それぞれの用途やタイプ別に特化しているからであって、各々の目的用に乗りやすく出来ています。ママチャリは、その用途の点で汎用性が高く、誰でも、初心者でも乗りやすく出来ています。
しかし、試しに1時間2時間と連続して乗ってみるとわかりますが、体重がサドルに集中してかかるぶん、お尻が痛くなります。スピードも出にくいです。反対にロードバイクは、前傾姿勢ですし、初めて乗る人は乗りにくく感じるでしょうが、スピードを出して、オンロードを長距離でも快適かつ効率的に移動出来るよう考えられています。慣れてくれば乗りやすく感じるでしょう。
ほかにもマウンテンバイクは悪路での走破性を高め、オフロードでも乗りやすいように出来ていますし、ミニベロも可搬性と走行性の両立を目指しつつ、小さなタイヤでも乗りやすくするための工夫が凝らされています。BMXとか、そのほかの自転車もみなそれぞれの用途に使いやすく考えられているわけです。
言ってみれば、どんな自転車も、それぞれの目的の乗り方なりに、乗りやすくするための改良が重ねられてきたわけで、誕生以来、自転車はそうして進化してきたとも言えるでしょう。
当たり前といえば当たり前なのですが、唯一例外と思われる自転車がかつてありました。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、1998年頃発売された、ナショナル自転車工業のPanasonic RODEO(
パナソニック・ロデオ)という自転車です。発売当初のキャッチコピーも「乗れるもんなら乗ってみろ!!」という非常識(笑)なものでした。要するに、わざと乗りにくく作ってあるという意味で、かつて無かったのではないかと思える自転車です。
乗りにくい、又は乗れない自転車として一部では話題になったようです。公道を走ることも出来ません。ハンドルが大きく前に倒れる形になっています。なんで乗れないのか、乗ってみないと、その乗れなささ、が実感出来ない、という自転車です。乗るのではなく乗りこなす自転車ということで、暴れ馬を乗りこなすイメージからロデオと名づけられたのでしょう。
パナソニックは、ジョーバという
乗馬型の健康器具も
開発し売っていますから、乗馬系の発想が好きなのかも知れません(笑)。
残念ながら私は乗ったことがありません。当時聞いた記憶はあるのですが、何かお遊びの自転車のようなイメージがあって(その通りとも言えますが)、あまり興味も沸きませんでした。そしてそのまま、よく知る機会も無いうちに忘れてしまいました。
よく知る機会があったとしても、わざわざ買ったかどうかは怪しいものです。面白いですが、やはり一般にはあまり売れなかったのでしょう。残念ながら生産中止になってしまいました。店頭で見たこともありませんし、現在では入手も困難だと思います。どこかで乗れるなら乗ってみたい気はしますが、やはり乗れないのでしょう(笑)。
実際に、このロデオに乗ってらっしゃる方、個人のサイトを見ると、何となく雰囲気はわかる気がします。乗りにくいのだけど、乗れるようになると楽しそうです。その乗りにくさが面白く、独自に競技をされたりしているようです。なかなかその面白さが理解されにくいので、購入のハードルも高いですが、もしかしたらジワジワ売れたかもしれません。早々に生産中止になったのは残念な気もします。
参考:個人の方のサイト、
RODEO X-treme tribal/
ロデオくらぶDoragon Rider/
乗りにくくするという、ある意味、歴史的にも稀な発想です。乗りこなすのが楽しいというコンセプトも秀逸だと思います。考えてみれば、昔は、今ほど自転車も乗りやすくありませんでした。ブレーキやシフトチェンジの機構にしても、今ほど良くありませんでしたし、今と比べれば部品の精度も悪く、チェーンがよく外れたりしていました。
うまく、だましだまし乗るとか、乗りにくい部分を乗りこなす感覚があったと思います。子供ながらサイズの合わない大人用自転車や、業務用の重くてゴツい自転車に乗っていた少年もいました。今は、それこそ電動アシストをはじめ至れり尽くせりです。
スポーツバイクの世界でも、その完成度は昔と比べて飛躍的に向上しました。自転車が、より乗りやすく快適になる進化に文句を言うのは、贅沢というより「へそ曲がり」と言われそうです。でも、こんなへそ曲がり自転車にも、また出てきて欲しい気がします。
◇ ◇ ◇
もう帰省されて、ふるさとからご覧いただいている方も多いかもしれません。もしかしたら、昔乗ってた何十年前かの懐かしい自転車が、実家の納屋に眠っていたなんてこともあるかもしれませんね。実物はないけど古いアルバムに幼い頃に乗っていた自転車の写真が残っていた、とか。今年は雪かきが大変で、それどころではないかもしれませんが..。
Posted by cycleroad at 13:00│
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