今日は、固いテーマを取り上げました。税は誰でもなるべく払いたくないですが、ただそれだけで目を向けない、考えない、では結局自分達のためになりません。こういう問題にも目を向けて考えることも必要だと思います。

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In環境税Out道路特定財源【佐藤秀の徒然\{?。?}/ワカリマシェン】at December 15, 2005 21:29
 
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