February 06, 2007

身構えてしまうと楽しくない

あらためて見回すと、現代の生活にはアートに接する機会が溢れています。


アート展やアート教室、アートイベントにアートサロン。もちろん美術館やギャラリーに行き、絵画などを見ることもあるでしょう。そんな中、いわゆる現代アートの作品には、絵の具を塗りたくっただけに見える絵とか、何を意味しているのか全く分からないオブジェなど、戸惑うものもあります。

日本人が特に好むと言われる写実的な絵画などであれば戸惑いはありません。現代アートと言ってもいろいろありますが、前衛芸術とか抽象芸術と呼ばれるようなものには、驚くことはあっても、正直、何がいいのか分からず、果たしてこれがアートなのだろうかと考えてしまうこと、ありませんか。

そもそもアートとは何なのでしょうか。アートの訳語、芸術として考えてしまうから、その芸術的価値や芸術性を理解できない作品に出会ったとき、戸惑いを感じるのだと言います。アートとは芸術であり、すなわち古典的な芸術の基準や枠を無意識にはめてしまうのが理由です。

絵画や彫刻などの古典的な芸術なら、ある程度知識があって見慣れていても、その一般的な芸術の枠組みに収まらない現代アートの新しい作品は、どう評価していいのか考えてしまうものも少なくありません。分からなさ、ある種の違和感や疑問が、拒否反応へつながってしまう人もあるようです。

今なら誰でも知っている巨匠にしても、同時代の人が必ずしも「分かって」いたわけではありません。日本人は、どうしてもアートというと、実直に古典的な芸術作品をイメージして狭く考えてしまい、知識や理解をもって判断しようとする傾向が強いのだそうです。

では、アートを「分かる」とはどういうことでしょうか。実は、著名な現代美術評論家であったとしても、作品がわかるかと問われれば、わからないと言うしかないそうです。つまり、鑑賞して批評したり感想を述べることと、分かることは違うわけです。

アートと言われると、何となくよく分からないから、と敬遠してしまう人も多いのではないでしょうか。美術の歴史やトレンド、世評に詳しかったとしても、作品がわかるわけではありません。芸術としての価値云々や、その作品を理解しようとする必要はなく、その作品から何を感じるかです。

作品は味わい、楽しむもので、わかる必要はないとも言えます。このBicyclingArtでは、自転車やその部品を使ったアート作品を掲載しています。普通の人と自転車好きの人では、また違ったものを感じるかも知れません。自分でも作れそうな作品もありそうです。

BicyclingArt

作り手側、アーティストにとってアートとは何かと問えば、多くの答えがあると思います。アートとは、自分自身を表現するもの、あるいはメッセージです。自分の心が動いたもの、自己の存在確認と考える人もいるでしょう。生きていることや生きる喜び、生き方そのものがアートで、アートは日常と言う人もいます。

受け手を楽しませたり、驚かせたり、気づかせたり、感動に震わせたり、見方を変えさせたりなど、何かを感じさせようとするエネルギーと言えるかも知れません。ある意味、これはアートだと言い切ってしまえば、全てアートです。みな何かの表現であり、つまり「作品」なわけです。

結局は、その作品が好きか嫌いか、かも知れません。自分の感性に訴えてくるものを感じ、それを心地よく感じるのか、感じないかしかありません。アートだからと高尚に考えず、面白ければそれでよし、つまらないものは、つまらないと、無理して感じようとする必要すらないのではないでしょうか。

自転車アートバイシクリングアート

有名な作者でなくても、誰でも表現すればアーティストです。大勢の人に何かを感じてもらうことは難しいことですが、自分の作りたいもの、好きなもの、表現したいことをアートにするなら、その方法や素材は何でも構わないでしょう。もちろん自転車を使うアートがあってもいいはずです。

アートと言う時、主として造形芸術の意味で使われますが、現代アートは、絵画や彫刻、版画といった枠組みにとらわれず、定義しにくいものも少なくありません。でも現代は、昔と比べて表現方法や素材にはるかに恵まれているわけですから、逆に新しい表現手段や造形、色彩などに挑戦すべきなのでしょう。

バイシクルアート自転車芸術

現代アートとは、現代に生きている人々が創り出すものであると同時に、過去の様式にとらわれない新しい試みや意外性を追及したものであるならば、自分だけの表現や方法もありえます。既成概念を取り払った新しい視点の提案でもありますから、今までにない形も当然出てくるでしょう。

もちろん美術館に行くのもアリですが、身近に転がっていてもアートには変わりありません。身の回りが全て合理的かつ規則正しいものばかりでは息苦しくなります。ふだん見慣れている日常とは違うもの、形式や理屈でない造形、そんなアートが生活を潤わせ、彩り、安らがせるのかも知れません。

BicycleArtBicycleArt

絵や陶芸、手芸に園芸、木工でもなんでも、自分でアート作品を作ってみるのもいいと思います。自分でも作品を作れば、技法や表現の仕方にも興味が出ますし、アートの楽しみ方が増えるでしょう。その芸や訴えるものに感嘆したり、触発されることもあるはずです。

本来、表現することも、また表現されたものを見ることも、ドキドキしたり、ワクワクする体験であるものなのでしょう。かく言う私も、今まで、必ずしもアートを充分に楽しんで来てないなと思いました。自転車アートはともかく、自分で何か作ることも含めて、もっと気軽にアートを楽しんでみるのもいいかも知れません。



こうして書くこと自体、理屈でアートを考えてますね(笑)。でも、アートを見るのは好きです。ただ、会場によっては、「こいつは笑えるね!」とか、「アホくさ!」なんて気軽に言えない雰囲気があるのが窮屈なんですよね。

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