と言っても、
筋トレではなく脳トレのことです。ニンテンドーDSという携帯ゲーム機(上の写真)の、「脳を鍛える大人のDSトレーニング」シリーズが爆発的にヒットしていますが、今までテレビゲームなどに興味がなかった世代まで携帯型ゲーム機とセットで購入するなど、脳トレに
ハマる人は急増しているのだそうです。同様のパソコンソフトや書籍等も発売ラッシュになっていますし、テレビや雑誌などでも脳ブームです。
脳トレ系ゲームが広く受け入れられた要因としては、記憶力などの衰えを日々実感している人も多かったのでしょうが、それが「脳年齢」という形で測定出来るところがミソのようです。何より、トレーニングによって脳が若返るとしたことも、うまく人々の関心を集め、チャレンジする動機として人々の心をくすぐる部分でしょう。もちろん、すっかり有名になった第一人者とされる東北大学の川島隆太教授が監修していることも少なからず影響しているようです。教授の書籍は、ケームソフト化される以前からベストセラーになっていました。
「声に出して読みたい日本語」が少し前に話題になりましたが、音読も脳に良いそうですし、「百ます計算」など単純計算も脳に良いと話題になるなど、脳の活性化は以前から注目されいます。平均寿命が伸び、人生80年時代になり、人々の中に認知症への不安も潜在的に存在していると思いますが、働き盛りで発症する「若年性認知症」をテーマにした映画やドラマなども、その不安に拍車をかけているのかも知れません。
しかし、不安ばかりが要因ではないでしょう。ブーム以前でも、クイズなら誰でも答えを考えるでしょうし、パズルなら解いてみたくなります。私も個人的にはパズルなどが大好きで、
今流行の数独などもやりますが、脳トレも、ただ苦しいだけのトレーニングでなく、みな程度の差こそあれ、脳を使うことが楽しいと感じるからこそ、こうしたブームになるのでしょう。スポーツでも、やるまでは億劫だけど、やれば楽しいと感じる人が多いように、頭の体操的なものも、やれば楽しいと感じる人は多いはずです。
最新の脳科学によれば、実は食事や運動、睡眠、人との会話などまでが脳の活性化に深くかかわっていることが明らかになってきています。特に運動に関しては、有酸素運動が前頭前野の血流を上げ、脳を活性化することが分かってきているそうです。運動による脳の血行促進は、
うつ病の治療などに効果的と言われており、認知症の改善や予防にも効果的で、進行を遅らせたりもするそうです。
まだ、あまり解明されない部分もありますが、ウォーキングなどの有酸素運動によって、前頭前野の血流が上がることは間違いないようです。当然、自転車も代表的な有酸素運動ですから、脳を活性化するわけです。実は、この点について、私は以前から実感していることがあります。自転車に乗っていると、なぜかいいアイデアが浮かぶことが多いのです。
ですから、必ず自転車に乗るときにメモを持っていきます。特に考え事をしながら乗っている訳でなくても、何か思いつくことがよくあります。些細なことから仕事のこと、生活上のことまでいろいろですが、何十年も全く忘れていたことを突然思い出したりすることもあります。よく、考え事をしながら室内を歩き回るという人がいますし、散歩すると妙案を思いつくという人もいますから、自転車に限らず、やはり有酸素運動系の動作が、前頭前野を活性化しているのかも知れません。
いずれにせよ、自転車などの有酸素運動が脳のトレーニングにもなるなら一石二鳥です。健康を維持増進し、生活習慣病なども予防するばかりか、体脂肪を燃焼するのでダイエット効果も高いです。ストレスの発散にもなりますし、適度の疲労でぐっすり睡眠もとれるでしょう。大腰筋(だいようきん)や腸骨筋などの腸腰筋(ちょうようきん)、インナーマッスルを鍛えることによる
様々なメリットも見逃せませんし、二鳥どころではありません。
運動はカラダのトレーニングというイメージがありますが、脳のトレーニングにもなる事実が、もっと知られるといいのにと思います。携帯ゲーム機での脳トレもいいですが、晴れた日なら自転車で脳トレ、どうせ出かけるなら脳を鍛えながら、というスタイルが流行れば、クルマの利用も減って社会的にも一石二鳥になるかもしれません。
ただ、自転車に乗っても、脳トレをしている実感がイマイチ沸かないのが難点です。最近の脳トレブームの基礎となる脳の研究に、大きく貢献したのは光トポグラフィーという、頭に装着して脳の血流を測定する機器だそうです。現在の光トポグラフィーという機器は医療機器ですし、大きさも重さも、消費電力も価格も一般に普及するようなものではありません。
しかし何か、光トポグラフィーと同じような働きをする装置、脳の血流を測定する機器を、例えば自転車用のヘルメットに搭載出来ないでしょうか。もちろん、コンピューターや携帯電話など、短い期間で飛躍的な性能の向上、小型化、省電力化、低価格化が可能な最近のテクノロジーを持ってすれば、近い将来、小型の光トポグラフィーが当たり前のように普及してもおかしくはありません。
私もそうですが、一部のサイクリストは自転車に乗るとき、
ハートレートモニターという心拍計を使うことがあります。自転車で走行中、リアルタイムに心拍数を測り、手元で表示してくれる機械ですが、同じように、脳血流計、ブレインブラッドモニターがリアルタイムに脳の血流を表示出来たら面白いのではないでしょうか。うん、今の血流状態なら脳年齢は何歳、なんて表示が出ると更にやる気が出そうです(笑)。
運動も単なる健康ブームということでなく、適度な運動習慣が健康の維持のために必要なことは、広く理解されるようになって来ました。とかく運動不足になりがちな現代人ですが、習慣として運動をする人が増えています。そう考えると脳トレも単なるブームでなく、適度の脳の運動として当たり前に行われるようになるのかも知れません。
もしかしたら、脳血流測定ヘルメットも将来定番商品になって、皆かぶるようになるかも知れません。自転車関連や、健康機器、電子製品などのメーカーにお勤めの方がご覧になっていたら、是非商品化を検討して欲しいものです。新たな脳トレブームの主役として、自転車に乗る人の常識にならないとも限りません。そうそう、ちなみに外観のデザインは、以前取り上げた
「こちら」で決まりでしょうか(笑)。
考えてみれば、脳が活性化しているか判定できるのは、いろいろと便利かもしれません。将来は、みんなヘルメットかぶって会議してるかも知れませんね(笑)。