花粉症のマスクのことではありません。立体駐車場ならぬ立体駐輪場のことです。
自転車駐輪場工業会という団体もあり、専業メーカーから東証一部企業の子会社まで、様々な企業が立体駐輪機市場に参入しています。自転車メーカーの立場からと
ブリジストンサイクルも独自に立体駐輪装置を開発して参入しました。各社小さなスペースを有効利用するものから、大規模なものまで様々です。

従来からの駐輪場を立体化し収納効率をあげるのが、まず考えられることでしょう。立体駐車場と同じで自走式だと建物になってしまいますが、立体駐輪場は構築物になる場合が多く、例えば普通の建物の5階建ての高さがあっても法律上は1階建てだったりします。設置費用や規制のクリアなどの面でもメリットがあります。また今まで駐輪場として使えなかったような小さなスペースを有効活用する助けにもなります。
鉄道の線路の上方空間を利用するというアイデアもあります。また東京などでも最近新しい地下鉄の工事が随所で進められていますが、そうした地下鉄工事の際に、線路や駅の工事後に、その上方空間をただ埋め戻すのではなく駐輪場として有効に利用しようという動きもあるようです。これから出来る新しい駅には最初から駐輪場を整備しようという、当然といえば当然の考え方がされ始めたと言えるでしょう。
下のようなツリー型や井戸型とでも呼ぶべき駐輪機も開発されています。街路樹のように風景に溶け込ませたり、外面を広告スペースとして利用して駐輪料金の高騰を防ぐことも考えられます。多少圧迫感があるかもしれませんが、乱雑な放置自転車をスッキリ収納し、何より通行の邪魔をなくすことが期待できます。もちろん、盗難やイタズラを防ぐ効果もあります。


数日前になりますが、新聞各誌が東京豊島区の
放置自転車税のニュースを報じていました。地方自治体が独自に課税する権限を与えられている法定外税ですが、課税される鉄道事業者にしてみれば、あまりに特定の者を狙い撃ちする税であり、法的にも疑わしいことはかねてより専門家から指摘されていました。
結果として取り下げることになりそうです。ニュースにもあるように、事業者側が駐輪場用地を提供することによる和解の感がありますが、豊島区にとっても悪い結果ではなかったのではないでしょうか。

この問題が象徴するように、駅前の迷惑駐輪、放置自転車問題は大きな社会問題となっていることは今さら言うまでもありません。
以前から何度も書いていますが、迷惑駐輪を目の敵にして撤去に励んだとしても、根本的な解決にならないのは明らかです。
単に放置と撤去ではイタチごっこですし、自転車が安く手に入る昨今では、場所によっては何億もの撤去費を投じているのに、毎年費用がかかり続けるだけで解決に結びつきません。
根本には、都心の駐輪場不足があることは指摘するまでもないわけですが、いくら最近下がったとは言え地価が高いわけで、こうした立体駐輪場にして1台あたりの地代コストを下げていくしかなさそうです。
また、同じことは都市部のマンションなど集合住宅の駐輪場にも言えます。例えば建設当初、1世帯1台の想定が実際は数台所有するなどの理由で周辺の迷惑駐輪につながる例は各所で起きているようです。
マンションとしても駐輪場代を値上げしたりして保有台数の抑制を狙ったりしますが、かえって反発が起きることもしばしばです。たとえ駅が徒歩で近かったとしても駅以外の利用もあります。マンション建設当時に駐輪スペースがあまり考慮されていない例も多いようですが、後々問題になるのは必至です。都市部の高い地代ということもあり、最近は新築を中心に、ここでも駐輪場は立体化する傾向があるようです。

話は違いますが、撤去された自転車を海外へ輸出する業者が自転車をコンテナに積むとき、必ずカゴとハンドルは外すそうです。ペダルとサドルも外す場合が多いと言います。
自転車を積むのと駐輪するのとでは多少違いますが、ハンドル等がスペース効率的には大きなロスになっていることは間違いなさそうです。一台ずつで考えれば僅かな違いですが、全体では大きな違いになるわけで、今後立体駐輪機の進化や駐輪スペースの確保と共に、思わぬポイントになるかも知れません。
以前、展示会へ行った時の写真ですが、折りたたみ自転車の中には、ハンドルまでたためる構造のものもあります。全ての自転車に折りたたみハンドルを義務付けるのは無理がありますが、圧倒的なボリュームゾーンを占めるママチャリに採用されれば大きな効果があるはずです。
カゴやペダルがたためる形は、いくらでもあります。最近は、施錠と連動してサドルが倒れるものもあります。自転車の幅をこれ以上規制することには賛成できませんが、スペース効率に優れた自転車と駐輪装置とセットで考えれば、マンション単位で採用する余地は大いにあるのではないでしょうか。意外に問題の緩和に役立つかもしれません。
銀輪公害などと昔から言われますが、好むと好まざるとに関わらず、これだけ自転車が存在し、使われているのは動かしがたい事実です。今後も、いかに撤去しようとも使われていくでしょう。迷惑駐輪は確かにマナーの問題でもありますが、駐輪場の整備は小さいことのようで無視できない社会基盤、生活インフラとして考えるべきです。今後、より充実させるべき社会資本であることは間違いないでしょう。
トリノオリンピックも終わりですね。世間の関心も、しばらくすれば野球などに移っていくでしょう。でも皆の目が向かないところで、また人知れぬ努力が4年間続けられていくのでしょうね。
Posted by cycleroad at 16:00│
Comments(0)│
TrackBack(0)