August 05, 2007

ヘルメットに何を期待するか

台風も去って強い日差しが戻り、全国的に暑い夏本番です。


自転車で出かける時は、夏の強い直射日光で頭部の温度が上昇してボーっとなったり、熱中症になるのを防ぐ為にもヘルメットか、せめて帽子をかぶったほうが良さそうです。頭と密着する部分には、どうしても汗をかくでしょうが、他の用途のものと比べれば自転車用のヘルメットは比較的風通しが良く、蒸れにくく快適だと思います。

以前、バイクヘルメット(自転車用ヘルメット)をかぶっていたお陰で、頭をクルマにひかれても無事だったサイクリストのニュースがありましたが、例えばオートバイのヘルメットと比べて、あんなに軽くて風通し良く出来ているのに、強度を保ち、衝撃を吸収するよう、うまく設計されているものだと感じます。

日よけとしての効果はともかく、当然のことながらヘルメットは頭部を保護するためのものです。古今東西いろいろなデザインや材質で作られてきましたが、自転車用に限らず、どんな時に使うものであれ、それは変わらないでしょう。しかし、今後もヘルメットは頭を衝撃から守るだけのものなのでしょうか。

前回は、防塵マスク付きのヘルメットを取り上げました。今後実用化されるかは分かりませんが、ヘルメットの新たな側面を開く可能性も感じさせます。細かいデザインを別とすれば、長年にわたって不変のように思えるバイクヘルメットですが、実は他にもいろいろなヘルメットが構想されているのかも知れません。

The Pulse Bicycle Safety Helmetハイテク・ヘルメット

ヘルメットの普遍的な役割は変わらないとしても、社会や生活が変化し、工業製品の加工や素材などの製造技術も飛躍的に進歩する中で、新しい機能が追加されてもおかしくありません。そんな例をオーストラリアのデザイン・コンペのサイト「Australian Design Awards」に見てみます。

The Pulse Bicycle Safety Helmet」は、自転車用安全ヘルメットに革命を起こすと称しています。現在のヘルメットが保護用品として受動的であるのに対し、このヘルメットはインタラクティブ(双方向的)に働いて、より積極的に安全性を高める仕事をさせるためにデザインされました。

ヘルメットに内蔵された自発光装置や反射板などによって、サイクリストの存在を強くアピールします。また好きな音楽を聴いたり、携帯電話に応答したり、サイクリストが危ない動作をすることなくサイクリングのデータを記録したりも出来ます。ハイテク・ヘルメットとでも呼ぶべき製品です。

e-ヘルメット?i-ヘルメット?

賞に応募したのは学生デザイナーですが、最終選考に残った作品です。まだ製品化されているものではありませんが、もし日本で発売されたら、さしずめ「e-ヘルメット」か「i-ヘルメット」とでも命名されそうな製品と言えるかも知れません(笑)。

走行しながら音楽やケータイの音を聞くのは、気を取られて、かえって危険が増すという意見は当然あるでしょう。その議論は置くとして、このThe Pulse Bicycle Safety Helmetは、道路側でないほうの耳だけを使うことで、周囲の危険なシグナルを聞き落とさないようにし、サイクリストの安全を守ると説明しています。

新しい素材や新技術を取り込み、本来の性能や耐久性にも配慮し、ヘルメット内部の換気システムやユーザーが色をカスタマイズできるなどの細かいアピールも加えています。様々な機能をとり込むことの是非はともかく、携帯音楽プレーヤーやモバイル端末などが普及している昨今、すぐに発売されてもおかしくありません。

Cyclo防塵マスク付きヘルメット

Cycloと名付けられた、こちらのヘルメットは、都会に住むサイクリストが公害による有害物質や微粒子を吸いこまないようにする、多孔質シリカゲル・フィルターによる防塵システムが備えられています。前回の「Breathe Air」と同じですが、防塵性能の優劣はともかくデザイン的にはずっと親しみやすいのは間違いありません。

こうした防塵マスク付きヘルメットを考案する人が少なくないのは、省エネルギーから自転車が世界的にも注目されつつある一方で、都市の大気汚染が及ぼすサイクリストへの健康被害が、世界各国でその深刻さを増していることの現れなのかも知れません。

フィルター付き防塵ヘルメット大気汚染からサイクリストを守る

この二つの作品、そのまま製品化に結び付くかどうかは分かりませんが、これからのヘルメットの方向性として、とても現実的な気もします。今まで十年一日のごとくあったように見えるバイクヘルメットですが、何かの新製品をきっかけに、今後は急速に変化していく可能性もありそうです。

ほかにも世界には、いろいろなヘルメットを構想している人がいるはずです。もちろん豪州以外にも、ヘルメットをせっかくかぶるなら、何かほかにも役に立つようにしようと発想する人はいます。バイク専用ではありませんが、このiphreeもその一つでしょう。

Energizer & XPALPower iPhone専用バッテリー内蔵保護ケース AP1500
(中央の再生マークをクリック、又は2度クリックすると再生します。音量に注意。)

iPhoneは、ご存じのように、その参入が大きな話題となったアップル社の携帯電話端末です。携帯電話に音楽や動画再生などのiPodの機能、PDAや無線LAN、ネット接続などの機能を搭載して人気が爆発しています。現時点で日本での携帯電話としての発売は未定で、電話としては使えませんが、秋葉原などでは手に入るようです。

そのiPhoneとハンズフリーをかけてiphreeです。ジョークのようなヘルメットですが実在の製品で、なんと製作者がサイトまでつくって、実際にオークションサイトのe-bayで販売までしています。アメリカに行けば、本気でかぶっている人にお目にかかれる可能性があります(笑)。

iphree

しかし、考えてみれば日本でも、iPhoneこそ正規に発売されていませんが、ワンセグやムービーメール、動画ダウンロードなど、携帯電話が動画視聴端末として発展し、それに伴って、ケータイの画面を見ながら自転車に乗る人も増えつつあります。片手運転は危ないからと、こうしたヘルメットが冗談から現実にならないとも限りません。

ボトルホルダーなどのオプションも

もし、そうなったら安全のためには憂慮すべき状況ですが、その危惧はひとまずおくとして、案外ジョークどころか世の中の流れを反映しているとも考えられます。Pulse Helmetとも考え方は似ています。ヘルメットが頭を守るだけでいいのかと考える人が増え、奇抜で多機能なヘルメットが生まれるようになるのかも知れません。



関東などは8月に入っての梅雨明けで、待ってましたと乗りに出かけてる方も多いでしょうね。水分補給と日焼け対策もお忘れなく。

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子どもの場合、転倒した時などの頭部へのダメージは深刻だ。



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この記事へのコメント
こんばんは。いやー購買欲をくすぐられますね(笑)
その前に、壊れたバッテリーを買い直すのが先決ですが…。

さて、自転車は兼ねてからヘルメット廻りの装備やデザインが
際立って弱いと感じておりました。私もデザインの端くれとして思う事は、「自転車には似合うけどオートバイには似合わない」ロードバイク独自のヘルメットをデザインしてもらいたい、という事です。前回の記事にもありましたように、排ガスから身を守りつつ、優れたデザインの製品は出来ないものでしょうか…。どこぞのデザインコンペのように、OGKとかCATEYEとかパールイズミが、公募してくれないでしょうかね〜。
Posted by nori at August 06, 2007 19:13
noriさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
確かに、発売されたら人気が出そうです。
今更言っても仕方ないのですが、バッテリーなどの消耗品は、乾電池型など汎用のものが使えるなど、他の自転車パーツと同じように、どこでも手に入るのが大切なことですね。
私もヘルメットの選択肢は限られていると思います。自転車に似合うのもさることながら、デザインの種類が少ないせいか、かぶる本人が自分に似合うと感じて満足するものが少ないようです。特に日本人には似合わないと感じる人が多く、似合うと思っている日本人は、使っている人の3%程度だとか..。
もっと製品が多様化するといいと私も思いますが、やはり、ヘルメットをかぶる人、すなわち市場が小さいのがネックになるのでしょうね。
Posted by cycleroad at August 06, 2007 22:54
 
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