都会の上海だけでなく、蘇州や近郊の村へも足を伸ばしてきました。
その美しさから、東洋のベニスとも称される蘇州ですが、さすがに中心部は開発が進み、だいぶ都会化しています。しかし、一方でさすが中国、歴史があります。古い寺社仏閣や庭園、遺跡なども多く残っており、例えば2〜3世紀頃の、三国志で有名な英雄、呉の孫権が建立したという塔が普通に建っていたりします。
蘇州にも中心部にはデパートまでありますし、クルマの通りも多いのですが、少し外れると、古い昔ながらの街並みが残り、水路や細い路地も多く、クルマの通れない道も少なくありません。やはり市民の足として自転車やバイクが活躍しています。
さらに郊外の村へも出かけたのですが、「明」や「清」の時代にタイムスリップしたかのような感覚に襲われます。生活様式から何から、同じ国と思えないほど時代的なギャップがあるのも不思議な感じがします。水路を手漕ぎの舟で行き交う人々を見ていると、時間まで進むのが遅く感じられるほどです。
もちろん蘇州にもバスやタクシーはありますが、観光客の足としても活躍しているのが、3輪の自転車タクシーです。観光スポットの周辺には大勢たむろしており、外国人と見るや売込みが始まります。オートバイの3輪タクシーもありますが、特にメーターはついていないようなので、白タクとの境が曖昧な気がします。
人力3輪タクシー、私も何度か乗りましたが、細い道でも関係ないので便利です。ただ中国語が話せませんし、本を見て発音しても、まず通じません。相手も日本語はもちろん、英語も理解出来ない場合がほとんどですので、身振り手振りと筆談ということになります。行く先や値段の交渉が面倒に感じるかも知れません。
蘇州に限りませんが、駅や観光ポイントの出口では、自転車タクシーの運転手が執拗にまとわりついて来るところも多いので、鬱陶しく感じる人もいると思います。タクシーだけでなく、ほかに地図やお土産などの売り子もいますし、中には外国人と見るや、高い料金をふっかける者もあるようです。
こちらスタイルで、オートバイも通るのには違和感がありますが、蘇州でも大通りには自転車レーンがつくられています。しかし、オートバイと言っても、自転車と同じくらいのスピードしか出ていない場合も多く、流れに沿って走行していますので、慣れもありますが、当初思ったほど危なく見えなくなってきました。
相変わらず、郊外でも例の電動自転車が流行っています。スクータータイプも多いですが、タイヤが細く、何よりスピードがあまり出ません。自転車と混在していても、やはり見慣れるうちに普通に思えて来ました。ほとんど自転車と同じように流れています。
前々回も触れましたが、中国で大人気のこの電動自転車、日本でもネットや街で売られているのを見たことがあります。でも原付バイクとなるので、そのままでは公道を走れず、日本ではあまりメリットがありません。以前、公正取引委員会が排除命令を出したのもニュースになりました。
日本で、これで歩道を走られたら問題になると思っていましたが、考えようによっては、あまり馬力もなさそうですし、危険度は足でこぐ自転車と変わらないのかも知れません。足でこいでもスピードは出ますし、実際暴走して歩行者にケガをさせる事故も起きているわけです。
今回思ったのですが、この電動モーター自転車、日本でも活用出来るのではないでしょうか。中国でもそうですが、日本でも都市部でない地域では公共交通が発達しておらず、クルマがないと不便です。事実一人一台の家も多いと思いますが、問題となるのは高齢者です。
歳をとれば、どうしても運動能力や反射神経が衰えますが、生活に必需でもあるので、なかなか免許を返納して運転をやめるのを嫌がると言います。認知症の初期症状が出ても、運転をやめない人までいるそうです。事実、事故は増えていますし、高速道路を逆走するなど、信じられないような事例もあります。
こうした高齢者の免許返納後や元々免許を持っていない人の足として、電動自転車が使えないでしょうか。もちろん、絶対安全とは言えませんし、農作業などの荷物を運ぶなら力不足でしょう。全ての需要をまかなえるとは思いませんが、交通手段も必要です。そんな時、自転車では、こぐのが大変だという人の選択肢になるかも知れません。
中国のように原則として車道を通行するならともかく、日本では法律面ほか、問題になる点もあるかとは思いますが、例えば免許返納者の特典として認めて、高齢ドライバーの事故削減策にするなど、検討の余地はあるのではないでしょうか。
日本と中国で違う部分は、ほかにもヒントになりそうです。例えばこの信号、蘇州でも上海でも、あちこちで見かけましたが、交差点の信号にカウントダウンするタイマーがついています。日本でも一部横断歩道に似た信号がありますが、こちらは歩道だけではなく、車道にもついている場所があります。
赤信号があと何秒で青になるか、のカウントダウンだけではなく、あと何秒で赤になるかも表示されます。青になるまでの時間は赤色、赤になるまでの時間は青色です。青信号でも、残り秒数が少なければ、無理せず止まることが出来るわけです。日本のようにいきなり黄色になるのでは、判断できません。
残り秒数が少ないと、かえって交差点に突っ込む人が増えるとも考えられますので、検証が必要かも知れません。でも赤信号で止まっていても、青になるまでの秒数が表示されていれば余裕をもって準備出来ますし、イライラしないような気もします。アイドリングストップの判断にも使えそうです。
ところで、中国では自転車のことは「自行車」と書きます。(実際には「車」の字は中国独自の簡略文字です。)「出租自行車」と書いてあれば、それはレンタサイクルとなります。ちなみに「出租汽車」をよく見かけますが、これはタクシーです。機関車を貸してくれるわけではありません(笑)。
もちろん店によるのでしょうけど、あまり借りたくなるような自転車は置いておらず、中には、かなりひどい整備状況だったりもするようです。デポジットなどもあるので、やはり言葉が通じないと不便ですが、蘇州では、私も借りてみようと思っていました。
しかし、当日があまりに暑かったのと、スコールが降りそうだったのでやめました。結果として、一時的に激しい雷雨が来ましたので、屋根のある自転車タクシーにして正解でした。雨が強いと、左右と後ろばかりか、前にまでカーテンを出してくれ、濡れずに済みます。
さすがに雨足が強くなったので、自転車タクシーごと途中で雨宿りしましたが、現地の人は、上の写真のようなカッパを着て、平気で走っています。かなり強いスコールでしたし、そんなに長くは続かないと思われたのに、待とうともしません。
滞在中、上海でも一時雨が降りました。私なら、出来れば雨の中自転車に乗りたくありませんが、こちらの人は、まるで雨が降るのは当たり前、雨の中の自転車も当たり前と言わんばかりに、一斉にこの形のカッパを着て走っていました。雨が降りそうな時には、みな必ず持って乗っているのでしょう。
日本のように、傘を差して走るよりは安全ですし、この形なら手元や荷物、スボンも濡れにくそうです。自転車から降りる時、そのまま着て歩けるところも実用的です。私はあまり見たことがありませんが、日本でも売っているのでしょうか。非常用としても役立ちそうです。雨の中乗るかはともかく、日本は雨が多いので、これも採用する手はありそうです。
書きたいことがいろいろ出てきて、忘れないうちに書いておこうと思うので、中国の記事が続いてます。中国は飽きたと言われそうですけど(笑)..。
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