最近は太陽光発電や風力発電なども話題になります。まだまだ普及の段階ではないようですが、潮力とか地熱、バイオマス発電などもあります。新たな発電方法に比べてローテクな話ではありますが、仮に人間の力だけで発電しなければならないとしたら、どうするでしょう。
手でハンドルを回して発電して聴くラジオなどもありますが、発電の効率や発電出力、持続時間などから考えても、やはり一番は足でペダルを漕ぐスタイルになると思います。裏を返せば自転車が
効率的に人間のエネルギーを取り出す形になっているという事でもあります。

ただ、自転車を漕ぐエネルギーを使うなら、当然移動に使うのが一番効率が良くなります。普段は、わざわざ人力で発電する必要はありません。せいぜい自転車のライトを点灯させるくらいでしょうか。
もし人力発電が必要となるとしたら、それは災害などの非常時ということになるでしょう。病院など、非常用電源やディーゼルなどの自家発電装置を備える施設もあるでしょうが、そうした設備は限られています。
照明用には懐中電灯やろうそくもありますし、焚き火も出来ます。しかし現代のように、あらゆるものが電化されている時代、イザという時、電気が使えれば助かるものはたくさんあります。発電手段があるに越したことはないわけです。またよく言われるように、震災で一番困るのはトイレだと言います。下水道に損傷がなかったとしても、水を流せないのですぐ詰まってしまい、悲惨な状況になるようです。
すると必然的に、あるいは無意識的にもトイレに行く回数を減らすため、水を飲むのを極力減らすようになるそうです。これが血液の濃度を上げ、血流を悪くし、血栓につながるわけです。中越地震の被災後、いわゆるエコノミー症候群で亡くなった方が出たのは、必ずしもクルマの中で足を伸ばせずに寝たからとは限らないそうです。トイレの問題とは言え、生命にかかわるのです。
断水が起きるのも水道管の損傷とは限らず、ポンプの電源が停電によって動かない場合も多いそうです。上水道のポンプの電源を人力で賄うのは無理としても、建物や施設の貯水槽から汲み上げるポンプさえ使えれば、トイレが使えるケースも多かったと聞きます。そんな時に、自転車を何台かつなげて人力発電が出来たら、ポンプも動かせるかもしれません。

この
エコバイク「ワット」は、エイワットという会社がイベント用などとして貸し出したりしている自転車です。普通の自転車だと発電機は前輪についている場合がほとんどなので、非常時の照明に使うにしても停まったまま使えないのが難点です。このエコバイクのように、後輪で効率よく発電する能力があれば、非常時の発電装置としても使えるでしょう。
20Wから最大120Wも発電出来ます。バッテリーと組み合わせれば、いろいろな用途にも使えそうです。こうした自転車が、通常使う自転車として普及することまでは期待できませんが、災害用の備蓄資材に入れる価値はありそうです。備蓄スペースの問題があるなら、一般の自転車に外付けするタイプもあるようです。

場所にもよるのでしょうが、阪神大震災の時などに非常用交通手段として自転車が活躍したケースも多いと聞きます。緊急の移動や連絡用などとして使われたようです。被災後、物資を輸送するトラックなどで道は大渋滞でしたが、なかには自転車で移動出来たおかげで、被害の少なかった街の銭湯へ通えて助かったという話も聞いたことがあります。
以前にも、
非常用の飲料水製造自転車や
災害備蓄用自転車について取り上げました。もちろん移動手段としての活躍も期待できます。さらにイザという時、エネルギーを取り出す装置として使う事を考えておいてもいいかも知れません。あらかじめ電圧や接続コネクタなども検討する必要があると思いますが、非常用発電装置の予備くらいには利用できるのではないでしょうか。

俗に天災は忘れた頃にやってくると言いますが、最近の日本列島はプレートの活動期に入ったらしく地震が多くなっているそうです。耐震強度偽装事件などもあって、忘れるどころか気になるばかりです。遭ってみないとわからないことも多いですし、災害の教訓は最近の例がいろいろあるわけですから、是非とも生かしたいものです。
Posted by cycleroad at 14:00│
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