この線路の先に眠れるものは
秋の行楽シーズンを控えて、ようやく爽やかな気候になってきたところも多いと思います。
今年はこのあと年末までに、土日と合わせて3連休になる週が5回もあります。すでに旅行を計画されている方も多いでしょう。旅行と言えば、航空機やクルマでの旅行もありますが、旅愁を誘う列車の旅もいいものです。中には、列車に自転車を持ち込む、「輪行」で旅に出る方もあると思います。
最近、巷では鉄道ファンが増えていると言います。鉄道旅行、鉄道模型から、部品等のコレクションまで、鉄道の趣味は間口が広く、昔から趣味の王道などとも言われています。最近では女性のファンも目立つそうです。マニアでなくても、鉄道旅行の好きな人や輪行派は、広い意味で鉄道ファンと言えるかも知れません。
鉄道での旅行が好きな理由は多いと思いますが、その一つには車窓から楽しむ景色があります。季節による変化も楽しいですし、中には道路ではアクセス出来ず、列車からでなければ見ることの出来ない景色もあるはずです。山深い森の緑や、美しい渓谷といった景色を楽しみにする方も多いに違いありません。
しかし、山間部や郊外を走る鉄道の中には、沿線地域の過疎化に伴って年々乗客が減り続け、存亡の危機に立つ路線が少なくありません。現に多くの路線が廃線に追い込まれてきましたし、これからも廃線必至とされる路線が数多く存在します。
せっかくの絶景やビューポイントも、いったん鉄道が廃止されてしまえば、線路の跡が舗装でもされない限り、場所によっては近づくことも困難です。鉄道跡がサイクリングロードになっていることもありますが、特に山深くの場所の場合は少ないでしょう。
そうした廃線跡の訪問を趣味にしている鉄道フォンのサイトによれば、郊外や山間部の廃線跡で、実はレールが残っている場所が意外に少なくないようです。廃線派にとって、レールは廃線跡としての雰囲気を大きく左右するので、あるとないとでは大違いなわけです。山間部では、レールの撤去にも費用がかかるからなのでしょう。
考えてみれば、仮にレールが残っているのなら、トロッコと呼べばいいのか、上の写真のような車両があれば便利に移動出来そうです。昔は鉄道のメンテナンスに使う保線車が、こうした人力で動く車両だったそうです。アメリカなどでは、これをハンドカーと呼んでいます。
一部には、
ハンドカーでレースをして楽しむ人たちもいます。中央の部分をシーソーのように上下させることによって推進力が生まれる仕組みですが、スタート時に車両を押す役目の人もいて、5人1組のチームで競います。向かい合って漕ぐのかと思えば、進行方向に向いて漕いでいます。
このハンドカーで競技ではなく、廃線跡のレールを走行している人もいるようですが、車輪が専用のものだと車重も重く、走行出来る場所も限られます。また、中には軽量なハンドカー、もしくは
ペダルカーを自作するような人もありますが、別の場所へ移動するには輸送も問題になります。
ならば自転車を使おうというのが「
レールバイク」です。日本でも、いくつか廃線跡に軌道自転車を配置している場所がありますが、事業者が観光客向けに営業するものなど、時期も用途もごく限られています。ところが、アメリカなどには、個人でレイルバイクを製作して、廃線の旅をしている人たちがいます。
一般的な自転車をベースに、簡単なアタッチメントを取り付けた形のレールバイクです。場所によっては、MTBでレールの間を走行することも可能でしょうが、レールがあるのなら、レール上を走行してしまおうというワケです。徒歩で山を歩くより、圧倒的に機動力が高くなるのは言うまでもありません。
写真を見て冒険心を掻き立てられる人もあるのではないでしょうか。草が深く繁っていたり、レールが歪んでいたりして、実際には必ずしもラクな走行ばかりではないかも知れません。しかし、レールがあれば、舗装したサイクリングロードでなくても、自転車で走破出来るというのは魅力的です。
レールが断絶している部分があっても、かついだり地面を走行すれば済みます。徒歩より荷物も多く運べますので、キャンプなども出来るでしょう。もちろん、クルマではアクセス出来ない場所へ、廃線によって失われた景色を求めて、レール・サイクリングが出来るかも知れません。
簡単に装着できるアタッチメントがあれば、廃止になった鉄道沿線の住人の交通手段としても使える可能性があります。ハンドカーでは難しいと思われる単線での行き違いも、補助輪の方をうまく工夫すれば、すれ違えるでしょう。いざとなれば、一旦下車して自転車を外側に傾ければ済みそうです。
素人考えですが、レールの片側だけを使って走行できるレールバイクが出来たら、単線でも上りと下りの2車線出来ます。さすがに、それは難しいかも知れませんが、いずれにせよ、レールを撤去して舗装することなく、サイクリングロードが出来ることになります。自分で漕ぐ必要はありますが、代替バスとはまた違った代替交通です。
このレールバイクが、オンロードでもオフロードでもない自転車の新しいカテゴリーになるか、あるいは鉄道ファンの新しい分野としてのレールバイク派を確立させるかは別としても、廃線、レール、自転車の組み合わせ、意外に面白いかも知れません。
それにしても驚きましたね、突然の辞任には。これだけ無責任に放り出せば、政治生命も終わるでしょうに、このタイミングとは..。経験も浅いのに、人気だけで選挙目当てに選んだ人たちの責任もあるとは思いますが..。
関連記事
サイクルトレインが通る場所
日本にも軌道自転車を導入する試みや、イベントなどを開催する例はある。
社会資本の再利用をすすめる
もちろん、廃線後の線路跡をサイクリングロードとして活用する例もある。
気づかずに通過している場所
鉄道とは直接関係ないが、こうした場所を訪れるのを趣味とする人もいる。
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Posted by cycleroad at 23:30│
Comments(6)│
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こんばんは。これはすごいですね。このような仕様に改造して
レールの上を走行するとは、、、後輪など外れないのでしょうか?
私の住まいのすぐ近くにも、JR貨物線というのが最近まで存在していました。しかし、数年前に休線になり、その1年後には廃線でレールも撤去されてしまいました…今後の利用は未定と聞いていますが、地元からは京都〜大阪港までのウォーキングロードにして欲しい等の要望があるようで、私も賛成です。で、出来れば半分はスポーツバイクロードにして欲しいと…(笑)
長くなりました。
noriさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
私も、想像すると後輪が外れそうな気がしてしまうのですが、そのあたりを逆側のレールの補助輪で防ぐ構造なのでしょう。
都市部や近郊など、道路で簡単にアクセスできる場所の廃線跡は、レールが昨今の金属泥棒に盗まれますし、撤去するのが普通みたいですね。赤字線で、すぐ撤去できない場合でも、わざわざ監視員を置いて盗難防止に努めるという話も聞きます。
どうせ細長い土地なのだから、細切れに変な利用をするより有効ですし、沿道の活性化にも寄与するかも知れません。そこそこ幅もあるでしょうから、歩道とセパレートも出来そうです。京都〜大阪のサイクリングロードが出来るといいですね。
こんにちは(^^)
レールバイク、国内では岐阜県の神岡鉄道で活躍していますね。タンデムで方向転換装置付きだそうです。
http://www.city.hida.gifu.jp/topics/2007/20070720_gattan/index.htm (飛騨市のページ)
http://www.mitsui-kinzoku.co.jp/group/yoursoft/company/hida.html (三井金属グループ会社のページ)
ああ、本文は、個人レベルでやってる方の話ですか。これはすごいですね。
fu_rさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
これは、情報をありがとうございます。神岡鉄道のレール・マウンテンバイクについては、昨年の11月末で鉄道が廃止になった時にも話題になり、新聞などで取り上げられていたのを覚えています。(私も当時、記事に書きました。上の「関連記事」欄の「サイクルトレインが通る場所」)
その後については知りませんでしたが、教えていただいたリンク先を見てみると、通年営業にはなっていないものの、試乗会などのイベントが開かれているようですね。
日本は鉄道国で、廃線も少なくないようですから、再利用の一つの手法として広がると面白いと思います。
初めまして★ブログ拝見させて頂きました。
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