カタールのドーハで行われているアジア大会の結果が連日報じられているものの、世間の注目度的には今ひとつのようです。カバディとかボーリング、セパタクロー、ビリヤードにチェスといったオリンピックにない種目もあって面白そうですが、自転車も含めて人気の高くない種目の扱いは大きくありません。
メジャーな競技でも、種目によっては競技団体が力を入れていないようですし、時差も大きいので生中継が夜中になってしまう不利もあるでしょう。それに、4年前の釜山大会は9月末からでしたので、ただでさえ忙しい12月という時期が悪いというのもありそうです。
忙しいと言えば、街を走るドライバーも急いでいたりしますから、ふだんより注意が必要です。イライラしている人も増えるでしょう。奈良では、自転車の中学生に、21歳の男が「どこを走っているんだ」と因縁をつけ、殴りかかって負傷させるという事件がありました。
警察の調べに対し「前を走っていてジャマだった」などと供述したと言います。殴られるかどうかは別として、ドライバーに「どこを走っているんだ」と言わんばかりの嫌がらせを受けた経験は、多かれ少なかれ、特に車道を通る人にはあるのではないでしょうか。
車道と言えば、今月に入って車道走行禁止の話を何度も取り上げているわけですが、はたして車道走っている人って、どれ位いるものなのでしょうか。あまり調査をしたという話は聞きませんし、地域差もあるはずです。そもそもスポーツタイプの自転車に乗っている人の割合はどのくらいなのでしょう。
先週、車道走行についての調査ではありませんが、インターネットのリサーチ会社が自転車についての
アンケートの結果を発表していました。自転車の盗難や幼児用補助いすの使用、ヘルメットの着用率などが主な調査目的だったようです。
それによれば、全体の7割の人が自分用の自転車を持ち、特に10代以下では9割に上るそうです。その中でママチャリ・シティサイクルに乗る人が約75%、MTBやロードバイクが約13%、折りたたみ自転車8%、電動アシスト3%と続きます。
ママチャリ・シティサイクル・電動アシストで約8割です。私の感覚ではスポーツバイク派は数パーセント程度かと思っていましたから、意外な数字です。しかし、よく見ると、残り2割が必ずしもスポーツバイク派ということではなさそうです。
厳密にスポーツバイクに含まれる自転車の範囲を、その値段で区切るのは難しいと思います。しかし、いわゆる「なんちゃってMTB」とか、形だけスポーツタイプのシティサイクルも存在します。その違いは、本当のスポーツバイクに乗っている人からみれば明らかだと思います。
調査での区切りをとって、5万円未満のスポーツバイクはないと仮定しましょう。MTBやロードバイク、折りたたみ自転車の5万円超の自転車に乗っている人の割合を計算すると、およそ全体の3.6%です。体感的にも街での割合は、そんなもののように思えます。
この種の調査は、対象がネットを使っている人に限られ、しかも答えてくれた人が母集団となるので偏りが出ます。「集計によって『片寄り』を排除する」などと、もっともらしいことが書かれていますが、ちょっと詳しい人が見れば、その信頼性に疑問符がつく場合は少なくありません。
このアンケートも、20歳未満の回答者がわずか1%しかおらず、サンプル数も極端に少ないなど、統計学的には疑問です。ですから参考程度にしかなりませんが、車道を走行するかは別として、スポーツバイク派は、多くても数パーセント程度なのではないでしょうか。
全体では5%が7千円未満、24%は7千円以上1万円未満、26%が1万以上1万5千円未満の自転車に乗っています。0円の自転車に乗っている人が何を指すかはともかくとして4%、不明と合わせて10%です。全体の約3分の2が1万5千円未満の自転車に乗っているという、おおよその結果です。
最近特に、自転車の価格下落が進んでいるとは思っていましたが、あらためてその安さに驚きです。盗まれたり、違法駐輪として撤去されても、また買えばいいと考える人が増えるのも道理です。放置自転車も無くならないわけです。
盗まれると言えば、今月始めから、俳優杉本哲太主演の映画「
日本の自転車泥棒」が公開されています。杉本さんは昨年7月、酔って放置自転車を盗んで警察に事情聴取されたことを覚えている方も多いと思いますが、劇中でもまさに自転車を盗んで旅を続けるという
シャレにならない役を演じています。
それはともかく、予告編を見るとちょっと面白そうではあります。「漕ぎなさいよ、思いっきり」というキャッチコピーもついています。チラシや予告編には「放置自転車やめましょう」「乗ったら棄てるな日本の自転車」などのフレーズも出てきて、かなり日本の自転車環境が意識された映画みたいです。
日本の美しい自然を捉えたロードムービーとしても楽しめそうで、岩手から東京へと800キロをひた走るそうですから、沿道の人にはお馴染みの道路が出てくる可能性もあります。忙しい中を縫って、映画を見にいくのも悪くないかもしれません。
映画はちょっと、という人には本もあります。白鳥和也著の「
自転車依存症」です。私もまだ読んでいませんが、「出力過剰症候群」「自転車いじりの深き森」「私のオーダー顛末(てんまつ)記」などという、章のタイトルを見ただけで、ちょっと読みたくなる人もいるのではないでしょぅか。
最近出た本で言えば、石田ゆうすけ著の「
洗面器でヤギごはん」も面白そうです。自転車生活のアレコレをマンガ化した、高千穂遙、一本木蛮著の「
じてんしゃ日記」は、これから自転車を始めてみようかなという人にお勧めのようです。お正月休み用に本を仕入れておいて、ゆっくり読むのもいいでしょう。
この時期、寒いので早々に自転車を封印している人もあれば、暑いよりマシと相変わらず自転車に乗る人と分かれそうです。室内トレーニングに切り替える人、来年早々のレースにエントリーして備える人もいるかも知れません。そうこうするうちに、すぐにお正月がやってきそうです。
年の瀬と言えば、今日は赤穂四十七士の討ち入りの日です。今年はあまり忠臣蔵という言葉を聞く機会が少ない気もしますが、第九と共に日本の年の瀬に欠かせない風物詩でしょう。これらがないと、年の瀬の雰囲気が出ませんね(笑)。
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