January 13, 2007

暗い夜道でも楽しくする工夫

今の時期は日が短いので、ちょっと帰りが遅くなると辺りは真っ暗、なんてこともあります。


早めに帰るつもりで出かけても、何らかの理由で遅くなることはあります。私の自転車にはシティサイクルにあるようなダイナモ式のライトは付いていないので、遅くなった場合に備え、あらかじめ電池式のライト類を忘れずに持って行くようにしています。

無灯火は些細なことのようでも大きなリスクがあります。点灯は、何より自分の為であることも間違いありません。クルマから見落とされて事故に遭えば、いくらクルマに過失があろうとも、死亡したり、怪我や後遺障害で苦しむのは自分です。

The Down Low Glow歩行者と事故になれば賠償責任も発生します。交通強者である自転車の過失は免れず、まして無灯火なら刑事責任も問われるでしょう。そうした危険性があることを理解しているのに、そのリスクに目をつぶるのは賢明なやり方とは言えません。

しかし実際には、無灯火の自転車が街に溢れています。ダイナモ式のライトが装備されているのに点灯しない人も少なくありません。もちろん自転車の無灯火は道路交通法違反ですが、厳格に取り締まられることは少なく、特に都市部では街路灯が多いことも手伝って、無灯火の自転車のほうが多いぐらいではないでしょうか。

「自転車のライトは暗いし、点灯しても変わらない」「街路灯が明るい場所では、点灯する意味がない」などと言いますが、結局は「ペダルが重くなるのがイヤ」なのが理由のようです。ならば乾電池式や充電式のライトもあるのに、電池交換や充電の手間はもっと面倒なのでしょう。

確かに走行には支障がないかも知れません。しかし、クルマからの視認性の問題は残ります。また、例え前方のライトは点けていたとしても、後ろから引っ掛けられる場合があります。小さな反射板に気づいた時には、クルマのスピードから言って手遅れということもありえるわけです。

Fossilfool

点滅するテールランプを点けている人も見ますが、実は横からの視認性こそ重要とする説もあります。例えば、歩道を走っていた自転車が交差点を横断しようとした際、左折してきたクルマには、角度的に前照灯やテールランプが両方目に入らない場合も考えられます。

そこで「Fossilfool」では、あらゆる方向からの視認性に優れた自転車用セイフティライトを提案しています。The Down Low Glowというネオン管のバイクライトですが、ご覧の通り派手です(笑)。いかにもアメリカンなノリと言えなくもありません。

The Down Low GlowThe Down Low Glow

実はこの Down Low Glow、元々安全を目的に作られたのではありません。FossilFoolのPaul Freedmanさんが、パーティー用自転車のために作ったSoul Cycleと名づけた自転車用オーディオをグレードアップする過程で生まれました。

自転車に大きなスピーカーを取り付けて、屋外で音楽を鳴らす仕様はともかく、見た目を派手に演出するためのアイテムとしてネオン管を取り付けたようです。ところが、ある時これをつけて走行していると、それまでより安全であることに気づいたと言います。

Soul CycleMobile Audio for Bicycles

日本にはパーティ用自転車というカテゴリもありませんが、アメリカ西海岸の住人ならいざ知らず、日本人には恥かしいくらい奇抜なスピーカーを積んだ自転車が、派手なネオン管を点灯させて走行していれば、さすがにクルマも避けたくなるような気がしますが(笑)、確かに視認性は抜群です。

一見、馬鹿馬鹿しいと思われがちですが、小さな赤い発光ダイオードを点滅させるより、明るいネオン管を取り付け、しかも地面の方向を照らすのは、あらゆる角度から目立たせる意味で合理的と言えます。さらにポールさんは、このライトを点けて乗るだけで、夜間の走行が非常に楽しくなると主張しています。

The Down Low GlowThe Down Low Glow

普通の豆電球の光ではなく、こんな蛍光色の光で足元を照らすと、夜間の自転車走行がクールでスペシャルな気分になるかは、ともかくとして(笑)、道路から浮き上がったような気分になるというのは、何となく想像出来なくもありません。

日本でも、クルマやオートバイに似たような飾りを施す人を見ることがあります。自転車用のこうしたアクセサリも手軽に手に入るようになれば、一定の需要はありそうです。夜、自宅を派手な電飾で光らせる人も増えていますし、あながち流行らないとも言い切れません。

The Down Low GlowThe Down Low Glow

ただよく見ると、一見派手なようですが、街で見かけたとしても違和感はありません。純粋にテールランプとして視認性に優れているので、安全を第一に考えれば充分検討の余地があるでしょう。あまり飾り立てると悪趣味と感じる人も増えそうですが、普通の自転車にライトだけ取り付ける分には決しておかしくありません。

単に無灯火は違反で、点灯は安全のための義務だとかマナーだと言っても、一向に無灯火が減らないのも事実です。重くなるペダルで何の変哲も無いライトを点けろと強制するより、こんなライトで自転車を目立たせようという提案は、案外悪くないかも知れません。

なかなか派手に目立たせるというスタイルは日本人に馴染まない部分もあるでしょう。しかし、クールに輝く自転車、夜間走行が楽しくなるライティング、周りの目も楽しませるアイテムなど、楽しむために点灯する、楽しいから光らせるという考え方も、安全性を向上させる商品の開発に活かせるのではないでしょうか。



欧米の国々でも、日本に比べると街路照明が暗い所は多いです。大都市で、高層ビルの灯りは多くても、道路は思いのほか暗かったりします。日本のエネルギー効率は抜群にいいわけですが、それでも世界中のエネルギーの大きな割合を消費していることは間違いありません。スペースシャトルから夜の日本列島を見ると、その輪郭がハッキリわかるほど明るいそうですが、街を隅々まで照らすことの是非も考えてみる必要がありそうです。

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この記事へのコメント
いつも楽しみして記事を拝見しております。
今回の夜間走行での自転車の視認性の問題は交通事故に
直接結びつことでありとても関心があります。
私は原則、夜には自転車には乗らない事にしていますが、MY自転車にはハブダイナモとリヤライトは装備させております
近所の自転車店主のお話では新車の購入時にハブダイナモの装着を勧めているが、2万円前後の自転車を購入するお客で
関心を示す人は少ないそうです。店主は”商売目的で勧めているのではないのに”と嘆いておりました。自分自身が交通被害者・加害者にならないためにも、出来る限りの準備はしておくべきだと思います。
最後に、本年も引き続き楽しい記事を期待しております。


Posted by カレーパン at January 14, 2007 10:49
カレーパンさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
歩行者の立場で、自転車の無灯火が迷惑で危険と感じている人は多いですが、自転車の利用者の意識は本当に低く感じますね。
特に駅までの通勤などにしか使っていない人は、主に歩道を通るせいか、クルマからの視認性についての危機意識は、かなり低いように思います。そのあたりの油断が、交差点での事故や、歩行者に怪我をさせる例につながっているような気もします。
そうですか。ハブダイナは、まだ割高に感じることもあるのでしょうが、普及しないと低価格化は望めませんから、ジレンマですね。後付けでも電池式などの安くて軽いものが増えていますから、もっと普及しても良さそうですよね。私も夜はあまり乗りませんが、点灯は習慣の問題だと思います。
いつもご覧いただき、ありがとうございます。よろしければ、またご意見をお聞かせ下さい。
Posted by cycleroad at January 15, 2007 22:20
日本にはデコチャリっていう自転車がありますよ。
これぞ日本の様式美!
http://www.geocities.jp/hagure3854/dekocyari.html
Posted by とおりすがり at January 15, 2007 22:31
とおりすがりさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
そうですね、上の関連記事の3番目にありますが、私もデコチャリについては記事にした事があります。
様式美ですか(笑)、確かに独自の美学があるようです。リンクもありがとうございました。
Posted by cycleroad at January 17, 2007 00:02
こんばんは。レスありがとうございました。
こちらで紹介されているDown Low Glowですが、中々良さそうですね。他の方のブログなど読んでいると、自転車版ヤン車だとか色々記されていますが、実際のところはどうなのでしょうか。

私は安全に貢献するなら購入してみたいと思っています(購入ページにJAPANの記載もありますが、日本市場も意識?)。ただ、やはり道交法等、法律的な問題で購入しても付けて乗れない可能性、また、米国サイトでクレジット番号を入力をするという点が不安です。といいながら、早速手信号用のセーフターンインジケーターを注文してしまいました。

日本でもこういった意欲的な商品を発売してもらいたいですね。
Posted by nori at February 10, 2007 18:17
noriさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
日本ではネオン管が、クルマやオートバイのドレスアップに使う人達のイメージが強い、というのはあるかも知れませんね。でも、ビーチクルーザーや、いわゆるチョッパー型のハンドルの自転車ならともかく、このページの写真で言えば一番下段のように、普通の自転車に装着するぶんには、私は決しておかしくないと思います。趣味の問題かも知れませんが、その視認性は安全には貢献するでしょう。
確かに、メジャーなサイトではないですし、ネット決済は不安ですね。誰か日本で購入した人の話でもあればいいのですけど..。
おお、セーフターンインジケーター、注文されましたか。よろしければ、後日使い勝手を教えてください。
こうした商品、日本ではあまり売れないのかも知れませんが、私も、もっと発売されてもいいのに、と思いますね。
Posted by cycleroad at February 11, 2007 23:24
こんばんは。先程、ようやくsafe turnより出荷のお知らせが送信されてきました。一安心ですが、到着次第、テストしてみたいと思います。写真なども撮りたいですが、夜間に撮影を行うのは技術的に難しいでしょうね。

ところで、先程毎日新聞の「自転車:「車道通行禁止」は誤解 警察庁が広報強化へ」という報道がされましたね。これは本当に誤解なのか、あるいは記事中にありますように「予想外の反響」を受けての軌道修正なのかが気になります。とはいえ、まだまだ油断は出来ませんね。
Posted by nori at February 15, 2007 23:03
noriさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
無事出荷されましたか。いやー良かったです。撮影のため危険になったら本末点灯ですから(笑)、気をつけてください。
毎日の記事は私も見ました。予想外の反響があったのは事実でしょうが、官僚の常套手段として最悪の場合、ほとぼりがさめた頃に法律の運用を徐々に変える可能性もないとは言えませんね。とりあえず、今国会で確定するであろう法律の条文がどうなるか見てみないと何とも言えない気がします。
Posted by cycleroad at February 16, 2007 06:36
こんばんは。真冬に備え down low glowの替えバッテリーを注文し、5日で到着しました。しかし、モデルチェンジをしたらしく、何とバッテリーにスイッチが付いてなかったのです。Mr.Paulに問い合わせましたが、「単純な形にしました。雨にも強くなりました。つないだら、オンになります」という回答。これは使いづらいですよ〜。中間ケーブル接続部分にもマジックテープをつけておかないと、ケーブルが宙ぶらりになって危険か、昼間の走行でも点灯ということに…。新規ユーザーも確実に減るかと…(汗)
Posted by nori at November 15, 2007 21:48
noriさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
スペアのバッテリーも売ってくれるんですか。しかも海の向こうから5日とは速いですね。
なるほど、スイッチを省けば、確かに水や泥などが原因で不慮の故障を起こす確率は低くなるでしょうが、そのぶん不便になるのはいただけないですね。改良には違いないのでしょうけど、想定する使い方の違いか、考え方の違いということなのでしょうか。せめてコード部分だけでも着脱出来るとか、何か工夫があっても良さそうなものですね。
Posted by cycleroad at November 17, 2007 20:13
 
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