今年もツール・ド・フランスの熱い戦いが繰り広げられています。
地球上で最も過酷なスポーツイベントと言われる
ツール・ド・フランスですが、日本での人気は高いものではありません。しかし世界的に見れば、100年以上の伝統を持ち、10億人単位の人々がテレビ観戦する一大人気イベントです。国によってはオリンピックやサッカー・ワールドカップとも並んで評されています。
昨年まで7連覇したランス・アームストロング選手が引退し、他の有力選手も出場しないなど、ファンの興味も様々ですが、今年、ツール・ド・フランスの公式サイトが別の意味でも関心を集めたようです。それは、「
Google Earth」を使ってツール全行程の衛星写真が閲覧できるというものです。
「
CNET Japan」や「
ITmedia」といったサイトでも報じられ、IT関連などに関心のある方のブログでも取り上げられたりしているようです。日本でも、たとえ自転車やロードレースには興味がなくても、ツール・ド・フランスの知名度は低くありません。「Google Earth」の使用例として注目を集めたようです。
最近、「
ウェブ進化論」や「
グーグル」といった書籍がベストセラーとなり、Web2.0やAjax、マッシュアップといったキーワードが話題になりました。そうしたトレンドから注目された面もあるのでしょう。もちろんロードレースファンにとっても、ツールのコースを立体的に見るのは面白い体験です。
最近のテレビ中継は空撮もありますし、コースのデータやレース情報も提供されますが、平面の地図では分からない部分を3Dの俯瞰図で眺められるのは興味深いものがあります。競技場や体育館で行われる競技にはない要素ですが、コースの起伏や高低差など、レースの駆け引きとも相まってロードレース観戦の興味を高め、沿道の景色を楽しむにも有難い情報です。
一方、新しいテクノロジーの恩恵は、レース観戦だけに留まりません。「
ITmediaNews」によれば、オランダでは、Wikiを使ってGPSによる自転車マップが作成されているそうです。水車でも知られるように低地が多いオランダは、国土が平らなこともあって、知る人ぞ知る自転車王国で、自転車による国内旅行も盛んです。私も行った事がありますが、サイクリストには実にうらやましい環境です。
他の国と違って、自転車専用路線が何千本もあるオランダでは、クルマ用のルートマップだけでは最適な路線が判断できません。そこで自転車用として始めてのルートマップが、Wikiを使って、有志が分散・協調して作られたそうです。データをGarminのGPSシステムにダウンロードして使えると言います。
自転車道のコースデータをGPSによる位置情報として蓄積するのも価値あるプロジェクトですが、それを大勢の人間がコラボレーティブに行う作業として、ネットを介してWikiによって実現したというのも今どきの形です。路面の状態や景色、夜間の照明などまで、詳細なデータを書き留めながら自転車で走ったようです。
日本でも、既に個人でGPSを使ってサイクリングの軌跡データをストックしたり、オランダと違って自転車専用道も限られているので、地図ソフトなどと合わせてルート計画に使ったりしている方もいます。また日本では、携帯電話によるネット接続は世界に先駆けて普及していますし、位置情報を取得するGPS携帯なども出ています。
こうして見てきますと、インターネットやGPSを使った新しいテクノロジーは、今までのようにショッピングや情報収集だけでなく、レース観戦からサイクリングまで、実際の自転車生活をも更に変えていきそうです。今までは、単なる願望や夢のようだったことが、実際に次々と現実になってきています。
詳細データを書き留めながら走り回るのは大変そうですが、それだってセンサーやネットワークの技術で自動化も可能でしょう。近い将来、GPS端末やケータイなどを使って、多くのサイクリストの走行データが自動的かつリアルタイムに収集され、ナビゲーションとして利用されるようになる可能性も考えられます。
自転車に乗りながらでも、進行ルートの天気や風向風速、傾斜度や路面状況などの情報が配信され、その時の気分によってコースを選べるようになれば理想的です。なるべくアップダウンを避けるとか、距離は伸びても風の強い道を迂回するとか、信号が少なく走りやすい道優先なんて選択をして、目的地への案内をしてくれる自転車用ネットワーク端末も夢ではないかも知れません。
同時に、家では家族がパソコンのマップ上で現在位置をリアルタイムで確認し、端末へのメッセージで「悪いけど、ルート変更のデータ送信するから。ちょっと立ち寄って、リストのもの買ってきて。」なんて送信する。そんなスタイルが実現するかも知れません。して欲しいような、欲しくないような微妙な部分がありますが..(笑)。
後は、もう少し自転車が走る道の環境が向上して欲しいところです。都市部を中心に、構造上走りにくい道や、まだまだ路駐が多いところもあります。未だ自転車が歩道を走るものと思っているドライバーも少なくなく、危ない目にもあいます。つい昨日も、路線バスに接触され、転倒した自転車の男性が死亡したニュースがありました。路線バスはそのまま走り去ったそうです。
オランダ並みとは言わないまでも、出来ればもっと自転車専用道も整備して欲しいところです。もちろん歩道を走る人も多いですが、歩道での歩行者との事故も増えています。もっと安全で快適に走れる自転車レーンが増えれば、自転車を活用する人の範囲も広がり、環境にも貢献するでしょう。
いくら、いい自転車や先進技術が開発されても、道路などのインフラ整備が貧弱では自転車も有効に活かせません。やはりこの部分の未来が一番遅れていると言えるのかも知れません。
この下のほうに、ページの内容を判断して自動的に適切なものが表示されるというアマゾンのリンクを入れてみましたが、まだβ版ということで、なかなか上手く表示しないようです。ページによってはズバリ出ることもありますが..。その点、さすがにその上のGoogleのキーワードのリンクの方が、より適切なキーワードが出ます。自分で打つタグも入れてみたので、ズバリ一致しないかな、と密かに思っているのですが、難しいようです(笑)。
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Posted by cycleroad at 07:30│
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