最近、ノルディック・ウォーキングを楽しむ人が増えているそうです。
普通のウォーキングと違う点は、ノルディックスキーのクロスカントリー競技のように、スキーのストックのようなポールを使いながら歩くところです。元になったのはクロスカントリースキーの夏場の練習ですから、ポールのつき方も、歩くスキーと同じ要領です。
やっている人を見たことがありますが、スキーのシーズンオフ・トレーニングだとばかり思っていました。歩くだけなのに、なぜわざわざストックを使わなければいけないのか、という疑問も沸きますが、ヨーロッパを中心に世界で急速に人気の高まっているスポーツなのだそうです。
特別な道具の要らないウォーキングの良さを損なうようにも思えますが、メリットもあります。もちろん、転んだり滑ったりしにくくなるのもありますが、通常のウォーキングと比べて体全体を使うため、ヒザの関節や腰への負担が軽減され、歩く姿勢も良くなると言います。
また、通常のウォーキングより心拍数やエネルギーの消費量が上昇するので、より有酸素運動として効果的になり、脂肪も余計に燃焼して、ダイエット効果が高くなるのも人気の理由かも知れません。上半身の筋肉を使うので、首の痛みや肩こり、腰痛などが解消したりもするそうです。
人類が二足歩行になって長いわけですが、二足歩行のおかげで人類は腰痛を抱えることになったと聞いたことがあります。たまには腕も使って、言わば四足歩行に近い動きをするのも有効ということなのでしょうか。その点で言えば、自転車も近いものがあります。
サドルにどっかり腰掛けるママチャリタイプの自転車は、ほとんど足の筋肉しか使いません。実は、スポーツ系の自転車は上半身の筋肉も結構使うのですが、腕を大きく振るわけではありません。ハンドルを引き付ける動きはあっても、当然足ほどには動かしません。
三重県で自転車店を営む方が作った
この自転車は、なんと両手両足でペダルをこぐ自転車です。しかも、腕は前輪用のペダルをこぐので両輪駆動になっています。想像すると、手でもペダルを回すのは変な感じもしますが、速度も出るし、小回りもきくのだそうです。
考えてみれば、ハンドサイクルもあるのですから、普通の自転車とハンドサイクルの融合させた形があっても不思議ではありません。首の痛みや肩こり、腰痛に効くかはわかりませんが、雪道など滑りやすい路面での2WDは有効でしょう。
同じ手足を動かして乗る自転車でも、アメリカ生まれのこの
HyperBikeは一味違います。他の自転車とは似ても似つきません。体はハーネスによって固定されているのですが、写真のような格好で立ったまま、手と足の両方でペダルをこいで進みます。
個人的には以前から知っていて、そのうち取り上げようと思っていたサイトのうちの一つなのですが、あまり興味を持つ人はないだろうと思いきや、最近、一般のメジャーなサイトでも紹介されたようです。それらも含めて日本のブログ等での取り上げ方は、どれも変り種自転車、笑える自転車という位置づけのようです。
確かに奇抜な形で、笑ってしまう人も多いでしょう。モデルが水着のようなスーツを着ているのも目をひくので、何かイロモノ的に見えてしまうのもありそうです。しかし、サイトをよく見ると、その形は実によく考えられていることがわかります。
まず、車輪を前後ではなく左右に並べることによって、静止してもコケることはありません。当たり前のことのように思えますが、こうすることによって、自転車に乗るためバランスをとる必要がありません。つまり、誰でも簡単に乗れ、普通の自転車に乗るのと違って練習は不要になるわけです。
普通の自転車のように、サイクリストの体はむき出しではなく、大きな両輪に守られる形になっています。もちろん完全に安全ではないものの、例えばクルマに追突されても体に直接当らない可能性が高いです。幅があることによるデメリットもありますが、乗る人の体が外側に露出しない分、安全性は高まります。
また通常の自転車の形は、車輪の軸より上にサイクリストの体がくることから、どうしても重心が高く不安定になりますが、このHyperBikeは、重心が車軸より低いので安定します。車輪が大きくなりますが、そんなメリットもあるわけです。
両輪は内側へ傾く、いわゆるネガティブキャンバーがついています。競技用の車椅子なども両側の車輪に極端なキャンパー、傾きがつけられています。これによって、スピードを出しても安定して真直ぐ走れるわけです。一輪の前輪もついた3輪型ですし、スタイル的には近いと言えそうです。
こうした安定性が重視される背景には巡航速度があります。このHyperBikeはまだプロトタイプですが、計画では驚くことに時速80キロで航行することを目指しているのです。もし、安全でラクに80キロが出せるのなら、クルマに代わる立派な交通手段になる可能性もあります。
ペダルは手と足両方でこぎますが、腕を使う分スピードが増すのだそうです。立ってこぐため、最初は多くの人が悩まされるスポーツバイクのサドルでのお尻の痛みや、股擦れなどのトラブルと無縁なのも見逃せないポイントと言えます。屋根も付けられそうなので雨天でも使える交通手段に出来るでしょう。
開発者は、時速80キロで陸上を泳ぐ自転車というイメージがあるようです。今の形は1輪の前輪のつき方によって、あくまでもサイクリストの体は垂直に正立した状態ですが、水平に体を倒して手足でペダルを回せば、まさにクロールで泳いでいる形に見えそうです。
実現には軽量化を進める必要がありますし、そのほかいろいろ構想もあるようですが、今後の開発については、なんとNASA、アメリカ航空宇宙局から資金援助を受けているそうです。当面のターゲットは、新しいスポーツやエクササイズを探す人達になりそうですが、決してお遊びやお笑い自転車ではないわけです。
それどころか、安全で速い、クルマの代替として使われる自転車になる可能性だってないとは言えません。もう少し控えめに考えても、そもそも自転車には、リカンベントからハンドサイクルまで、実にいろいろな種類があります。その1つのカテゴリになってもおかしくないでしょう。
自転車を足だけでなく手でもこぐなんて、常識にとらわれていなくても、なかなか出ない発想です。でも、今までなかったからと言って、これからもないとは限りません。笑ってしまうようなアイディアが案外、革新をもたらしたりするものなのかも知れません。
気がつけば、もう3月。ほんとに暖かい冬でしたね。アカデミー賞とりましたが、これも「不都合な真実」なのでしょうかね。
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雪道ぬかるみ砂地階段凍り道
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固定観念にとらわれない発想
手ではないが前輪駆動もあるし、二人乗りで2WDというのもある。