
最近はバリアフリーという事が当たり前のように言われるようになってきました。
つい先日は、ビジネスホテルチェーンが会社ぐるみで障害者用の設備を撤去したり、転用した問題が大きく報じられました。法律的にも容積率が法定の2倍もあるなど、信じられないような違法な改造を行っていたこともあり、会社の姿勢に対して憤りを感じた方も多かったと思います。
かなりの数の抗議も殺到したみたいですが、私はふと、山田太一脚本のNHKドラマ「男達の旅路」の「車輪の一歩」を思い出しました。ずいぶん昔のものだと思いますが、アマゾンなどを見ますと、もう一度見たかったという人も多いようで、さすが名作と言われるドラマです。

その当時からすれば、だいぶバリアフリーも進んでいるはずです。ところが、確信犯だったこのビジネスホテルチェーンのような例はともかくとしても、一般に考えられているほどバリアフリーが進んでいないのも事実のようです。見た目には整っていても、必ずしも役に立たないと言います。
ハンデキャップのある方にとって、「なんちゃってバリアフリー」と呼ばれるような施設が決して少なくないのです。健常者が設計するために、実際には使いづらかったり、何かしらバリアが残っているため、トータルでは結局利用できないことも多いそうです。使う人が少ないから整備が進まないのか、整備が進まないから利用されないのか、考えてみる余地がありそうです。
ところで、問題にもなった点字ブロックですが、何種類あるかご存知ですか。答えは誘導用で突起が線の形をしたものと、警告を示す点の形をしたものの2種類だと思っていませんか。ある意味では正解ですが、実は40種類以上あるそうです。
原則は点と線なのですが、点の数や並び方が違うものもありますし、線と点の中間の小判型のような点字ブロックなどは、実に紛らわしく危険なのだそうです。一枚の大きさもいろいろありますし、突起の高さもまちまちです。タイルの模様と紛らわしいものまであります。



点字ブロック自体は1965年に生まれたものの、驚くことに2001年までは基準がなかったのです。道にしても、国や都道府県など管理者が違えばブロックも違います。駅などもそれぞれ選定しています。点と線の原則があっても、中には障害者の3割しか識別できないという、ひどいものまであるそうです。基準決定後も予算等の問題から、そう簡単には張替え出来ないので、いつ統一されるのか見通しも立っていません。

点字ブロックを辿ると途中で切れていたり、剥がれたままのものもあります。ただ法律に沿って設置すれば済むという意識のところも多いかも知れません。
また最近は、色も黄色でなく景観に溶け込むような色のものが増えています。規格では決まっていないのです。視覚障害のある方に占める弱視の割合は少なくないのですが、その弱視の方は色でも判断しているので、とても困ると言います。まだまだ本当のバリアフリーには遠いようです。
しかし、そうした公共施設や道路等の施設管理者を批判する資格が、果たして私達にあるでしょうか。街に出れば、点字ブロックの上に平気で駐輪している自転車も少なくありません。車椅子でスロープを使おうにも、ギリギリのところにまで駐輪されていて登れない場所だってあります。滅多に使われていないからと、障害者用の駐車スペースにまで平気で駐輪していないでしょうか。
もちろん駐輪していないという方も多いでしょう。しかし、かなり意識の高い人ですら、慣れてしまって点字ブロックが目に入らないことがあります。指摘されれば、ハッとして避けます。でも全く気づかずに、無意識に駐輪していることも多いのではないでしょうか。
確かに、障害者の部屋はあっても殆ど利用されないなどと、テレビカメラを前に平気で発言していた、ホテルチェーンの社長のレベルの低さには呆れるばかりです。もちろん企業としての姿勢も糾弾されるべきでしょう。でも他人を批判するのは簡単ですが、自分のことは、なかなか気づかないことも自覚しておきたいものです。
やりましたね、荒川静香選手。おめでとうございます。今日は朝早く起きて、前屈と「イナバウアー」してからテレビを見ていた人も多かったかもしれません(笑)。今なら「上体そらし」と言うより通じそうです。
Posted by cycleroad at 13:00│
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