
シティサイクルと言うと、どんなイメージがありますか。
ふだんはスポーツバイクを愛用するけど、通勤や通学の足はシティサイクルという方もいらっしゃるでしょう。ただ、日本でシティサイクルと言うと、ママチャリと同義語のように使われている場合も多いのが実情です。乗ることは乗っても、あまり興味の対象ではないかも知れません。
特に近年は、圧倒的に安いママチャリが市場を席巻し、量販店などで大量に販売されています。街中で見かける自転車の大部分がこうした安価なママチャリで、シティサイクル、イコールママチャリと思っている人も多いに違いありません。最近でこそ自転車ブームと言われ、非ママチャリも見直されていますが、それでもごく少数です。
一般論としてママチャリは、雨ざらしで置かれたり、整備も満足にされずハードな使われ方をされる場合も多いです。盗まれたりする可能性も高いので、価格が安いのが一番と、悪く言えば使い捨て感覚に近い人も少なくありません。そんな「単なる道具」、あるいは「消耗品」には、安さ以外に多くを求めても仕方がないのでしょうか。
スウェーデンのルンド大学の工業デザインを専攻する二人の学生によって設計、試作された“
NIM city bike”を見ていると、必ずしもそうではないと感じます。見た感じは、それほどインパクトがあるわけでもなく、誰もが認める洒落たデザインと言えるわけでもありません。
でもサイトを見ると、市場の動向から開発コンセプト、フレームの素材から求められる機能まで、しっかりとした思想でデザインされていることがわかります。性別を問わないユニセックスなシティバイク(シティサイクル)で、ターゲットは通勤や通学で自転車を使う、都会に住む20歳から35歳の男女と明確です。
一枚のシートから型抜きされ、折り曲げて成型されたフレームは、アルミ合金とカーボンファイバー素材をサンドイッチ構造にすることによって充分な強度を実現しながら、標準的な自転車フレームに比べて非常に軽いと言います。機能に裏打されたシルエットは、シンプルですが洗練されています。

通勤や通学用なので、駆動はベルトドライブが採用され、メンテナンスを楽にしています。また、形を極力シンプルにすることによって、面倒なトラブルが起こりにくいのもメリットです。

独特のフレームの内側には、盗難対策としてワイヤー錠も格納されおり、フレーム下側のシリンダー錠を外すとワイヤーが出てきて、道路上の固定物につなげて施錠出来るようになっています。

スタンドもフレームの内側に格納されていますので、スタイリッシュです。
ステムに内蔵されたシリンダー錠を操作することで、ハンドルバーを90度曲げられます。左右の自転車に挟まれた狭い駐輪機でも容易に駐輪出来るわけです。

クルマに積んだり、キャリアにセットする場合でも、ハンドルが邪魔になることはありません。
前後の泥除けは必要に応じて装着できるようになっています。

アーレンキーを使って簡単に着脱出来ます。

同じように荷台も必要に応じて装着するようになっています。
あらかじめ、LEDライトも内蔵されています。ハンドルバーに装着するのではなく、フレームにライトを内蔵し、極力余分な出っ張りをなくしているので、全体のシンプルなデザインを邪魔しません。

日本でも非接触のマグネット発電式ライトが商品化されていますが、この内蔵ライトもマグネットハブを採用し、非接触で発電するので、ペダルが重くなったり音がうるさいこともありません。テールライトはリヤハブに内蔵されています。

全体として、機能的で洗練されたイメージに仕上がっています。構想の段階から、触発されたものとして、世界的に人気のあるアップルやナイキの製品イメージを挙げ、多分に意識しているようです。
デザイン的には好き嫌いがあるかも知れませんが、コンセプトには納得するものがあります。ちょっと使ってみたくなった人も多いのではないでしょうか。通勤や通学にもロードバイクなどを使っている方も少なくないと思いますが、場面によっては困ることもあるでしょう。
やはりシティユースにはシティサイクルが有利なこともあります。また、デザイン的に気に入った自転車なら愛着も湧きますし、軽くて軽快に走る自転車なら、乗っていても楽しくなります。整備やメンテナンスをする気も起きて、結果として快適な状態で乗れることにもなるでしょう。
汚れようが錆びようが気にならない、安いママチャリにも利点がないとは言いませんが、使いやすさやデザイン、乗る楽しさや愛着といった要素も、もう少し見直されていいはずです。その面で近年の日本の現状は寂しい限りです。もっと個性的かつ多様なシティサイクルが出てきてもいいように思います。
なんだか(安い)ママチャリを目の敵にしているようで、ママチャリにしか乗らないという方には不愉快かもしれませんね。最近のママチャリはスゴイな、という記事も過去に書いていて、決してママチャリを否定するばかりではないのですが、やはり値段の差だけはあるもので、スポーツバイクや値段の高いシティバイクに乗ると、「目からウロコ」な場合も多いはずです。一度お試しあれ。
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ゆくゆくは自転車におまかせ
シティサイクルはスポーツバイクとは、また違った進化をしていくのかも。
Posted by cycleroad at 23:30│
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