寒い日が続きますが、毎日頑張って自転車通勤されている方もあるでしょう。
自転車で通勤している方の平均的な通勤距離はどのくらいなのでしょうか。片道10キロとか15キロ、場合によっては20キロでも可能でしょう。中には、それ以上というツワモノもいるに違いありません。しかし片道65キロとなると、さすがに通勤としては厳しいものがあります。
職場まで往復80マイル、およそ130キロもあるのに自転車で通勤している人の話が、今週のシアトルタイムズにローカルニュースとして載っていました。アメリカ北西部の太平洋岸に位置する、ワシントン州シアトル郊外に住むNat HongさんとBob Barrettさんの二人です。
シアトルと言えば、あのイチローが所属するシアトルマリナーズの本拠地としてお馴染みですが、地図で見てみると、太平洋からは奥まったところにあるピュージェット湾に面した街なのがわかります。このPuget湾は氷河の侵食で出来た入り組んだ地形が特徴で、北のファンデフカ海峡を通じて太平洋につながっています。
つまり、海が陸地の奥深くまで、複雑に切れ込んでいる地形なのですが、Nat Hongさんは、その湾内にあるベインブリッジ島に住んでいます。本土とは橋でつながっていますが、職場のあるBremertonという町までは、ぐるっと海を迂回して片道65キロも走らなくてはなりません。
アメリカのことですから、クルマでなら40マイル通勤するのは珍しくありませんが、自転車でとなると、54歳のHongさんでなくても困難です。もうお気づきかも知れませんが、このHongさんの自転車通勤経路、実は海の上です。橋ではなく、海の上を水上自転車で通っているのです。
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動画はこちら。
道路沿いに行けば、最短ルートでも約65キロありますが、直接海を越えて通勤すると20キロ弱ですみます。そのうち、海上を行くのは1.6キロ、およそ15分程です。オールで漕ぐ普通のボートでもいいわけですが、足でこぐ水上自転車もラクですし、双胴式のフロートで安定感もあります。
長年、Hongさんは向こう岸に見える職場のある町へ行くのに、わざわざ大回りをしなければならないことに苛立っていました。確かに、毎日ぐるっと廻って長い距離をドライブするのは癪でしょう。そこで、この水上自転車と、向こう岸にも普通の自転車を置いて、乗り継いで通うことにしたというわけです。
(注:上の写真はモデルで、記事とは直接関係ありません。)
もう一人のBob Barrettさんも水上通勤をしています。Barrettさんが住むのは、同じ湾内にある小さなKetron島ですが、こちらは道路が通じておらず、フェリーで本土へ渡るしかありません。ある時、ポートの展示会でWater Bikeを見たBarrettさんが、自分の「足」で通うようになるまでに時間はかかりませんでした。
Barrettさんは目の前に見える本土までの片道2マイル、3.2キロを25〜30分かけて横断しています。彼の使う
HydroBikeの価格は1,400ドルですが、週に5日、もう7年近く水上自転車を使っていることを思えば、1日3ドルかかるフェリー料金で、とっくに元をとって、お釣りが来ています。
>(注:こちらの写真も記事とは直接関係ありません。)
なんと言っても水上自転車ですから、ガソリン代がかかりません。空も海も汚さず、きわめて環境にいい乗り物であることにも、とても満足しています。HydroBikeは、ペダルでスクリューを回す仕組みですが、HongさんもBarrettさんも、およそ時速8キロの速さで巡航出来ると言います。
Barrettさん、例え雪が降ろうとこのウォーターバイクで渡りますが、風が強くて渡れなかったことは六年間で六回しかありません。Rainier山を望む景色も最高で、海の上にいると、のんびりして心が洗われる気がするそうです。環境だけでなく、自らの健康に大きく貢献していることも感じているBarrettさん、ちなみに64歳です。
野生生物にもよく遭遇し、水鳥だけでなく赤ちゃんアザラシが、すぐそばまでやって来たこともあります。万一のため救命胴衣をつけていますが、二人とも海に落ちたことは一度もありません。ただ、奥さんは心配しており、夫の生命保険の更新確認も怠らないそうです(笑)。
しかし、海の上を自転車通勤するとはユニークです。ニュースになるくらいですから、いくらアメリカのこととは言え、さすがに多くはないのでしょう。日本ではちょっと聞いたことがありません。湾と言っても、ずっと奥まった地形なので、東京湾などとは違い、波の高さなどの条件が違うのかも知れません。
海上を行く1マイル、1.6キロは東京で言うと、ちょうどレインボーブリッジを渡るくらいの距離です。ちなみにレインボーブリッジは徒歩では渡れますが自転車は禁止ですから、芝浦方面からお台場方面に自転車通勤するには、ぐるっと晴海のほうへ迂回せざるを得ません。
日本でも、もしかしたら海・川・湖・沼・池・ダムなどに行く手を阻まれて、自転車で通勤することを断念している方、あるいは大きく迂回を余儀なくされている方もあるのではないでしょうか。決してお勧めはしませんが(笑)、こういう方法もある、ということで..。
子供が風船で飛ばした手紙が、15年の月日を経て千メートルの深海からカレイに張り付いて
見つかったと、テレビでもニュースになっていました。ロマンチックと言えばそうですが、普通はゴミとして捨てられるだけの話のような気もします。千メートルの深海にまでゴミが広がっているとも言えますね。
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例え夏の間だけだとしても、この方法で通勤するのは、無理っぽい。
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毎日毎日自転車通勤していれば、時にはイヤになることもあるだろう。
Posted by cycleroad at 07:30│
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