最近のモーターショー、私は報道などを通してしか知りませんが、過去には何度か見に行ったことがあります。ここのところ、若者のクルマ離れや国内での販売不振が言われていますが、それでもイベントとしての集客力は依然として大きなものがあるようです。
一方、私が毎年出かけていた東京サイクルショーのほうは、なんと消滅してしまいました。正確には、"Tokyo Bike Biz 2007"への「発展的転換」ということらしいですが、ビジネス向けになってしまい、業界関係者以外は入場出来なくなりました。17年も続いていた一般向けショーではなくなってしまったわけです。
もちろん、私は業界関係者でも何でもないので行けませんでした。ちなみに、東京ビッグサイトで昨日と一昨日、平日の二日間開催で、ブースも東5番ホールだけだったようです。サイクルショーとしてのサイトもなくなってしまいましたが、昨年までは約8割が一般入場者だったと言いますから、だいぶ規模も縮小したのでしょう。

去年から、その方向性は予感させました。一般向けのショーは、新しく出来た「サイクルモード」に集約されたということのようです。新しいモデルを見たり、試乗するのはサイクルモードで出来るのでいいですが、個人的には、新しい発想の商品とか、変わった製品などを見るのも好きだったので、ちょっと残念です。
モーターショーにしてもサイクルショーにしても、必ずしも次に買う製品を確認しに行く人ばかりではないでしょう。こうしたイベントには、やはり新しいものを見たい、今までとは違ったものを見たい、新しい発想とかデザインとかコンセプトなどに驚きたい、という潜在的な欲求があるのではないでしょうか。
イベントに限りませんが、新しい工夫が施された商品、今までにないコンセプトの製品などを見ると、そのアイディアや着想に、驚きがあったり、なるほどと頷いたり、目から鱗だったり、触発されたりします。自分の仕事や趣味などの参考になったり、発想力が刺激されたりもするでしょう。
毎年この時期にサイクルショーの記事を書いていたわけですが、そういうワケで、今回はネット上で見かけた商品や作品などから、発想を刺激するような自転車を集めてみました。人によって感じ方は違うでしょう。こちらは、ショーと違ってナンセンスなものもありますが、案外、そんな中から新しい発想が生まれてくるかも知れません。
前回、フレームを伸び縮みさせれば、省スペースで駐輪出来ると書きましたが、こちらの方が簡単で、効果も大きくシンプルです。以前、縦置きの駐輪機械を取り上げましたが、特別な駐輪装置も不要です。荷台が少し長めなだけで、従来型のスタンドも無くて構いません。

見てしまえば、どうってことありません。縦に置ける自転車なんて、言われてみれば簡単なことですが、ちょっと目から鱗です。見た目には、やや安定感に欠け、省スペースな分、高さがあるので、道端などに止めてあったら違和感が無いとは言いません。でも慣れれば普通になるでしょうし、家で玄関などに収容するにも便利そうです。
また前回、折りたたみだけでなく、伸び縮みもあっていい、と書きましたが、こちらは「ねじり」です(笑)。さすがに、ぞうきんのようにねじって、小さくして持ち運べる「ねじり自転車」はドラえもんの世界です。そう簡単には実現できそうにはありません。

ジョークと言えばジョークですが、でも、もしかしたらここから発想が広がって、ネジでフレームの長さを調節できる自転車が出来るかも知れません。身体のサイズは変わらなくても、乗っているうちに、微妙にライディングポジションが変わってくることはありますから、フレーム長などを簡単にアジャスト出来れば便利でしょう。
自転車は、ゆっくり走行するのは苦手ですが、こちらは歩く速さで移動出来る自転車です(笑)。一瞬、半人半馬ならぬ、半人半自転車かと思いますが、よく見れば、カートを腰につけているだけです。でも、自転車にも連結出来て、降りた後も、腰に付けて移動出来るカートと考えれば、案外便利かも知れません。

自転車に連結するトレイラー、カートは、日本ではあまり馴染みのない製品ですが、たくさんの荷物や大きなものを運ぶことができると、自転車の便利さは格段に広がります。前かごと荷台に載る分以上の大量の買い物だって出来ます。しかし、買い物に使うなら、こちらのほうが、更に便利です。

スーパーまで、そのまま走って行き、店内でも走行しながら買い物できます(笑)。いちいち荷物を積み替える必要もありませんし、レジ袋だって削減できそうです。自転車とカートならぬショッピングカート、考えつきそうでつかない組み合わせと言えるでしょう。

ベテランのサイクリストなら、家に余ったフレームやパーツが溢れていたりするでしょう。思い入れがあって捨てられないパーツなどは、電気スタンドとか椅子といったインテリアとして利用するのはどうでしょう。家族のブーイングも少しは和らぐかも知れません。

他の人とは違う自分だけの一台に乗りたい人、こちらはどうでしょう。今までにない付加価値をつけて売りたいショップの方、暖炉の上に飾る鹿のはく製に飽きた人、普通のドロップハンドルに飽き足らず、いろいろなポジションを取りたい人にもいいかも知れません(笑)。
ナンセンスと言えばナンセンスです。軽く笑い飛ばして下さい。ただ、こうしたナンセンスなものも、頭を柔らかくしたり、思わぬひらめきを生む素にならないとも限りません。どうしても知らないうちに出来てしまう固定観念、思い込みを崩すのにも役立つでしょう。
明日から(一般公開は明後日)幕張で開かれる東京モーターショーで、クルマは環境問題や高齢化社会、新しい交通システムなどへの対応を迫られています。でも、いかにクルマ離れを食い止めるかなど、様々な課題を抱えつつも、新しいコンセプトや未来への提案も、たくさん提示されているようです。
モーターショーと比べるのは無理がありますが、自転車にだって、地球に優しいこれからの交通手段としての期待は大きくなりつつあります。残念ながらサイクルショーは無くなってしまいましたが、業界を挙げて、社会の課題を緩和し、様々なシーンで役立ち、人々に夢を与える新しい未来への展望を形にして見せて欲しいものです。
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サイクルモード」のほうは健在です。今年は11月16、17、18日に幕張メッセ、24、25日インテックス大阪で開かれます。ただ、一つになってしまったので、去年より更に混みそうですね。
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一般向け最後となった、東京サイクルショー2006に行ったときの記事。
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サイクルショーでは、いろいろな自転車が見られて面白かったのだが。
サイクルモードに切り替えろ
もちろんサイクルモードでもいろいろ見られるし、試乗も充実している。
市民はあまり自転車に乗るな
ちなみに、縦に駐輪できる装置を紹介した記事。これはこれで独創的。
こんにちは。そうですか、サイクルショーは無くなってしまったんですね。昨年、大阪でのサイクルモードは任天堂のイベントと被ってすごい人出でしたので、行くのを諦めました。今年のサイクルモードは試乗にチャレンジしたいと思います。
ところで、最期のほうの「king of the road」ですが、この発想はナンセンスなどではなく、多くの人が感じていたものを形にされたものですね。こけると大怪我をしそうですが。私は寝転んでロードバイクを眺める時、いつもノコギリやミヤマ等、クワガタのイメージが浮かんできます。