歩道をママチャリで走行していた女性が、いきなり車道へ飛び出し、車道の右側を走行する形になったので、車道の左側を走行していた私と、危うく正面衝突しそうになったのです。危険を回避するなど仕方なかったわけではなく、道路の反対側へ斜めに横断するため、一旦歩道から車道の右側へ出たようです。
その女性は、前方のクルマが途切れるのを見て、後ろからのクルマの接近を確認するため、振り返りながら車道に出たため、私の存在に気がつかなかったか、死角になったようです。特に急いでいた様子ではありませんでしたが、信号待ちするのが面倒なので、反対側へ渡るチャンスと見たのでしょう。
あまりに突然の行動だったので私も虚をつかれましたが、幸い、かろうじて避けることが出来ました。でも、あと少しで大惨事です。あまりに危険な行為に文句を言いました。その人も相当焦ったようですが、なんと逆ギレして車道を走っていることを非難しだしたのです。自分もいったん車道の右側を走行しようとしたにも関わらず、です。
ヒステリックになっているので、交通規則もヘッタクレもありません。自転車の車道走行の原則や、左側通行の順守を本当に知らなかったのかも知れませんが、自分の逆行や前方不注意を棚に上げ、自らの行動を何が何でも正当化しようとし、絶対に非を認めようとしませんでした。そのあまりに利己的な態度にも驚きました。
確かに、自転車は歩道を走るものと思っている人は多いと言います。最近は運転免許の取得率も昔と比べて高いですから、自動車学校の学科講習で習っている人も多いはずですが、軽車両についての交通規則など、とっくに記憶には残っていないということなのでしょうか。自分勝手な人も増えているのかも知れません。
近頃は中高生の中にも、そのルール違反、交通規則無視が目に余る者もいます。免許取得以前の年齢でも、おそらく小学校からの間に交通ルールについて学ぶ機会はあったはずです。しかし、勉強にも受験にも関係ないし、まともに聞いていなかったりするのでしょう。知っていても守る気がさらさらないか、どちらかです。
何度か年配の方が注意しているのを見たことがありますが、その生徒の担任でもない限り、街で規則違反を咎める人は少ないと思われます。今どきなら、逆ギレされ、刺されてもおかしくありません。実際、そうした事件も起きているようですから、大人の見て見ぬふりは必ずしも責められません。
先日、ヘッドフォンで音楽を聴いたり、携帯電話を使いながらの走行の禁止が教則に加えられると報じられましたが、自分のことしか考えずに自転車で暴走したり、無法な走行をする人は後を絶ちません。自らが怪我をしたり、人を怪我させて罰や賠償を負う危険があるにもかかわらず、そのリスクに気づいていないか、無視しています。
高齢者に死者も出るなど、歩行者との事故が急増し、無秩序で無法な状態は拡大し、歩行者はもちろん、善良な自転車乗りにとっても危険な場合があります。警察も取り締まっていますが、すべてに目が届くわけではありません。そんな時、つくづくこんなヒーローがいてくれたら、と思ってしまう(笑)のが“
Sprocket Man”です。
他のヒーローのように、子供たちを燃えている孤児院から救い出したり、極悪人がダムを爆破するのを止めたりはしませんが、自転車泥棒や、低い位置にあって頭をぶつけそうな標識、暗くなると見えにくい木の杭など、サイクリストの敵と闘っています。自転車に乗った人々の安全を守るため、とても現実的なアドバイスもします。
なんだか見たことがあるようなコスチュームを着て、ピザを出前しているようにも見えますが(笑)、手首に結び付けられたスプロケット(ギアの束)は彼の武器です。もちろん自転車の安全性や交通規則について、百科事典のような知識と、アメリカで今最も事故を起こしやすい5人を見つける能力も身につけています。
この自転車交通の無秩序な状態は一刻の猶予もないと30年前、1978年のアメリカに登場しました。いかにもアメリカン・コミック・ヒーローらしい雰囲気ですが、実は誰もが興味を持たない自転車の安全や交通ルールに注意を喚起するために、
スタンフォード大学で生まれました。
その内容は
PDFファイルで見ることが出来ますが、右側通行(日本では左側)などの交通規則、ヘルメットやライトなどの自転車の安全装備、路上での危険な通行やそのリスク、点検の必要性や盗難予防など、今日本で読んでも、全く古さを感じない中身です。
自転車の無秩序を憂う30年前のアメリカに親近感を覚えますが、自転車の安全については洋の東西、時代を問わず普遍的だからでしょう。当時スタンフォード大学の学生だったLouis Saekowさんによって描かれたものですが、最近、このSprocket Manを復活させる動きもあります。(この下は全て新しいスプロケットマン。)
日本でも、ご当地ヒーローと呼ばれるようなキャラクターがたくさんいます。下手をすると地元の人でも全く知りませんが、地方自治体などが地元のPRや、社会的な啓発を行うために、「何とか戦隊」などと着ぐるみで登場し、名前もゴレンジャーをパロディー化したものだったりします。
このスプロケットマンも、おそらく同じような感覚で生み出された多くのローカル・ヒーローの一人なのでしょう。自転車マンでは普通に自転車に乗る人か修理する人になってしまうので、Sprocket Manとなったものの、ペダルマンでもサドルマンでもチェーンマンでも良かったのかも知れません。
日本版を作るなら、さしずめ「歯車ン」(はぐるマン)でしょうか(笑)。今どき中高生は見向きもしないでしょうけど、幼稚園か小学校低学年くらいまでならイケるかも知れません。単独のヒーローでもいいですが、やなせたかしさんの「アンパンマン」あたりに登場させたら、一躍有名になりそうです。
最近、歩道上での自転車と歩行者の事故が急増しています。その対策として、まだモデル地区の指定や実験段階ながら、自転車の走行空間が見直される傾向は歓迎すべき状況でしょう。物理的に歩行者と分離しなければ、事故も防げないだろうことはさんざん指摘してきました。
こうした対策によって、将来的に歩行者との事故は減少に向かうかも知れませんが、一方で自転車レーン内での自転車同士の事故やトラブルが増える可能性も懸念されます。もちろん、そのリスクを少なくするよう設計することも大切ですが、やはりルールの徹底もおろそかに出来ない部分でしょう。
方法論としてヒーロー漫画がいいかどうかは別としても、自転車のルールや安全のための知識、その重要性やリスクが、ほとんど認識されていないのではと思われる状況は是正すべき問題です。地道に幼児教育の段階から取り組むべき部分や、またその必要性があるのかも知れません。
おそらく、似たような経験をした方もあるのではないでしょうか。車道の右側を平気で走行している人を見ることも少なくありませんが、本当に道交法を知らない人ばかりなんでしょうか。危ないのでホントやめてほしいですね。
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日本にも、各地に自転車に関連したご当地ヒーローが存在する。
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自然に出る動作を身につける
自転車や交通規則に限らず、道徳やマナーの教育は重要だろう。
たまに自転車で通勤しているのですが、他の自転車の動きに怖い思いをすることがありま...
自転車ヒーロー【日刊ケメ子ライフ(試作品)】at April 18, 2008 22:28
こんばんは。本当、ご無事で良かったですね。そんな相手とぶつかったら、怪我も勿論、更にややこしい事になりそうです。私もいつも、思います。なぜ、赤信号停止を守れないのか(特に歩行者・自転車・原付)や、逆走です。私も色々危ない目には会いましたが、現在は、昼間でしたらメガホーンを鳴らして気付かせたり、夜間は割と強力な710RC等を正面に配置して威嚇し近づかせないようにしています。もちろん、それでも斜めから等、来るものは来てしまいますが…。問題は、サイクルロードさんのように突然突っ込まれた時ですね。取り締まりだけではなく、やはり義務教育でのしつけ、が必要ではないでしょうか。