一部で全国紙の一面トップになっていたのは、電動アシスト自転車のリコールのニュースです。ペダルをこぐのをやめてもアシストモーターが作動し続けたり、発進時に急加速するなどして重傷を負う事故も起きていると言います。原因の部品を使うヤマハ・ブリヂストン・ミヤタ合わせて
22万台がリコールだそうです。
人気の電動アシスト自転車は、利用者も急速に拡大しています。でも誰もが普通、原付バイクと違ってペダルをこがなければアシストされない仕組みになっていると考えているでしょう。それが意に反してパワーが出続けたり、急に出力が上がる可能性もあったとは驚きます。
機械的に力が出ない仕組みではなく、センサーでペダルを踏み込む力を検知し、それに応じてモーターを動かす仕組みだったわけです。人が力を加えなければ動かない普通の自転車と違って、センサーに異常や劣化が起きれば予期しない動作もしうる、言わば電化製品だったということなのでしょう。
そうした可能性があると知っているのと知らないで乗っているのでは、いざ異常な動作が起きた時の結果も違ってきそうです。一方で、電化製品でない普通の自転車にしても、生身の人間が出せないようなスピードや衝撃力を生み出すことは忘れてはなりません。
大阪では、
自転車同士の衝突事故で、中学生とぶつかった70代の女性が亡くなるという痛ましい事故が起きています。こうした自転車同士や自転車と歩行者の事故は急増しています。あまり大きく報道されることは少ないですが、死亡事故も少なくありません。
身の回りでも、一時停止や見通しの悪い場所での徐行など、仮に標識がなくとも、安全を考えたら当り前のことをしていない自転車を見るのは日常茶飯事です。自転車に乗っているだけでも、事故が起きれば人を死なせてしまう可能性があることは、誰もが改めて肝に銘じる必要があります。
もちろん、クルマやバイクと事故になれば被害者になる場合も多いわけですが、被害にあうのは事故だけとは限りません。
朝日新聞の記事によれば、自転車に乗っていた男性が、バイクにわざと衝突されて転倒し、殴るなどの暴行を受けた上に、金品を奪われる事件が起きています。
わざとぶつけて転倒させるとは乱暴な手口ですが、自転車に乗っていて、後ろから近づいてきたバイクやクルマにひったくりの被害にあう事件は全国的に多発しています。ひったくられた拍子に転倒して怪我を負う場合も多いようです。路上では、いつ、どんな事件や事故に巻き込まれるかわかりません。、
転倒と言えば、ちょっと珍しい事件も起きています。
カーセンサーの記事から引用します。
高級自転車を使った当たり屋/2007.5.13
三重県警は9日、高級自転車でクルマへ故意に接触する事故を起こし、保険金を騙し取っていたとして34歳の男を詐欺容疑で逮捕した。約3年間の間に50件以上の事故を偽装していたとみられ、警察では余罪についても調べを進めている。
三重県警・交通指導課によると、逮捕された男は2004年2月11日の午後、三重県松阪市朝田町付近の県道へ駐車場から進出しようとしていた52歳(当時)の男性が運転するクルマへ故意に接触。転倒を装い、自転車の修理代金など約8万6000円の保険金を騙し取った疑いがもたれている。
男はアメリカ製の高級自転車(約7万円)を使っており、「修理代金が高い」と申告。保険会社も特に疑いをもつことなく支払いを行っていたという。同じ手口で起こした事故の件数は約50件。総額で1000万円近い保険金を受け取っていた。(以下省略)
ドライバーや保険会社も、まさか自転車の当たり屋がいるとは思わなかったのでしょう。そして、極めつけの転倒は、この事件でしょう。
トラックに頭ひかれ、無傷 ヘルメットが命救う/ウィスコンシン州ミルウォーキー
自転車で走行中の男性が、転倒して頭部をトラックに踏みつけられながらも、ほぼ無傷で済むとい う事件があった。男性の命を救ったのは、ひしゃげた黒いヘルメットだった。
この男性は、シアトル出身の大学院生ライアン・リプスコームさん(26)。11日午後に自転車に乗っていて、前方の交差点でトラックがリプスコームさんに向かって右折しようとしているのに気がついた。リプスコームさんは急ブレーキをかけたが止まり切れず、路上で転倒。直後に、頭部がトラックのタイヤの下敷きになった。
「タイヤが迫って来るのは見えなかったが、頭が踏みつけられるのは感じた」とリプスコームさん。地元紙に「頭がトラックにひかれるのは、とても変な感じだった」などと語った。
脳しんとうを起こしたリプスコームさんは、すぐに病院に運ばれたが、目立ったけがはなく3時間ほどで解放された。リプスコームさんは15日、AP通信の取材に対し、頭と首に痛みが残ってるとしたものの、「あの状況を考えれば、これ以上ましな状態はない」と話した。
警察はひき逃げ事件として捜査している。リプスコームさんは「試験が終われば新しいヘルメットを買ってまた自転車に乗りたい」と話している。(2007.05.16)
CNNニュースでは、「こぼれ話」として伝えていますが、サイクリストにとっては示唆に富む事故です。急に右左折してきたクルマに気づいて、急ブレーキをかけて転倒するなんて、いつでも起こりえます。ヘルメットは、転倒して頭を打つことによるダメージから守るだけではないわけです。
ヘルメット着用が習慣になっている人は別ですが、ヘルメットなんて格好が悪い、暑い、面倒くさい、邪魔だと考えている人も多いと思います。実際、ヘルメットを被っている人が着用していて良かったと感じることはあっても、被っていない人はその効用をなかなか実感出来ないのも事実でしょう。
「災害は忘れたころにやってくる」ではないですが、事故も忘れたころに起きます。つまり事故の危険性に対して注意力が散漫になったり、油断が生じている時に限って、やはり事故は起きる気がします。今まで事故に遭っていないという過信や慢心が重大事故につながる場合も少なくありません。
いざ事故を起こして痛い思いをし、場合によっては深刻な状況を引き起こして刑事責任や多額の賠償責任を負わないとも限りません。ちょっとした気の緩みで人を死なせ、悔やんでも悔やみきれないなんてことも、実は誰にでも起こりえるわけです。
事故や事件の報道なんて、世の中に溢れています。たまたま目にとまらなければ、注意して見ることも少ないでしょう。でも、自らの油断や慢心に気づくための貴重な教訓として受け止め、また、ふだんの生活の中にあるリスクについて自覚するためにも活かしていきたいものです。
しかし、住宅に強盗とか、母親殺人とか、自転車に乗っていなくても何が起きるかわかりませんね。ジェットコースターの事故もそうですが、考えてもいない場所、予測もできない事故もありますし..。
関連記事
直接ヘルメットをプレゼント
ヘルメットと言えば、幼児にも被せようという論調が増えている。
未然に最悪の事態を回避する
実際に事故を起こしてしまった時に、どう行動するか考えてみる。
いかに危なっかしく見せるか
ヘルメットは安全に貢献するはずだが、実は気になる研究結果が。
Posted by cycleroad at 23:30│
Comments(4)│
TrackBack(0)
ニュースサイトを見ていても、最近特に自転車に関して事故報道がかまびすしくなってきましたね。それだけ注目されているからでしょう。自転車屋さんと話していて、保険の適用が厳しくなってきたと聞いています。勉強して見る目ができてきたのだとか。
>男はアメリカ製の高級自転車(約7万円)を使っており
ここは突っ込むところでしょうかね〜。:)値段だけではないでしょうが、ふつうにこれぐらい出してもらえば自転車ワールドで開眼できるでしょうに。
こんばんは。私も相次ぐ自転車の事故報道に胸を傷めております。特に、この自転車を重点的に取り締まっている強化月間の最中ですから、メディアも余計に過敏になっているのでしょうか。自転車を含む車両の事故では、あまり詳細な報道は見受けられませんが、昨今の凶悪犯罪では生々しすぎる事実を事実として伝えるあまり、ニュースを観ていて気分が悪くなる人もいるかと思います。私は特に、子供や若者への悪影響を懸念しています。
話が逸れましたが、私も自転車保険に加入していました。その保険会社での扱い終了に伴い、総合保険での特約で対応しています。一応、万一の対人事故や、高級車を相手にした場合を考え、結構な保険金額となっていますが、それくらいの覚悟がいるのかな、と最近は感じるようになりました。
サイクルロードさんは自転車総合保険に加入されているのでしょうか?