September 18, 2006

北京のまちの表通りと裏通り

北京の裏通り前回は、言わば北京の表通りの様子を載せました。今回は裏通りです。


北京では広い自転車レーンも確保されていますし、街が広いこともあって自転車が活用されていると前回書きました。環境的にも一年を通じて雨が少ないこと、市街が平坦で坂がないことも有利です。坂が「少ない」ではなく、「ない」のです。東京のように、関東平野とは言っても坂があちこちにあるのとは違います。

一方、表通りは広くても、一本裏へ入ると細い路地が広がっている場所が多いことも理由でしょう。表通りに面しては綺麗なビルも立ち並び始めていますが、市内有数の繁華街であっても、冒頭の写真のように、すぐ裏手は昔ながらの街並みが続いていたりします。道幅は狭く、クルマが通れないところも少なくありません。

道幅は狭い大通りから少し入っただけで、とても静か

明や清の時代に形成された「胡同」(フートン)が残っている地区もあります。開発が進んで取り壊された地区も多いのですが、最近、文化的にもその価値が見直され、新たな観光スポットとしても注目されています。北京の古き良き時代を思わせる街並みです。

ちなみに、私も今回じっくり見てきました。街並みだけでなく、四合院造りの建物にも興味があったので、わざわざ頼んで数軒の民家を訪問し、中まで見てきました。百年以上経っている四合院もあり、主人の好意で寝室にまで入らせてもらいましたが、明や清の時代にタイムスリップしたような感覚でした。

「胡同」(フートン)って何?という方もあるでしょう。ここで説明するより、下の映画の紹介を見ていただくと、雰囲気を含めて分かりやすいかも知れません。ご参考まで..「胡同のひまわり」(音が出ます)

こうした胡同(フートン)地区内の交通手段は3輪の自転車タクシー、いわゆる輪タクです。市内各地で輪タクは走っていますが、特にフートンの細い路地が多い地域では、狭い道が入り組んでいることもあって他の交通は使えず、輪タクの独壇場となっています。

これはほんの一部

利用客も多いようで、写真のように輪タクが、通りの両側に延々と並んでいます。デザインが揃っているのは、会社組織の輪タクです。会社によってデザインが違い、もちろん個人のやっている輪タクも走っています。

露店の貸し自転車屋3人乗り自転車

こちらは、単なる自転車置場に見えますが、観光客を目当てにしたレンタサイクルです。下げた板に書いてあります。よく見ると、3人乗り自転車まで置かれていました。自分で自転車を借りてまわるのも楽しそうですが、入り組んでいるので道に迷いそうです。

出租自行車・Bicycle for rent3輪車も貸すのだろうか

いわゆる下町を歩いていると、町の「修車」屋さん、自転車修理店が「出租自行車」、つまり貸し自転車の看板を出していたりします。ただ外国人が借りようとすると、パスポートを預けろと言われたり、高額のデポジットを要求されることもあるようです。そのまま盗まれるとは言いませんが、巷には日本人などのパスポートを狙う泥棒もおり、一説には高い値がつくとも聞きます。

そうでなくてもパスポートを預けるわけにはいきません。向こうも外国人は不安なのかも知れませんが、デポジットや料金を巡るトラブルも聞きますので、街角で不用意に借りるのは考えもののようです。ちょっと自転車があれば便利な時もあるのですが、外国人にとって、街の貸し自転車はあまり使い勝手が良いとは言えません。

忙しそうに行き交う重そう

輪タク、自転車タクシーもそうですが、こうした道の狭い地域では3輪車が大活躍しています。トラックがわりに荷物の運搬にも使われています。上海でもありましたが、道路清掃車なども3輪の自転車です。

道路清掃自転車ブレーキとハンドルがくっついているように見えるが、別個

この右の写真のタイプの3輪車がたくさん走っていますが、ハンドルが特徴的です。「立」という漢字の点をとったような形をしています。見ていると、ドロップハンドルのように、上下を握ることにより、こぐ姿勢を変える為のもののようです。ただし、ハンドルにはブレーキがついていません。ダウンチューブについている大きなレバーを引いて止めます。

運搬か移動店舗か不明スイカはよく売られている

荷台の上に更に台をつけて荷物を載せている人もよく見ます。そのまま道ばたに止めれば露店になって、どこでもすぐ商売できるわけです。

取れたての野菜のようだ自転車の荷台とは思えない

右の露店は、かなり荷台が広いですが、たたむと同じ3輪車です。

下の段では湯も沸かすボンベにコンロに秤や調理器具も

ガラスケースを載せたり、中にはプロパンガスのボンベまで積んで、食べ物をその場で調理して売っていたりもします。

送迎用自家用車?

商売ではないようですが、3輪車の荷台に普通の椅子を取り付けて、親と思しきお年寄りを乗せている人も時々見かけます。親孝行な人が多いのでしょうか。

カラで乗っている人も多い犬用に荷台の後ろが外してある

業務用に限らず、個人でも普通に3輪車が使われているようです。確かに買い物にも便利ですし、子供や犬も運べます(笑)。この犬、最初は自転車の後について走っていましたが、器用に跳び乗りました。聞くところによると、ネコは無料ですが、犬を飼うと税金がかかるそうです。さらに今、中国では狂犬病が流行しているらしく、そのせいもあるのか犬はあまり見かけません。

ところで、フートン付近だけでなく、市内あちこちに輪タクがいます。有名観光スポットの出口をはじめ、人通りの多い場所などに待機しています。待っているだけでなく、運転手が客引きをしており、外国人と見るや執拗に誘う光景も見かけます。中には悪質な運転手もいるようです。

今回私も何度か輪タクに乗りましたが、そのうちの一度はボラれそうになりました。もちろん、行き先を告げ、あらかじめ料金を確認して乗ったのです。胡同巡りをしないかと誘われましたが、暮れかかっていましたし、既に充分見終わっていたので断りました。

でも地図を見せながら、近いとか速いとか言いながら胡同を通り、最終的に人通りの少ない場所で降ろされ、最初に言った料金の100倍くらいを請求されたのです。物価も違うので払えない金額ではありませんでしたが、明らかにボッタクリですので拒否しました。

商店街の中でも待機。この写真と本文は関係ありません。すると、最初は乗ってもらうため愛想のよかった表情を一変させ、凄んできたのです。ポケットから札束を出して見せ、他の客からも有り金全部巻き上げているんだ、みたいなことも言って、脅し始めたのです。

確かに日本円の一万円札や、他国の紙幣もありました。為替レートや料金の相場から言っても北京の輪タクに1万円札を払うことはあり得ないでしょう。札束の量から見ても、おそらく巻き上げられた日本人や他の外国人がいたのだと思います。

最後は殴りかかってきましたが、幸い撃退することが出来ました。一対一だったのと、だんだん腹が立ってきたので、思わず対決してしまいました。後から考えれば、ここで怪我をするのもバカバカしいですし、撃退できたから良かったようなものの、さっさと大人しく有り金全部出すべきだったかも知れません。若気の至りです(笑)。

今後オリンピックもありますし、北京を訪れる方も多いでしょうから参考までにと思い、書いておきます。もちろん悪い運転手ばかりではありませんが、しつこく客引きする運転手、個人の輪タクは用心したほうがいいかも知れません。女性だけで乗るのも避けたほうが無難でしょう。

特に、単なる移動なのに細い道へ入っていこうとしたら要注意です。近道とか言われて私もうっかり同意してしまいましたが、よく考えてみれば自転車レーンのある大通りのほうが速いはずです。輪タク自体は、さほどスピードが出ません。細い道で客が乗っていればなおさらです。ドアもありませんので(笑)、怪しいと思ったら、人通りの多い場所のうちに、さっさと降りて逃げたほうが賢明かも知れません。

あくまで個人の体験を書いているだけなので、北京や中国に対して悪意はありません。実質被害も無かったわけですし、私自身、北京に悪い印象は持っていません。昨今の中国での所得の格差が犯罪を増やしているなど、治安云々も言われますが、特に北京の治安が悪いとも思いません。外国人観光客が狙われるのは、他の国でも一緒です。どこの国でも表通りもあれば、裏通りもあるわけですから..。



自転車関連の部分に限って2〜3回と思っていたのに、結局5回シリーズ(笑)になってしまいました。今回で中国旅行編は終わりにします。

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